ジョン・グッドマン(著)畑中 伸介(訳)
東洋経済新報社
本の詳細
最近になって4台のスピーカーが故障した。不親切な取扱説明書だと思いながらもあれこれいじり、メーカーのフリーダイヤルに電話をかけ、音声メニューに従って20分待たされた揚げ句、その日はあきらめた。2日後、再び電話をかけてみたが、やはり待ち時間が長すぎてあきらめた。結局、私は地元の販売店に出張修理を依頼した。やって来た技術者は私と同様、困り果てた結果、メーカーに電話をかけたが、最終的な結論は、システムすべてをまるごとメーカーに送り返して修理するしかない、というものだった。
何週間も経って、オーディオシステムが私の手元に戻ったが、この案件は、おそらくメーカーのサポートセンターでは「1度の電話で解決した」と記録されただろう。
自社の顧客が体験していること。つまりCXが、あなたの想像以上に悪いことは十分にありうる。ここで問題にしたいのは、「顧客サービス」ではなく「CX」だ。サービスはCXの一部でしかない。
経営者の多くは自社の顧客担当者が礼儀正しくきちんと顧客対応していれば、素晴らしいCXが提供されているものと考えている。しかし、これは事実ではない。
顧客は製品やサービスに対して「何か特別な、驚くほど素晴らしい体験」を期待しているのではなく「自分が注文したとおりのものが、不快な出来事やわずらわしさを体験せずに、手元に届けられることを願っている。」と著者ジョン・グッドマン氏は語ります。
「グッドマンの法則」で知られる著者が解説する、カスタマーエクスペリエンス(CX3.0)のフレームワークと実践事例集。
「何をどのようにマネジメントすることが効果的か」という具体論を説きあかし、CXの戦略構築に向けて、多くの事例とデータをもとに解説しています。
目次
日本の読者の皆さまへ
はじめに
序章 カスタマーエクスペリエンス3.0宣言
第I部 CXから見る顧客像
第1章 なぜ良いサービスが素晴らしい体験につながらないのか
- 顧客の事前期待を理解する
- 予期しない、不快な出来事を起こさない
- 顧客の不満と不安の原因を見極める
- 何も言われないことは、必ずしも良いことではない
- なぜ今のままのCXでは、収益を取りこぼすことになるのか
- CXを強化できるテクノロジー
- 不快な出来事を取り除く
第2章 CX=人+プロセス+テクノロジー
- CXを強化する4つのフレームワーク
- CXの各フェーズにテクノロジーを適用する
- CXの効果を測定する
第3章 何もしない場合のコストを算出してアクションを起こす
- 「最高のCX」が高くつくという誤解
- CXの強化がもたらす収益への影響を測る
- CXの強化で得られる収益を計算する
- CXの強化による効率性を数値化する
- CFOを説得する
- 勝てる戦いをする
第II部 起点から完了までのCXをデザインする
第4章 物事は最初に正しく実行する(DIRFT)
- プロセスは最初が肝心
- 顧客中心の柔軟な文化を作る
- 柔軟性を持ってDIRFTを実行する
- DIRFTの正しい指標を作る
第5章 マルチチャネルからのアクセスを実現する
- 価値をもたらす問合せを促す
- 顧客の問合せの量を決める要因
- 顧客アクセスの計画を立てる
- アクセスのしやすさを管理する指標
第6章 常に顧客を満足させ、時には驚かせる
- すべてのサービスに共通する5つの目標
- 5つの目標すべてを確実に達成するための6つの機能
- テクノロジーを活用する6つの機能
- サービスを測定するための指標
第7章 統合されたVOCを傾聴する
- VOCの目標
- 効果的なVOCシステムの主要な構成要素
- VOCデータの情報源は、必ずしも顧客からではない
- VOCを構築する4つの課題
- VOCシステムの効果を高めるための実用的なヒント
第III部 CX導入のためにすべきこと
第8章 テクノロジーを使いこなす
- テクノロジーを理想的なCXに連携する
- テクノロジーの進化による影響を滑らかにする方法
- 一般的なテクノロジーの評価
- CXテクノロジーを測定するための指標
第9章 CXの組織文化を作るマネジメント
- 権限委譲とエモーショナルコネクションを育てる環境を作る
- エモーショナルコネクションを計画的に築く
- 経営者や管理者の役割
- 権限委譲やエモーショナルコネクションを測定する指標
第10章 事例で読み解くCXのストーリー
- CXリーダーの役割を理解する
- 危険をはらむCXリーダーの2つの役割
- CX強化の道のりからの教訓
訳者解説
- 本書のねらい
- CX1.0からCX3.0へ
- 本書のキーワード
- ロイヤルカスタマーを作るために
ジョン・グッドマン(著)畑中 伸介(訳)
東洋経済新報社