営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて
冨田和成(著)
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
本の詳細
多くの日本企業では、営業職は個人商店のような扱いのままであることが多い。
その理由は、営業プロセスの体系化や言語化が決定的に不足していることが原因なのではないかと思っている。考えてみれば、営業はどんなビジネスでも欠かせない重要なスキルなのに、MBAで「営業学」を教えないというのも不思議な話だ。体系化されていないため「営業」という言葉の定義も曖昧で、結局は「量をこなしたやつが成果を出す」とか、「コミュニケーション力が大事だ」といった漠然とした話で片付けられたり、「営業なんて誰でもできる」と思われたりする。
そして何より、「土台」がないから組織としての改善がしづらい。
しかし、トップセールスの話を聞けば聞くほど、ベースとなる考え方は同じだったりする。「営業プロセスを分解して考える」とか、「数値目標から逆算して行動目標を決める」とか、「顧客のタイプに応じてアプローチを変える」とか、「常にボトルネックを探して改善を続ける」といったことである。
型が少ないと言えば、テレアポ営業や飛び込み営業などでマニュアルを暗記しただけのような営業に遭遇すると、とても残念な気分になることがある。
おそらく本人には悪気はなく、会社から「お前は何も考えずに機械的にアプローチ件数をこなせばいい」と言われているだけなのだろうが。
しかし、AIが身近な存在になり、レコメンド機能が日に日に進化しているいまの時代に(しかも電話をかけること自体がビジネスマナーに違反すると認識している人が増えている時代に)、一方的に話したいことを話すというのもどうだろうか。
時代が求めるのは最適化であり、それに応じて営業の手法も進化しないといけないと思うのだ。
まず手始めに「営業」を因数分解してみよう。どうやって分解すればいいか迷ったときは、プロセスで分解するのが一番簡単で確実だ。
さらにここに「情報収集とニーズの仮説構築」「見込み顧客管理」「紹介」などのプロセスが適宜入ってくるのが営業の流れだろう。
この分解作業には、1分もかからない。だが、こうやって営業プロセスを可視化するだけでも「自分はプレゼンは得意だけど、リスト選定は結構適当にやっているかも」といった改善ポイントが見えてくる人もいるはずだ。
因数分解力は思考を整理したり、課題の見落としを防いだりするときに欠かせないスキルで、これができると仮説の制度も上がる。
目次
はじめに
序章 日本の営業がアップデートすべきこと
営業の評価が低い世間の風潮
- (1)「個人任せ」から「組織的な改善」へ
- (2)「機転勝負」から「型化」へ
- (3)「画一的アプローチ」から「最適化されたアプローチ」へ
- (4)「御用聞き営業」から「仮説営業」へ
- (5)「セールス重視」から「マーケティング重視」へ
第1章 営業をアップデートするために必要な力
必要な力(1)仮説思考力
- 圧倒的なスピード感で成果を出せる「仮説営業」とは
- 仮説と情報の関係
必要な力(2)因数分解力
- 思考を整理し、課題の見落としを防ぐ
- 因数分解のコツ
- やることが明確になるまで深堀りする
- 大きな数値目標は必ず分解する
必要な力(3)確率論的思考法
- 営業は確率の世界である
- 営業プロセスを数字で把握する
必要な力(4)PDCAを回し続ける力
- 営業におけるPDCA
- PDCAを継続することの難しさ
第2章 マーケティングプロセス
(1)リスト選定・顧客の絞り込み
- 改善ポイントとフロー
- 最重要顧客のペルソナから逆算
- 成長している企業の見つけ方
- スクリーニング条件=ターゲットの共通点
- 無料で入手できるリストはいくらでもある
- 見落としている因子はないか?
- リストの質を効率よく上げる方法
(2)情報収集とニーズの仮説構築
- 改善ポイントとフロー
- 情報収集をしないのはマナー違反
- ニーズの仮説構築に役立つ情報源
- 通知機能を用いた情報収集の自動化
- 型ができれば情報収集の時間は圧縮できる
- 情報を基にニーズの仮説を立てる
- 飛び込みでも情報収集はできる
(3)アプローチ
- 改善ポイントとフロー
- 決裁者から攻める
- 受付突破を制するものは駅業を制す
- アプローチ件数は最重要KPIではない
- 飛び込みとテレアポの効率的な使い分け方
- 受付突破の2大パターン
- 担当者と直接つながる
- トークの展開をフローチャート化する
- アタックリストから外す判断基準
(4)見込み顧客管理
- 改善ポイントとフロー
- 見込み顧客管理はグルーピングが重要
- 効率的に中・長期開拓顧客と接点をつくる仕組み
第3章 セールスプロセス
(5)面談(ヒアリング〜ニーズ喚起)
- 改善ポイントとフロー
- 戦略的雑談で自然と本題に入る
- 人間的信頼関係とビジネス的信頼関係の両立
- 話題展開を事前に想定する
- 一番確実そうな仮説からぶつける
- 「仮説がスベった!」を焦る前に確認したいこと
- 「ありたい姿」を明確にする動的なヒアリング
- 商談を決定づけるニーズ喚起の4大要素
- 効用を喚起するときは内的報酬を意識する
- 課題の伴走者になる
- 商品訴求営業にはニーズ喚起は不要
- 静的な情報はニーズ喚起をした後に聞く
- ニーズ喚起ができるまでプレゼンフェーズに移行しない
(6)プレゼン・検討
- 改善ポイントとフロー
- プレゼンの基本的な流れ
- 冷めたニーズを温め直す
- ストーリーテリングメソッド
- 攻めのプレゼン、守りのプレゼン
- 顧客とは対等な関係である
- プレゼン後の「ターゲットインタビュー」
- 未来の営業職はコーディネーター的存在になる
- 検討期間は必ず期限を切る
- 「上に確認します」に隠された2つ目の意味
- クロージングで失敗する5つの原因
(7)紹介
- 改善ポイントをフロー
- 紹介の連鎖のつくり方
第4章 営業として加速度的成長を果たすための思考と行動
- 螺旋階段
- 成長は「2乗」で起きる
- 「魔の2年目」と言われるわけ
- 定期的に思考を言語化する
- 成長につながらないものに時間を割かない
- 苦手な分野は理論武装すればいい
- モチベーションの維持とセルフトーク
第5章 強い営業組織のつくり方
- マネージャーになることでの成長
- 優秀なツールは優秀な上司を凌駕する
- メンバー全員の合意をどのようにつくるか?
- ゲーミフィケーションをチームづくりに活用する
- 意味合いや目的を重視する20代
- ミッションを意識づけする効用
- チームのPDCAはメンバーとの信頼関係から始まる
- メンバー個人を4タイプに分け、アプローチ方法を考える
- 優れたマネジャーが教える「型」と「自走の仕方」
- 半年に一度の「エースの同伴」を習慣づける
- 競争させるか、ナレッジシェアをするか?
- 「なるほどシート」で成長の相乗効果を促す
おわりに
営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて
冨田和成(著)
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)