長田周三(著)早嶋聡史(著)
総合法令出版
本の詳細
強い営業マネジャーに率いられた並みの営業パーソンの群れが、並みの営業マネジャーに率いられた強い営業パーソンの群れに勝つ光景は決して珍しくありません。
個人戦では強い個人が勝つのは当然のように思えます。しかし、団体戦においては必ずしもそうなるとは言えないのです。一昨年の夏の甲子園、1人ひとりはどちらかというと貧弱な、佐賀県の公立高校が、並みいる競合に競り勝って優勝しました。1人ひとりの力では敵わないと思われましたが、優れた監督の指導の下に偉業を達成したのです。
営業の場面でもまったく同じことが言えます。1人ひとりの営業パーソンの能力が勝敗を分けるのではありません。長い期間の中で勝敗を決定づけるのは、営業マネジャーの采配なのです。昔からの戦でも同じです、将の采配こそが勝敗を分けるのです。
「2対6対2」の法則をご存知ですよね。これは統計学の正規分布の考え方を元にしています。つまり、偏差値と同じことなのです。そんなに指導しなくても、ヒントを与えるだけでできる人が約20%、指導してもうまくできない人が約20%、しかし、約60%の人は適切に指導さえすれば結果を出すことができる人たちなのです。営業成績を上げるには、この60%の人たちに成果を出してもらうことです。そのためには営業マネジャーの指導が大切なのです。
リピートしてくれたお客様がファンに変わってもらえるかが次の段階です。私もよくレストランに行きますが、3回以上続くところはあまりありません。一度目に「よかった」と感じると、次に行くときはこちらの期待値が上がっているために、最初と同じだと物足りなさを感じるからです。
企業にとってファンほどありがたい存在はありません。その数が多いか少ないかで経営の安定度は変わるものです。企業が顧客維持率を意識するのはそのためです。長期間にわたる深い付き合いには数えきれないくらいの利点があります。顧客維持率の低い企業はいつも忙しく、しかも顧客獲得コストがかかるために収益性が低い。つまり忙しいのに儲からないのです。
目次
はじめに
序章 売上のあがらない営業組織のパターン
第1章 営業マネジメントのスキル
1 営業マネジャーの仕事
- 「部下との関係」を築く
- 「問題を解決する、意思決定する」
- 「部下を指導・育成する」
2 管理者の視点
- 「何をすればいいのか」をわかっているか
- 「意欲のレベル」は高いか
- 「個人的な能力」は足りているか
3 営業マネジメントの基本的な流れ
- 目標は何か、達成すべき成果は何か
- 現状はどのようになっているか
- どんな手段で達成するのがいいか
- 計画を立てる
第2章 営業目標と営業計画の立て方
1 はじめに「目標」ありき
- 目標達成のプロセス
- 目標の条件
2 結果目標の設定
- 営業の結果目標の種類
- 結果目標を立てるときの注意事項
3 通過目標の設定
- マネジャーは通過目標を設定できるか
- 通過目標を立てる
- 「顧客満足」を計る通過目標
- 「いい仕事」を計る通過目標
- 新規獲得営業の流れ
4 行動目標を立てる
- 大切な顧客は誰か
- 行くべきところに行っているか?
- 売るべきところで売れているか?
- 訪問は効果的に行われているか?
- 適正な利益をいただいているか?
- 時間の使い方は適切か?
5 営業計画の立て方
- 顧客別年間販売計画
- 年間訪問計画
- 月間訪問計画
- 週間訪問計画
- 提案型営業の流れ
6 マネジメント・コントロール(管理と評価)のあり方
- 成果管理(リザルト・コントロール)
- 行動管理(アクション・コントロール)
第3章 マーケティング・マインド
1 マーケティング・マインドを身につける
- お客様の視点に立って考える
- B2BとB2C
- 法人営業のドリルの穴
- ビジネスチャンスのとらえ方
- 発想を広げて考える
2 仮説をもって考える
- 仮説を立てて考える
- 仮説と検証を繰り返す
- 仮説を立てて考えることのメリットと留意点
3 マーケティングの流れで考える
4 環境を分析する
- マクロ環境分析
- ミクロ環境分析
- BOS分析
5 お客様を特定する
- 営業現場の実際
- 市場を分けて考える(セグメンテーション)
- B2Bのセグメンテーション
- どこまでセグメント分けすればいいの?
- お客様を特定する(ターゲティング)
- コンセプトを一言で表す(ポジショニング)
6 最適なマーケティング・ミックスの提供
- マーケティングで考える4つの視点
- MMの構成要素
- ミックスの意味
- 結び
あとがき
長田周三(著)早嶋聡史(著)
総合法令出版