沖本るり子(著)
中経出版
本の詳細
上司の勝手な思い込みのせいで、仕事へのやる気を一気に奪われた経験はありませんか?
たとえば、「よし、今日も一日頑張るぞ」と意気込んで出社した朝、上司と顔を合わせるやいなや、「元気がないな〜。何があったか知らないが、くよくよしたって始まらないぞ。ほら、朝から暗い顔するな。〇〇さんみたいにもっと元気だせ。そんな暗い顔じゃ、モテないぞ。おれだったら、気分のすぐれない朝は栄養ドリンクをグイッと飲んで、気合いで乗り越える」なんて言われたらどうでしょう。やる気を出せというほうが無理な話です。
でも実際、朝一番にこのような声掛けをしているリーダーは、意外と多いのです。
何がいけなかったのでしょうか。
ポイントは、主語を「あなた」ではなく「私」に置くことです。「(あなたは)元気がないなぁ。もっと元気出せ」ではなく、「(私には)元気がないように見えるけど、大丈夫?」とするのです。これで、言葉のニュアンスが「決めつけ」から「確認」に変わります。
「このリーダーは頼りがいがあるなぁ」と思われていたりするなら、部下は自然にアドバイスを求めてきます。それがないうちは、こちらがどんなアドバイスをしても、まったく無駄です。
ましてや、「アドバイス」は往々にして「自慢話」や「成功体験談」にすり替わりがちです。そして、「自慢話」になってしまったアドバイスは、絶対に「長話」になります。
部下にとって「リーダーの長い自慢話」ほど聞くに堪えないものはありません。そのため、あなたのせっかくの親切も、まったくの時間の無駄になってしまうばかりか、かえって「おせっかいが多く、話が長いリーダー」として悪い印象を持たれてしまうことすら考えられます。
求められていないアドバイスはしないことです。
気になったときは、「何かあればいつでも相談に乗るよ」と、ひと声掛けるだけで十分です。
「聞く耳をもっていない」状態の部下にとっては、長々と説教されるのも、リーダーの自慢話を聞かされるのも、アドバイスをされるのも、すべて同じようなものです。その耳には、「ただのうるさい音」としか入ってこなくなるのです。
リーダーは心配してアドバイスしたつもりでも、相手にはうまく伝わっていないのです。
「偉い人は話が長い」
どんな組織でもよく言われることではないでしょうか。いくら話が長くても「本当に伝えたいこと」が部下たちに全く伝わっていなければ意味がありません。
1分以内で建設的な話をして、さらに聞き手が受け入れやすいように伝える技術を、豊富な具体例とともに伝授する一冊。シンプルに話して人を動かす35のメソッドを分かりやすく解説しています。
目次
はじめに
Chapter 01 部下に声を掛ける
- 主語は「あなた」ではなく「私」に
- 求められるまで、アドバイスはしない
- 「部下が何を頑張っているのか」を感じ取る
- 「どうした?」のひと言で、部下は停滞から抜け出す
- あいさつは自分からする
- ネガティブな人の「ネガティブな考え方」に感動する
Column 1分以内に話をまとめる4つの型 その1「結果法」
Chapter 02 部下をほめる/部下を叱る
- ほめるときは、短く、端的に
- 「あなたはできる」で、部下の自信が育つ
- 叱る前に、まずは事情を聞く
- 部下の言葉遣いはしっかり正す
- 「ごまかし」のないコミュニケーションをつくる
- 仕事をすべてひとりで抱え込む部下の視野を広げる「質問」
- 遅刻を注意するときは、「理由」と「改善策」をセットで
- 感情的になっている部下をたしなめる方法
- 「報告がないと困る理由」をていねいに部下に伝える
- 上司以上に実績を出し、天狗になっている部下を指導するときの注意点
- 自分の仕事を優先し、会議に出席しない部下の「参加意欲」を高める方法
Column 1分以内に話をまとめる4つの型 その2「両面法」
Chapter 03 部下に頼む
- 「ていねいな依頼」と「感謝」で休日出勤にも前向きになる
- 部下が積極的に有給休暇を取れるよう協力する
- 残業を頼む前に、「本当に必要な残業か」を吟味する
- 部下の「残業の原因」をあぶり出す
- 部下の個性を殺さずに、「会社の方針」も意識させる
- 会議への代理出席は、目的・目標・役割まで細かく伝えて頼む
Column 1分以内に話をまとめる4つの型 その3「なぜなら法」
Chapter 04 部下の話を聞く
- 部下からの「新しい提案」を面倒がってはいけない
- 慶弔関係への対応に、リーダーの人間性が出る
- 具体的な質問をひとつずつ重ねて「わかりやすい報告」を導く
- トラブルが起きたら、「原因」よりまず「対応」を考えさせる
- 「指示待ちの部下」は、「逆質問」で変えていく
- 「辞めたい」と言ってきた部下の引き留め方
- 部下に評価を聞かれたらいい部分、悪い部分を隠さずに伝える
Column 1分以内に話をまとめる4つの型 その4「2、3個法」
Chapter 05 リーダーとして意見を言う
- 社外の交流会では、「自分」と「会社」をうまく関連づけた自己紹介を
- 社外の会議での自己紹介も、指定がなければ30秒~1分以内で
- 反対意見を言うときは、相手の意見を最後まで聞き、代替案を出す
- 他部門との連携を強化したいなら「あちらの都合」をまず考える
- 「話の長い上司」に巻き込まれない必勝法
あとがき
本書にご協力いただいた方々
沖本るり子(著)
中経出版