なぜ、あなたがリーダーなのか[新版]―本物は「自分らしさ」を武器にする
ロブ・ゴーフィー / ガレス・ジョーンズ(著)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン(訳)
英治出版
本の詳細
部下は、人格を有する「人物」を求める。決して単なるヒトを求めているのではない。役割にしがみつくヒト、ただその地位にいるだけのヒト、役人的なヒト、ではないのだ。
このことから必然的に、あなたが率いようとする人々の脳裏にある問いは — 口に出されるにせよ出されないにせよ — こうなる。
「あなたは他の人と何が違うのですか?」
言葉を換えよう。
「あなたについていくべきだ、とわたしたちに思わせるような、あなたならではの特別なものは何ですか?」
「優れたリーダーは平均をやや上回るレベルの自身を持つ」。しばしばそんなことがいわれる。だが注意すべき点は「やや」程度ということ。さらに踏み込めば、因果関係も不確定なことだ。自信を持っていたからリーダーになったというよりは、リーダーとしての成功体験を徐々に積んでいくことで自信がついてきた。そう捉えたほうが少なくとももっともらしい。実際のところ特性理論は、多大な努力にもかかわらず、いまだその根拠と有効性を立証するには至っていない。
われわれの見方は、リーダーに共通する何らかの特徴を求める特性理論と正反対をなす。
優れたリーダーは、役割を果たす上で役立ちうる「自分ならではの持ち味」を認識している。そしてそれらが「どんなものであれ」活用している。これがわれわれの主張だ。付け加えればこの持ち味は、「周囲に対して意味のあるもの」だ。
完全無欠を装いたい気持ちには、大きな罠が潜む。完璧なリーダーに人は魅力を感じない。
ちょっとした弱みが垣間見えるからこそ、周りは人間味を感じて率いられていくのだ。自分も完璧である必要はないと安堵し、そしてあなたのために自分がなしうることがあると考えるのだ。ただし、だからといって、リーダーとしての役割に支障をきたすような弱点ではない。そんなリーダーを人は望まない。逆説的だが、良いリーダーは、ささいな欠点に皆の呆れや不平を集中させる。またそうすることで、人間的魅力を周りにいっそう感じさせるのだ。
目次
日本語版 訳者まえがき
新版への序文
序章 なぜ、あなたがリーダーなのか
- 「本物」の探求
第1章 自分自身に忠実であれ
- どうすれば優れたリーダーになれるのか?
あるいはどうすれば育てられるのか? - 「本物であること」とは
- 両極端をバランスする
第2章 自分らしく振る舞え
- 人はそれぞれに生きる
- それぞれに「らしく」あれ
- 自分を演じるということ
- 皆が力を秘める
第3章 リスクに身をゆだねよ
- 「大切にする」ということ
- 心をつかむということ
- 目的を見失わないために
- どう自分をさらすか
第4章 おかれた状況を感知せよ
- 状況を感じる
- 個々人を捉える
第5章 相応に妥協せよ
- 組織の状況を読む
- 四つの類型
- 相応に同調する
第6章 距離感を操れ
- あえて厳しく
- 「本物」の親近感
第7章 組織にリズムを刻め
- どう伝えるか?
- ウサギとカメ
- 間違った理想像を描いていないか
第8章 部下は何を望むか
- フォロワーは何を望むか?
- よい部下とは?
第9章 リーダーシップ――その代償と褒賞
- いたずらに答えを探し求めるのではなく
- リーダーシップが目指すべきもの
付録A – 自らのポテンシャルを考えてみる
付録B – 自分の立ち位置を考えてみる
謝辞
原注
なぜ、あなたがリーダーなのか[新版]―本物は「自分らしさ」を武器にする
ロブ・ゴーフィー / ガレス・ジョーンズ(著)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン(訳)
英治出版