コールセンターで行われる代表的な業務は、大きく2種類あります。
- 「インバウンド」(受信業務)と
- 「アウトバウンド」(発信業務)です。
インバウンド(受信業務)
インバウンドとは、店舗等の窓口に代わってお客様等からの注文や問い合わせなどの電話を受ける業務です。
おもな業務内容としては、
- 各種受付業務(注文受付、資料請求受付、キャンペーン応募・チケット予約受付など)
- 情報提供
- 料金問合せ受付
- お客様相談窓口
- テクニカル・ヘルプデスク
- 販売代理店サポート
- 社内問合せ窓口
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アウトバウンド(発信業務)
アウトバウンドとは、販売促進、アンケート調査、代金催促等を目的にコールセンター側からお客様へ電話する業務です。
おもな業務内容としては、
- 各種販売促進支援(新商品等の案内、ダイレクトメール・フォロー、見込客発掘、ダイレクト販売など)
- 電話調査
- 登録リスト・クリーニング
- 代金支払い督促
それぞれ内容により異なりますが、電話応対に関するパソコン操作や、書類作成、なども付随するのが一般的です。
次の記事:コールセンター内の人員構成
業務の分類
コンタクトセンターの業務の分類方法のひとつが、インバウンドとアウトバウンドです。通常、お客様からコンタクトセンターへの電話に対応するものはインバウンドコール業務として実施されます。またコンタクトセンターからお客様に電話をして、購入された商品や製品に対する満足度の調査やマーケティング活動を行うこと、また新たにセールスを行うことなどは、アウトバウンド業務になります。
コンタクトセンターオペレーター完全マニュアル/日本コンタクトセンター教育検定協会 (著) FOM出版より
(ア)テクニカルサポートデスクは、購入した商品や製品に関する具体的な使用・操作方法などの問い合わせ対応をインバウンドで行います。
(イ)セールスコールは、アウトバウンド業務のひとつで、新製品や新商品の発売の際、顧客に対して新製品の紹介や販売などを目的とした電話コンタクトを行います。
(ウ)お客様相談センターは、購入を検討している顧客に向けたインバウンドの相談窓口です。
(エ)通信販売受付窓口は、テレビショッピング販売に伴う、インバウンドの受注窓口です。
「インバウンドアップセル」
お店の売上を倍増したいならお金をかけずにアイデアで勝負する! / 販促ウエポン推進委員会 (著) 岩本 俊幸 (監修) 商業界より
インバウンド、インバウンドコール
顧客から企業へ、電話での注文、照会や要望などに応える業務。アウトバウンド、アウトバウンドコール
企業から顧客へ電話でダイレクトセールスなどを行なう業務。一度以上購入している
顧客リストを元に、定期コースや新商品の案内を行なうなど。アウトバウンドの種類は、購入商品が顧客の手元に届いたかどうかの「到着確認」など、セールスを行なわず顧客と企業との関係性を強化する目的のものから、休眠顧客に対してコールを行ない新商品の案内をする「掘り起こし」などさまざまある。
インバウンドアップセル
インバウンド時にキャンペーンなどの顧客にとって有益な情報を与えることにより、顧客からの本来の問い合わせよりも1つ上の商品やサービスを販売すること指す。一例として、サンプル請求の受電時に本商品の販売を行なうようなケースが挙げられる。
変化する「インバウンド」と「アウトバウンド」
コールセンターでのアクションは2種類ある。一つはアウトバウンド(企業側からかける電話)、もう一つはインバウンド(顧客側からかかってくる電話)と呼ばれている。それぞれに変化の方向性は異なっているため、分けて見ていこう。
BtoC向けマーケティングオートメーション CCCM入門/岡本泰治(著) 橋野学(著) インプレスR&Dより
まず、アウトバウンドの変化はデータ活用による大幅な精度の向上だ。従来アウトバウンドは単価が高く、その費用対効果に課題を感じる企業が多かった。しかし、大量のデータに対する分析技術が進化し処理スピードも大幅にアップしたことで、購入確度の高いユーザーの絞り込みが可能になった。
たとえばデータから特定商品の購入可能性が一定以上あると算出されたユーザーを抽出し、そのユーザーのみにフォーカスしてコールすることで、その成約率は大幅に高まる。単価の高いアウトバウンドコールを無駄打ちすることが少なくなりコストも減るため、ROI(Return On Investment、投資利益率)も大幅に改善するわけだ。
一方、インバウンドの変化は顧客対応の最適化によって、顧客満足度を上げる流れとなる。たとえばコールをしてくるユーザーは多くの場合、直前にウェブサイト上で問題を解決するための情報を探していることが多い。その情報やECサイト上での履歴をコール受信時に瞬時に把握することは、対応品質の向上に寄与するだろう。
コールセンターのKPIは以前からAHT(Average Handle Time)という平均処理時間など、業務処理時間の短縮指標であることが多かったが、現在では顧客ロイヤルティーの度合いを測るNPS(Net Promoter Score)の導入も進んでいる。コストセンターとして効率化だけを求めるのではなく、より的確にコール経由の顧客課題を解決し満足度向上に努めることで、次なる利益を生むプロフィットセンターの役割も果たしていくのだろう。
基礎知識|1.コールセンターとは|2.コールセンターの分類|3.コールセンターの業務内容|4.コールセンター内の人員構成|5.コールセンターで求められるスキル