鈴木裕子(著)
こう書房
本の詳細
「ちゃんと伝えたのに、わかってくれない」
そんなもどかしさを感じたことはありませんか?上司同僚、家族友人に、言葉を尽くして話したにもかかわらず、相手の反応がよくないと、「どうしてわかってくれないのだろう」とがっかりしますよね。
そして、「この人には、何をいっても無駄だ」となりがちです。
でも、あきらめることはありません。
そんな相手の関心を引き、じっくりと聴いてもらえる方法があるのです。
たとえば、ある企業で販売力向上の研修をしたときのことです。商品を店舗で販売する仕事をしている受講者に、私は「お客様の購買意欲を喚起するには、お客様の様子や心情をよく見極めて言葉をかけることである」というメッセージを伝えました。
しかし、ただこのメッセージを伝えるだけでは、受講者の心にはそれほど響きません。
そこで「事例」です。私が近所のスーパーへ買物に行ったとき、「夕飯のおかずは何にしようか迷っていると、店員がいいタイミングで声をかけてくれ、気のきいたアドバイスをしてくれた」という体験を話したのです。この事例をとおして先ほどのメッセージを伝えると、受講者はより関心をもって聴いてくれるようになりました。
こうしたちょっとした事例を交わえるだけで、おなじメッセージでも「相手の心への響き方」が変わってくるのです。
自分が体験したり見開きした出来事=事例をつうじて相手に訴えたいメッセージを伝えると、それが「自分だけの物語」なります。
「物事を正確に論理的に説明をしても、心は動かない、心に響かない」ということはよくあることです。人間は感情の動物といわれるように、納得と共感を生むには「相手の感情に訴えることがとても大事」と著者は語ります。
納得と共感を生むプレゼン、説得、説明、コミュニケーションの決め手は「物語で伝える」こと。
身のまわりで起きたことや見聞きしたことをもとに「相手の心に響く物語」をつくる方法を分かりやすく解説しています。
目次
まえがき
第1章 「きちんと伝えたのにわかってくれない」には理由がある
相手の心を動かすポイントそれは「身近な体験を話す」こと
- 身近な体験を「自分だけの物語」にする
- 説得力のある人は「自分だけの物語」をうまく使って話している
- 「自分だけの物語」は世界にただひとつのオリジナル
なぜ「自分だけの物語」は人の心を動かせるのか
- 正しく話すだけでは人の心は動かない
- 人の体験談にはリアリティがある
- 誰でも物語を求めている
第2章 心に響く「自分だけの物語」はこうして作る
「話の神様」が私を「自分だけの物語」に導いてくれた
- こんなに一生懸命話しているのに
- 「体験」を「事例」にした話にひきこまれる
身近にある「事例のネタ」を探そう
- 「話材」は身のまわりにあふれている
- メディアから「話材」を見つける
- 会話から「話材」を見つける
- 出来事から「話材」を見つける
- スピーチから「話材」を見つける
- 「話材ノート」を作ってストックしよう
「話材」と「訴求点」を結んで「事例」のベースを作ろう
- 話材のままではたんなるおしゃべり
- 伝えたいことは何かを決める
- 相手の心をどう動かしたいのか
- 「訴求点」を絞り込んで、ひと言表現にする
- 伝えたいメッセージが確実に伝わる「話材」を選ぶ
相手の心を動かすには、事例をしっかり作り込むことが肝心
- 構成がしっかりしてないと、よい話材が生かせない
- 第1段階:「出だしの言葉」をつくる
- 第2段階:「話材」の語りを作り込む
- 第3段階:「話材」から得られる気づきを一般化する
- 第4段階:キメの言葉で落とし込む
事例シートを使ってまとめよう
- 「事例」を話すには準備が必要
- 「事例シート」で内容をまとめる
- 実際に話してみて修正を加える
相手の心により響かせるための工夫
- 自慢話より失敗談を話そう
- 使い古した話より鮮度のよい話
- 話し手の人間性に好感がもてる内容に
第3章 話し方の工夫が「自分だけの物語」をより効果的にする
準備が終わったらいよいよ本番 謙虚に素直に率直に話してみよう
- 間違えないように話すことより思いを伝えることに重点をおく
- 「話してあげる」ではなく「聴いてもらう」という姿勢で話す
伝えたいメッセージを相手の心にしっかりと刻み込むには
- 構成や言葉づかいを工夫する
- 話の切り口や言葉づかいを相手に合わせる
- 「自分」「自分たち」を主語にして話す
- 問いかけて巻き込む
- 相手への思いやりや共感の言葉をかける
- 「事例」を生かす話し方の例
よい事例を台無しにするディスカウント・トークに気をつけよう
- 自分を擁護する言い訳をしない
- 自分を卑下する言い方をしない
- 相手をばかにしない
- 第三者の悪口をいわない
どのように話すかで「自分だけの物語」はもっと心に響くものになる
- 訴求力の決定打は「見た目」と「声」
- スピードと間を生かして記憶させる
- 情景が目に浮かぶよう、リアルにいきいきと
- 緩急をつけて強調ポイントを際立たせる
- 感動的な話ほど、淡々と話す
「自分だけの物語」忘れられない50年前の親切
第4章 「話の神様」があなたのことを見守っている
- チャンスを逃さずトライしよう
- 「自分だけの物語」はあなたの人生も豊かにしてくれる
あとがき
鈴木裕子(著)
こう書房