下園 壮太(著)
日本能率協会マネジメントセンター
本の詳細
「頑張ればなんとかなる」
よく聞く言葉ではあるが、果たしてこれは真実だろうか。
本書を手にとられたあなたの状況について言うならば、その答えは「ノー」である。頑張ってもどうにもならない場面というのは、確実に存在する。
もう少し正確に言うならば、今までと同じ「頑張り方」を続けても、成果につながるどころか、むしろその「頑張り」がリスクとなる場面がある。折れそうな自分をなんとか立てなおそうと思って本書を手にとってくださったあなたが置かれた状況は、おそらくそれに該当する。
あなたが今やるべきことは、「頑張る」ことではない。
あなた自身、もしくはあなたの率いるチームのメンバーに次のような兆候が見られるようであれば、今すぐ本書に目を通して、自分自身のリーダーシップを変化させて欲しい。今のまま頑張り続けることのリスクが特に大きく、良かれと思った行動が悲劇を招きかねないからだ。
- 体調が崩れる
- ストレス解消のための行動が増えてくる(やらなくなる)
- 仕事に積極性がなくなる(防衛的になる)
- 計画の変更に強く不満を訴える
- 指導を受けるのを嫌うようになる(反抗する、言い訳する、嘘をつく)
- 仕事のスピードが遅くなる、ミスが増える、残業が増える
- 人間関係が悪くなる、言い争いが増える
- 不公平感に敏感になる
- 派閥ができたり、スケープゴートをつくり始める
- 愚痴が増える、笑い顔・笑い声が消える
- 悩み事(相談事)が増える
- 転職を考えるようになる
- リーダー(上層部)に対する不満が大きくなる
本書で述べるのは、こうした兆候が見られるチームを率いるためのリーダーシップである。
勝つためのリーダーシップは、基本的に「やる気」を上げることを一番に考える。一方、負けないリーダーシップは、やる気を完全に喪失しないように、「疲労」のコントロールを重視する。
もし今、あなたがやる気と活力に満ちあふれ、「勝ち続けるチーム」をつくる方法を探しているなら他の本を探した方がいい。しかし、あなたのチームに、先に挙げた「崩壊するチーム」の兆候が表れているのであれば、疲労のコントロールを第一に考えるべきだ。
最も危険なことは、高ストレスにさらされ続けている組織で、無理に「勝つチーム」を目指すことだ。多くの場合は崩壊の時期を早めることになる。頑張り方を間違ってはいけない。
目次
はじめに
序章 負けないリーダーシップを手に入れる
- ビジネスは戦場である
- チームが崩壊するプロセス
- 「負けないリーダーシップ」を自衛隊に学ぶ
第1章 ビジネスという戦場を戦い抜くために必要なこと
- 第二次世界大戦で起きたこと
〜厳しい戦いが続くと何が起きるのか〜 - なぜ人は折れてしまうのか
〜蓄積疲労の3段階モデル〜 - どれぐらいの期間で疲労レベルが第2段階になっていくのか
- 「嫌な人」なら、鍛えなおせばいい?
第2章 折れないリーダーの仕事1 疲労をコントロールする
- 目に見えない「ステルス疲労」に気をつけよ
- 燃え尽き症候群のメカニズム
- メンバーの不調に気づいているか?
- 人は年齢には勝てない
- 逆効果になりやすいストレス対処法 – ジョギング、サウナ、海外旅行
- 疲労への最も効果的な対処法は「何もしないこと」
- 戦場の疲労回復の3大手法 – 「温かい食事」、「良質な睡眠」、「水分補給」
- 「衣食住」を軽んじてはならない
- 長期戦を戦うための休憩のとり方
- 「業務予定表」で、休みを前もって確保する
- 疲労コントロールは「放射能対策」と同じ
- 蓄積疲労の第2段階で2年間もちこたえよう
第3章 折れないリーダーの仕事2 仕事を切る
- 疲労の第2段階のメンバーをどう動かすか
- 指揮の要訣に学ぶ「戦場のリーダーシップ」
- 「挙握」そして「企画の確率」
- 自分が何をやるかを明確にする
- 仕事を切れるリーダー、切れないリーダー
- 頑張って乗り切ろうとする「子どもの心の強さ」
- 「ダム型」のリーダーを目指せ
- 「任務分析」- 何を切るかを見極める
- 「必要性」と「可能性」で考える
- 可能性を見積もる「3分の1の法則」
- 組織の戦力を分析する
- 部下の何を「掌握」するのか?
- 部下の変化を把握する(ストレスチェックの活用)
- 「鍛える、乗り越えさせる」にこだわらない
- 「仕事を切る」4通りの方法
- 増員は必ずしも有効な解決策ではない
- 「適時性」を重視する
- 「やらない勇気」をもつ
第4章 折れないリーダーの仕事3 伝える
- 指揮の要訣が情報伝達力を強調する理由
- 戦場では情報伝達がより重要になる
- 戦場では情報伝達がより難しくなる
- 情報伝達が難しくなる理由1:疲れると誤解が生じやすい
- 情報伝達が難しくなる理由2:リーダーも疲れている
- 情報伝達が難しくなる理由3:リーダーだけ情報を得て安心してしまう
- 情報伝達が難しくなる理由4:間違えた情報を伝えて非難されたくない
- 情報を効果的に伝えるパッケージ – 「命令」と質問、シュミレーション
- 命令下達はしつこいほど頻繁に行なう
- 時には行動で示すことも
- 疲労の第2段階で示すべき「背中」とは
- 情報がないより「間違えた情報」のほうがまし
第5章 折れないリーダーの仕事4 団結する
- イラク派遣で最大のストレスは人間関係
- 疲労の第2段階では「許容範囲」が狭くなる
- 予防志向で人間関係の悪化を防ぐ
- 「任務解除ミーティング」で団結力を強くする
- とにかくメンバーの内面に関する情報を交換する
- リーダーがチームの「芯」になるために必要なこと
- チームの目標は「仲良くすること」ではない
- 「厳しさ」と「優しさ」のバランス – 心腹統御と威圧統御を使いこなす
第6章 折れないリーダーの仕事5 リーダー自身のダメージをコントロールする
- 「こんなことはできない!」と感じている人へ
- まずはリーダー自身の疲労コントロール
- 間違えたリーダー像に囚われていないか?
- 過去の自分のスタイルや、目の前の仕事にしがみついていないか?
- 疲労の第2段階の職場はリーダーの本領が試される
- リーダーシップには怒りが乗っかりやすい – 怒りへの対処法
- 最悪を想定することで、リーダーは強くなる
- メンバーの退職を恐れるな
- 一人で戦おうとしてはいけない – 参謀をもつことの重要性
- 「責任をとる」ということ
- 「辞める強さ」をもつ
- いわき市小名浜支所での折れないリーダーシップ
おわりに
下園 壮太(著)
日本能率協会マネジメントセンター