データマネジメント 業務改善の正攻法 戦略から実践

データマネジメント 業務改善の正攻法 戦略から実践

データマネジメント 業務改善の正攻法 戦略から実践

株式会社データ総研(著、編集)
日経BP社

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本の詳細

ある顧客が窓口で「私の携帯電話が使えないがどうなっているのか」を訴えているとしよう。窓口担当者は当該顧客のIDまたは携帯電話の番号を入力し、画面を見ることになる。

注目していただきたいのは四つに区切られて表示された情報がそれぞれ別の情報システムで管理されていることだ。契約管理システム、コールセンターシステム、請求・入金管理システム、設備監視システムである。

四つのシステムでバラバラに管理されてきたデータが、顧客IDで一つに束ねられることにより、窓口担当者は顧客に起きていることの全体を把握できる。この仕組みがなかったときは、担当部署の管轄外のことは他部署に問合せ、対応がたらいまわしとなることもたびたび起きていた。このような対応は顧客満足度を低下させる要因となっていたが、データの統合により業務が改善されることになる。

データを整えるといった場合、いくつかの取組みがある。地味で細かい話になるが、この細かい作業をしない限り、データは統合できない。

まず、データに付けている名称の確認である。例えば「顧客」といったとき、それが受注先なのか、出荷先なのか、請求先なのかを確認し、名称を見直す。すべてを顧客と呼んできたが区別が必要なら名称を複数用意して付け直す。逆にまったく同じデータにもかかわらず別の名称を付けていることもあり、その場合は名称を統一する。

名称が整理できたら、そのデータの形式を決め、新旧のデータの形式を揃えていく。同一の会社であっても、ある部署は顧客の会社名しか記録していないが、別の部署は部署名まで登録しているといったように、顧客データの管理の細かさが異なっていることがしばしばある。つまり「データの粒度」に差があるわけで、そのままでは部署にまたがって顧客のデータをまとめられない。

地味な取組みを粘り強く続け、データを見直し、統合していくことで、リスクマネジメントやコンプライアンスに不可欠な正しいデータを担保できる。複数の拠点で担当していたデータの管理業務を一本化し、オペレーションコストの削減につなげられる。

目次

はじめに

序章 データマネジメントとは何か

[寄稿A] 情報システム開発の生産革新
ビッグローブ株式会社

1章 企業の競争優位を創造するデータマネジメント体系

1.1 データマネジメントの全体像

  • 1.1.1 データライフサイクル
  • 1.1.2 データマネジメントプログラム
  • 1.1.3 データインテグレーション
  • 1.1.4 データデザイン
  • 1.1.5 データ活用支援

1.2 データマネジメント戦略

  • 1.2.1 データマネジメント戦略とは
  • 1.2.2 企業全体のデータ要件定義
  • 1.2.3 データマネジメント成熟度目標設定
  • 1.2.4 データマネジメントフレーム構築
  • 1.2.5 データ構造最適化計画立案
  • 1.2.6 データ統合基盤計画立案
  • 1.2.7 データ活用支援施策立案
  • 1.2.8 データマネジメント推進プログラム確定

1.3 データガバナンス

  • 1.3.1 データガバナンスとは
  • 1.3.2 データガバナンス規約
  • 1.3.3 運用のあり方

[寄稿B] Hondaにおけるデータマネジメントの取組み〜真のグローバルオペレーションをめざして〜 本田技研工業株式会社

2章 全体最適のカギはデータインテグレーション

2.1 マスタデータ管理(MDM)

  • 2.1.1 マスターデータ管理(MDM)とは
  • 2.1.2 マスターデータ統合のポイント

[寄稿C] DOA(データ中心アプローチ)によるデータインフラ整備とグローバル活用 ヤマハモーターソリューション株式会社

2.2 インタフェース管理

  • 2.2.1 データ統合の要となるハブシステム
  • 2.2.2 データハブの要件

[寄稿D] エンタープライズデータハブへの挑戦
株式会社アイ・ティ・イノベーション

2.3 共通イベント管理

  • 2.3.1 情報系システムのデータ統合
  • 2.3.2 ODS/DWHに格納するデータの統合単位
  • 2.3.3 蓄積する際のテーブルのデータ構造
  • 2.3.4 ODS/DWHのデータクオリティ
  • 2.3.5 データの管理者について

[寄稿E] IMDAによる金融機関のデータマネジメント支援
株式会社NTTデータ

3章 データデザインの勘所

3.1 業務視点のデータモデリングの価値

  • 3.1.1 データモデリングとデータ中心アプローチ(DOA)の原則
  • 3.1.2 業務データモデルが示す業務ルール
  • 3.1.3 エンティティの類型化
  • 3.1.4 エンティティの配置標準化

[寄稿F] システム見える化プロジェクト 株式会社ジェーシービー

3.2 メタデータ管理

  • 3.2.1 メタデータ管理の意義と進め方
  • 3.2.2 メタデータ管理を進めるための要件
  • 3.2.3 メタデータ管理が目指すべき具体例
  • 3.2.4 成功させるためのポイント

[寄稿G] データモデルとメタデータ管理の実践 株式会社大成情報システム

3.3 データモデルパターン

  • 3.3.1 安定的かつ汎用的なデータ構造をデザイン
  • 3.3.2 部品展開と工程展開
  • 3.3.3 商品管理
  • 3.3.4 価格の持ち方
  • 3.3.5 契約の管理
  • 3.3.6 予実対比と進捗管理
  • 3.3.7 物流と受払の視点
  • 3.3.8 点と線の管理
  • 3.3.9 履歴の考え方

[寄稿H] モデル中心のアプローチによる手作りERP

業務データモデルの表記ルール

椿論 企業情報システムの理想像
〜サイロフリーを実現する〜

はじめに・”DOA(Data Oriented Architecture)”の推進

I サイロ(SILO)フリーのシステムアーキテクチャ

  • I. 1 情報処理空間(PD)とその拡大
  • I. 2 3階層通信場アーキテクチャ
  • I. 3 ビジネスシステムの構造
  • I. 4 個別アプリ間通信場E2/E3の考察
  • I. 5 マネジメント通信場M2
  • I. 6 DHアーキテクチャ事例
  • I. 7 システムアーキテクチャ構築の手順
  • I. 8 6種類のDHタイプ(DHt)
  • I. 9 今後の課題

II 図面によるシステムの客観的可視化

  • II. 1 画面言語
  • II. 2 THデータモデル図
  • II. 3 IPF(Information Process Flow)チャート
  • II. 4 メタデータ定義
  • II. 5 加工データの扱い
  • II. 6 データ意味論
  • II. 7 個別アプリケーション(E1)の開発手順
  • II. 8 ザックマンアーキテクチャと椿の方法論
  • おわりに・21世紀は企業連携アプリケーションの時代

編著者一覧

おわりに

 
データマネジメント 業務改善の正攻法 戦略から実践

データマネジメント 業務改善の正攻法 戦略から実践

株式会社データ総研(著、編集)
日経BP社

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