インバウンド(inbound)とは英語で、「帰航の」「到着する」「(商品が)入庫する」などの意味で、モノやコトが外から内へ「入ってくる」ことを表す言葉。
たとえば、海外から国内へ訪れる外国人旅行者や、その旅行。コンピュータがネットワークを通して「受信するデータ」などを「インバウンド」といいます。
コールセンターにおいての「インバウンド」とは企業が顧客からの電話等を受け付ける形態の業務、受信業務のこと。「受信」「受電」とも言います。
お客様が店舗等で購入した商品やサービスについて窓口に代わってコールセンターで、注文の受付や問い合わせ、クレームなどの電話を受ける業務です。
「インバウンド」と「アウトバウンド」
コンタクトセンターの業務の分類方法のひとつが、インバウンドとアウトバウンドです。
通常、お客さまからコンタクトセンターへの電話に対応するものはインバウンドコール業務として実施されます。
またコンタクトセンターからお客様に電話をして、購入された商品や製品に対する満足度の調査やマーケティング活動を行うこと、また新たにセールスを行うことなどは、アウトバウンド業務になります。
コンタクトセンター オペレーター 完全マニュアル/日本コンタクトセンター教育検定協会(著) FOM出版より
テクニカルサポートデスクは、購入した商品や製品に関する具体的な使用・操作方法などの問い合わせ対応をインバウンドで行います。
お客さま相談センターは、購入を検討している顧客に向けたインバウンドの相談窓口です。
通信販売受付窓口は、テレビショッピング販売に伴う、インバウンドの受注窓口です。
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インバウンド・コールセンターの成功例
CSKコミュニケーションズ(現 SCSKサービスウェア)
沖縄でたいへん成功している企業の一つに、CSKコミュニケーションズがある。インバウンドのコールセンターが主な業務だが、収益率が非常に高く、設立後わずか数年で従業員も400人を超えるまでに成長した。
スローキャリア 出世を急がない人のためのビジネス論 (PHP文庫) /高橋俊介(著) PHP研究所より
インバウンドのコールセンターというのは、消費者からかかってくる電話に応えるのが仕事である。一方テレ・セールスやテレ・マーケティングのように、こちらから相手に電話をかけるのがアウトバウンドで、一般的にマニュアル通り話せばいいアウトバウンドより、さまざまな質問に答えなければならないインバウンドのほうが、従業員に要求されるレベルは高いといわれている。
インバウンド・コールセンターであるCSKコミュニケーションズは、デルやマイクロソフトといった主に外資系のハード、ソフトの会社から発注を受け、カスタマーサポートの部分をアウトソーシングで請け負っている。
たとえばクレーム処理なら、専門知識だけあってもコミュニケーション能力が低いと、電話の相手を余計怒らせてしまいかねない。ちなみにCSKコミュニケーションズ社内の調査だと、クレーム処理の電話応答は平均二五分かかるそうだ。しかしその中身はといえば、技術的な説明といった本質的な部分より、「お前、その言い方はないだろう」というような、オペレーターの応対のまずさから新たに発生した問題を処理するのに、大半の時間が使われていたそうである。
ただ幸いなことに、沖縄というのは他人に非常に親切にするという伝統があるところなので、応募者のコミュニケーション能力はとくに問題はなかった。
問題は専門知識にあったのである。
沖縄というのは、どちらかといえばスローライフを好む人の比率がおおいところなので、管理され尻を叩かれるような研修は馴染まなかったのだ。
筆記試験を一次と二次の二回とし、一次試験の足切りラインを思い切って四〇点まで下げた。そして一次を通過した人には、二週間後にもう一度同じ分野の試験を行なうから、この本で勉強してきなさいとテキストを渡し、一次試験と比較して二次試験の点数がどれだけ伸びたかで合格をきめるというシステムに移行したのである。
それまでは、仕事を行なうのに十分な量の知識を持っている人という基準で選抜していたが、これを短期間に新しいことを自律的に学習する能力がある人という内容に変更した。
つまり採用基準を学力から行動・思考特性にシフトしたというわけだ。この試みは功を奏した。彼らにオラクルやマイクロソフトの資格のようなスキルアップの目標を与え、なおかつそれらの資格を取得した人にインセンティブを付加するようにしたところ、彼らは意欲的に勉強に取り組み、短期間でどんどん資格やスキルを身に付けていった。
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