かばんはハンカチの上に置きなさい ― トップ営業がやっている小さなルール
川田修(著)
ダイヤモンド社
本の詳細
妻は独身時代から、プルデンシャル生命に転職した阪本さんの顧客でした。当時の私は「生命保険は人の命をお金に換えるもの」と一度も話を聞かずに毛嫌いしていたほど。結婚後妻からすすめられた私は、しぶしぶ、阪本さんに会ったのです。
阪本さんは、生命保険に興味がない私を、巧みに引きつける方法を持っていました。商品説明が上手とかそんな直接的なものではありません。保険をめぐる一つのエピソードを紹介しながら、とても自然に私の興味を引いていったのです。
どの分野でも、一流と呼ばれる人の動作には無駄がありません。とても洗練されて見える。彼の言動も同じです。自信に満ちた張りのある声や、カバンの留め金を音を立てずに開ける手際とか。
話も終わり、帰るときに玄関で、「では失礼します」と言う阪本さんに、私は靴べらを差し出しました。
すると、阪本さんは「結構です」と言って、自分のスーツのポケットから小さな靴べらを出したのです。それでシュパシュパと瞬時に靴を履いて、さっそうと出て行きました。
そのとき、私は「営業のプロ」に出会ったような気持ちになりました。ただ、それだけの動作に、私は一流営業のオーラを感じたのです。
私のスーツの右ポケットの中にはいつも携帯用の靴べらが入っていて、それを使います。
なぜか。理由はシンプルです。
お客様の家のものを使うのは、その家に来た「お客様」がすること。
私は訪問者であっても「お客様」ではありません。
目次
はじめに —— 新聞も本も読まない。手帳も薄くてざっくり。そんな私がトップ営業になれた理由
第1章 相手目線で、ちょっと違うことをやる
- 土足で家に上がる営業
- 私たちは、「お客様」ではない
- 靴べらでつかむのは、お客様の心
- まず「普通の営業だったらどうするのか?」を考える
- アポは2分遅れでも必ず電話を
- 「かっこ悪い」お辞儀こそ、最大の武器
- スーツは仕事のためか、それともデートのためか?
- 時計はすべて、黒革ベルトに銀縁、白フェイス
- あなたのライバルは誰か?
- 切手に乗せた、30年の重み
- 営業とは、何者なのか?
- 座って待つのはお客様だけ
- スティックシュガーの行く先は?
- 名刺の「裏面」で距離を縮める
- レベル10とレベル11の営業。その1の差が、とてつもなく大きい
- クイックレスポンスの前に、やるべきこと
- 留守番電話サービスセンターの人は誰?
- アポキャン電話こそ大歓迎
- 携帯からのメールは注意
- ゴルフ場で、「ナイスショット!」なんて言わない
- ゴルフ場で、かゆいところに手が届くアイデア
第2章 「ちょっと違うこと」から気づく、大事なこと
- テクニックは、人真似から始まる
- 真似の先に、大きな変化がある
- お客様は、商品と一緒に空気を買う
- 社内でもワイシャツの腕まくりをしない、本当の理由
第3章 営業マン・ウーマンは弱いものである —— 自分の弱さを認めるということ
- 「夢」を本音で書き出すと、一歩前進できる
- 仕事に打ち込むために、家族と別居する
- アポ取りは、あえて家族のプレッシャーの下で
- つらいことと対峙せず、肩を組んで仲よくする
- 心から望むのは、どっちの「楽」か
- どんなに自宅近くにいても、絶対に直帰はしない
- プライドを持つことよりも、プライドを捨てること
第4章 そんな私も新人でした。営業現場で一から学ぶこと
- 新人時代だから持てる武器
- 出直しは「後日」ではなく「翌日」に
- お客様の心をゆっくり溶かす
- 「あなたには欠点がある」と言われたプルデンシャル生命の面接
- 前職の成功体験は全部忘れて、一から出直す
- 独身女性に教わった、生命保険の価値
- トップ争いで自分を見失う
- 最初は「出世」や「お金」のためでいい
第5章 営業とは、お客様と物語を作る仕事である
- 営業マニュアルに込められた、本当の意味
- 営業とお客様の頭の中は、こんなにも違う
- 最初のアポは体も心も、手ぶらで訪問する
- お客様にとっての「真の興味」はどこにあるのか?
- 相手が本気のときは、お世辞は言わない
- 言うべきときは、恐れず、率直に自分の意見を伝える
- 吹雪の中の一言
- 本は内容だけでなく、気持ちを贈るもの
- 本は、自分の人生観を伝えるもの
- 子供ではなく、自分のための授業参観
- 一番大切なものは何?
- 一生の「手に職」としての営業
- 営業という仕事の、真の魅力
おわりに
かばんはハンカチの上に置きなさい ― トップ営業がやっている小さなルール
川田修(著)
ダイヤモンド社