最近、札幌でコールセンターの求人を見かける事が多くなりました。それにはこんな事情があるのです。
「コールセンター立地条件」過去の常識
そもそも、コールセンターの設置は、ものの移動を必要としないことから、「市場に近い」とか「関連企業に近い」などの地理的な制約は小さいものです。
しかし、コールセンターはある程度の雇用人数がいないと成り立たないため、雇用確保のため人口の多いところに立地するのが常識といわれてきました。また、問合せをしてくるお客様も大都市の人数割合が高いことから、通信コストの面からも大都市への立地が合理的といわれてきました。
通信コストの低下と沖縄県での成功
しかし、NTTの規制緩和などにより通信コストが低下したこと、市場が拡大し問合せの地域も多岐にわたるようになったことから、人件費が安く、家賃が安い地方への立地が注目されるようになりました。
また、雇用促進に悩む地方にとっても、「距離」を意識する必要があまりない「コールセンター」の立地誘致は大変魅力的な取り組みでもあり、それに先駆けたのが沖縄県でした。
沖縄県はコールセンターの誘致のために若年者雇用助成、通信コスト補助などの支援制度を設けたり、コールセンターに就職を希望する人々に対する基礎内容研修を行なうなどして人材研修に取り組みました。
その結果、多くのコールセンターが沖縄県に立地し、多くの雇用創出に成功しています。
北海道の助成制度開始
その成功を経て、1999年12月に北海道でも「立地助成制度」が運用開始されました。
この背景には、例の北海道のメーンバンク「拓銀」の破綻の影響があり、約5万人の雇用の創出を具体的に考えなければならない北海道庁の事情がありました。
また、道外企業誘致の窓口にもコールセンターの立地助成に対する問い合わせも寄せられるようになり、双方の希望が一致したということになります。
方言と立地場所
また、あまり公には言われていませんが、札幌は人件費や家賃の安さのほかに、言葉にあまりくせがない、あっても比較的修正が可能(業務上、全国区に対応する企業などは、立地場所を予想されないほうが望ましい)なこともあり、立地に好条件であるといわれているようです。
こうして、札幌にコールセンターが増えてきたのです。
コールセンターがわかる。参考書籍
日本能率協会コンサルティング(著)、永川克彦(著)、蛭田潤(著)、小名川眞治郎(著)、社団法人 企業情報化協会[協力](著)
日本能率協会マネジメントセンター
現場の問題解決に尽力してきた著者が、成熟したコールセンター業界の現状、課題、先進的取り組みを紹介。近年のコールセンターの統合・分散による改革への対応も意識しています。
また、ヘルプデスクを支援する唯一の公的機関であるIT協会の教育体系「プロフェッショナル育成プログラム」も紹介。
役割、構造、人員、業務、管理、問題解決法などを具体的に紹介
統合、分散など激変する環境への対応について
インバウンド・アウトバウンドをはじめとする重要ポイントも網羅ヘルプデスクセンタープロフェッショナル育成プログラムを紹介