トークスクリプト(talk-script)- コールセンター用語集

トークスクリプト(talk-script)

トークスクリプトとは、コールセンターにおいてオペレーターがお客様と電話対応する際に、お手本となる台本(シナリオ)のこと。

(英語の”script”は演劇・映画・テレビ・ラジオなどの台本、脚本の意味)
単に「スクリプト」とも言います。

どのような状況にも対応できるように、あらかじめよくある基本的な対話の内容や、会話の流れを想定して作られています。

通常、実際のお客様との対話では、台本通りには行かないことが多いため、ごく基本的な筋道で作られたシンプルなものが多く、頻度の高い質問や、よくある質問などは、それに付随した対話例などで補足されることが多いです。

対応しているオペレーターからのお客様の反応を参考に、より良いものへとこまめに変更することが多いので、月に何回か訂正するセンターも少なくありません。

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なぜか「FAQ」をつくっている会社はほとんどない

数あるマニュアルのなかでも絶対に欠かせないもの、それがこの節で説明する「トークスクリプト」です。

そもそもスクリプトというのは「台本」という意味なのですが、役者と同じように、営業マンにも台本が必要です。
つまり、トークスクリプトがお客様に話をするときの台本になるというわけです。

このトークスクリプトは、とくに電話で「ファーストアプローチ」をする場合に有効です。
電話なら、トークスクリプトを見ながら話をすることができるので、たとえ新人や未経験者でも早めに仕事をまかせることができます。

「売れ!」といわずに30日で「売れる営業チーム」をつくる法/庄司充 (著) 大和出版より

まず、チームでアポとりの得意な人を2、3人集めて意見を出し合ってもらいます。
経験が浅くてもアポとりが上手な人はいるので、場合によっては新人をメンバーに加えてもいいでしょう。
「ボイスレコーダー」を使って、実際に電話をしているところを録音して検討するなどといったことも効果的です。

トークスクリプトで、こちらから話す内容をマニュアル化したら、次はお客さまからの質問にスムーズに答えるためのマニュアル、すなわち「FAQ」を作成します。

FAQは、「フリークエンシー・アスクド・クエスチョンズ」の略で、日本語でいうと「よくある質問集」といったところでしょうか。
営業マンとして一人前になるために最も時間がかかるのが、ありとあらゆるお客様の質問に的確に答えられるようになることです。

その意味でFAQはとても強力な武器になるのですが、私の知るかぎり、なぜかこれをつくっている会社はほとんどない、というのが実情です。

新人を素早く戦力化し、営業マンによるスキルのバラつきをなくすためにとても有効なマニュアルなので、ぜひ作成するようにしてください。

コツはチーム全体で育てていくことにある

お客さまからの質問には、大きく2種類あります。

1つは「商品内容に関する質問」で、答えるためには商品知識が必要なもの。

たとえば、車であれば「価格はいくらですか?」といった質問です。

もう1つは、「商品の購入に際しての疑問や不安」で、「ほしいけど維持費がかかりすぎるのではないか?」といった質問です。

基本的に商品内容に関する質問の答えは1つですが、疑問や不安に対する答えは、お客さまの状況によるので、答えは必ずしも1つではありません。

したがって、FAQを作成する際には、とくに「疑問や不安に対してどうお答えするのか?」「どんなアドバイスをするのがいいのか?」についていろいろなアイデアを出し合ってまとめていくことが大切です。

現場で「独自の内容」を作成するのが得策

「トークスクリプト」とは、話し方のマニュアルのことを指します。

お客様相談室やクレーム対応などでの話し方のマニュアルは、話す順番のセオリーを決めるなどしてしっかりと標準化し、AさんではできるけれどもBさんではできない、というようなことがないようにしておきましょう。
このとき、多少の方言が混じっても問題ありません。わかりやすく、丁寧に、ゆっくり話せばOKです。

【小さな会社】ネット通販 億超えのルール /西村公児 (著) すばる舎より

大手企業のトークスクリプトをそのまままねるのではなく、あなたの会社のこれまでの経験を踏まえて、独自の内容を作成するのが得策です。それも、上司や社長がつくるのではなく、実際の対応にあたるスタッフや外部の方たちにつくってもらいましょう。社長が自分でつくっても、大抵は失敗するので、このスクリプトの作成については現場に任されることが重要です。

ある大手企業のコールセンターの受注対応では、まずお客様の名前を聞いてから、住所、電話番号、お届け希望日時などの必要事項を聞いたうえで、どのようにこの商品を知ったのかといったところまでしっかりとヒアリングをし、合計で3分30秒ぐらいで終わるような構成になっています。

これぐらいの時間が、お客様がイライラせずに話してくれる最大限度でしょう。
この段階でお客さまをイライラさせていまうと、次に買って頂けなくなります。

そういったことにも注意して、ぜひあなたの会社にもトークスクリプトを用意してください。某社の事例を紹介しておきますので、こちらも参考にしてください。

「より多く問い合わせられるもの」を優先する

コンタクトセンターの準備のひとつに、トークスクリプトの準備がある。問い合わせに対する、対応マニュアルのようなものだ。

こういう問い合わせにはどうするか、「YES」ならこの説明、「NO」ならこの質問といったものが、細かく記載されていなければならない。これから立ち上げるコンタクトセンターなのだから、この準備は、自分たちで想定される質問を考え、回答を作らなくてはならない。

ソフトバンク流「超」速断の仕事術 – 1か月かかる仕事を1週間でやり遂げる!/大木豊成 (著) ダイヤモンド社より

スーパーバイザー(オペレーターを統括するスタッフ)の話を鵜呑みにもできない。

彼らは、過去の問い合わせ対応経験の中で、数が多い問い合わせよりも、ひどく怒っていた顧客や、対応に苦慮した経験のほうを優先する傾向があるからだ。
その意見に引きずられないようにするために、ファシリテーションの手法は役に立つ。

われわれも、みんなで付箋を使って、ありそうな質問をホワイトボードに貼り出し、整理して対応を考えた。
こういったプロセスを経ることで、参加者の懸念がすべて洗い出させる。そうすると、ひどく怒っていた顧客の対応が大きな部分を占めるのか、あるいは稀なことなのかが可視化される。

トークスクリプトは、より多く問い合わせられるものから作成していかなくてはならない。
このためには、こういう手法が役に立つ。

スクリプトは常にバージョンアップが必要

図解 数字が上がるコールセンターのつくり方/波多野精紀・石橋由佳・古館良子 (著) 日本実業出版社より

完成したスクリプトもそこから再スタート

検討を重ね、ロープレを繰り返してようやく完成したスクリプトでも、一度作ればずっと使えるわけではありません。スクリプトを改訂しなければならない代表的なケースとしては、(1)現場で使用してみたら、コミュニケーションにとって使いづらい部分があった、(2)お客様からの反応が予想とまったく違っていた、(3)長期間使用しているうちに競合商品との関係や商品市場が変化した(当初、自社商品だけの特徴だった機能を他社商品が備えるようになった等)、(4)自社のマーケティング上の方針が変わりアピールすべきポイントが変更になった、などです。

このようにコールは常に変化するものですから、コールの内容を常に点検し、少しでも現状に合わない点があったらスクリプトをすぐに見直す必要があるのです。どれだけ迅速に改訂が行なえるかが成果に大きく影響します。

 
コールセンター用語集「た」行|トークスクリプト

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