ATT(エーティーティー)とは、アベレージ・トークタイム(Average Talk Time)という英語の略語で、平均通話時間の意味。
1回の電話応対で、お客様との会話に費やした時間の平均値を出したもの。
また、後処理なども含めた、お客様1人に費やした総時間の平均を「AHT」(平均処理時間)と言います。
ATTの計算式
総通話時間 ÷ 総コール数 = ATT
一般的なATTの計算式は、総通話時間を総コール数で割ったもの。
コンタクトセンター スーパーバイザー 完全マニュアル/日本コンタクトセンター教育検定協会 (著) FOM出版より
ATT Average Talk Time
オペレーターが顧客(電話のかけ手)と通話している時間の平均(保留時間は測定に含めないことが望ましい。保留時間を除外できない場合、スタッフ稼働率の計算の際に考慮する)。
支援システム+業務プロセスの検証でATTを短縮
顧客コンタクトを要領よく、適切に行う。短ければよいというわけではないが、優秀なオペレータならば品質を落とさず、通話時間も短い。
だが、適切な支援システムを使えば、スキルの低いオペレータでも上級者レベルのスムーズな応対ができるようになる。
コールセンターのすべて ― 導入から運用まで/菱沼千明 (著) リックテレコムより
スキルベースルーティング
顧客応対ソフト(CIS)
ワークフローツール
対話型音声自動応答装置(IVR)
問題解決支援ツール
生産性を高めるためには、オペレータの処理能力に頼るだけではいけない。業務プロセスに無駄がないかを検証し、適切な技術導入と効果的な運用をすることが第一である。
ATTの短縮問題
平均通話時間は、用件の内容などで状況が変わってきます。
効率化、コスト削減のために単純に通話時間を短縮することは充分とはいえません。
たとえば、ある家電メーカーでは、修理予約を受付るコールセンター担当者は顧客との会話を効率的に処理するように指示されていた。
顧客体験の教科書/ジョン グッドマン(著) 東洋経済新報社」より
通話時間を短縮しようと性急に処理を進めた結果、修理担当の技術者は必要な部品を準備せずに顧客先に出向いてしまい、問題解決に2度の出張修理が必要となった。
改善後は、コールセンター担当者には余裕のある通話時間が認められ、「食洗機の不具合はどの段階で起こっていますか」「水はどの箇所から漏れていますか」という確認質問ができるようになり、2度以上の訪問を要する案件が30%減少した。
電話で話す時間をわずかに延ばしただけで、無駄な出張訪問の費用が削減でき、家で待たされる顧客の不満も軽減される効果につながった。
「平均処理時間の短縮」ということであれば、通話後の後処理時間を短縮することが重要です。
システムの改善等でオペレーターの負担を軽減するなど、積極的な改善が必要です。
業務効率指標による一元的管理はNG
コールセンターの効率性を図る指標を1件当たり処理単価、あるいは時間あたり処理件数・稼働率・応答率等のみに設定してしまうのは陥りがちな誤りです。
費用・時間と処理数の割り算では、収益に対する効果はすなわち算出できません。単純な生産性・業務処理効率と、費用対効果は異なるからです。言い換えると、業務効率指標と収益指標は違うものさしです。
1時間に処理した電話の件数は、単純な業務処理効率の指標です。
コールセンターに業務処理効率ばかりを要求すると、引き上げやリピートの売上機会損失・顧客ロイヤリティの毀損を招きます。
コールセンター用語集|「A」|ATT