データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標
マーク・ジェフリー(著)、佐藤純(訳)、矢倉純之介(訳)、内田彩香(訳)
ダイヤモンド社
本の詳細
これらの調査結果に、私はショックを受けた。過半数の企業にマーケティング活動を管理するプロセスがなく、また、大半の企業で効果を判断する指標の設定や測定なしに日々のマーケティング活動が行われているのだ。予算化される前に財務計画やマーケティング投資収益率(ROMI)が設定されていなかったら、いったいどうやってキャンペーンの成否を判断するというのだろうか。
マーケティング組織におけるデータの活用状況を見ると、格差はさらに明白だ。
つまり、データを集約してマーケティング活動の管理や最適化ができている企業は少ない。一方で、できている約2割の上位企業は、データ・ドリブン・マーケティングを使いこなし、日々のマーケティング活動においても適切な指標で効果測定を行っている。後述する通り、これらの企業は業績や市場シェアでも同業他社に大きく差をつけている。
私の経験上、多くのマーケティング担当者は大量のデータに圧倒され、成果を向上させるための効果測定についてはどこから手をつければよいのかわからない、という状態にある。加えて、55%の管理職が自分の部下はNPVやCLTVといった指標を理解していないと回答している(NPVをはじめとした財務系指標は5章で記述し、6章はCLTVに特化している)。
あなたの属する組織が世の中の8割の企業と同様にデータ・ドリブン・マーケティングを実践できていない、あるいはあなた自身がこれらの指標に馴染みが薄いからといって悲観する必要はない。本書を使って、上位企業との間の溝をぜひ埋めてほしい。あなたの職場でのマーケティング指標を使ったデータ・ドリブン・マーケティングを実践してもらうために適切な指標、ツール、事例および手順を示すことが本書の目指すところだ。
目次
はじめに
第I部 データ・ドリブン・マーケティングのアウトライン
第1章 マーケティング格差
- なぜ、データ・ドリブン・マーケティングは難しいのか
- マーケティング格差はどこから生まれるか
- 15の重要なマーケティング指標
- 事例
- 上位企業と下位企業におけるマーケティング予算上の大きな違い
- マーケティング指標の活用により多難な時代を乗り越えよ
- はじめの一歩 データ・ドリブン・マーケティング戦略を策定する
第2章 何から始めるべきか?
- データに基づく意思決定を妨げる5つの障壁
- 第1の障壁を乗り越える:どう始めてよいのかわからない障壁 簡単なデータから始めて、クイック・ウィンを作る
- 第2の障壁を乗り越える:因果関係不明の障壁 小さな実験を通じて因果関係を検証する
- 第3の障壁を乗り越える:データ不足の障壁 顧客データを収集する戦略を立てる
- 第4の障壁を乗り越える:ITリソース、ツール、投資の障壁 データ・ドリブン・マーケティングのインフラを構築する
- 第5の障壁を乗り越える:組織と人の障壁 データ・ドリブン・マーケティングを企業文化に埋め込む
第3章 10の伝統的なマーケティング指標
- マーケティング効果測定という難題
- マーケティング活動に合った評価指標を選択せよ
- 認知向上マーケティング
- 比較検討・評価マーケティング
- ロイヤルティ・マーケティング
- マーケティングの黄金指標:顧客満足度
- マーケティング運用上の最重要指標
- 需要喚起型(トライアル)マーケティング
- マーケティングのバランス・スコアカード
- B2B企業が直面する測定の課題とその解決法
第II部 マーケティングの成果を劇的に向上させる15の指標
第4章 5つの重要な非財務系指標
- ブランドイメージの形成 重要指標 ① ブランド認知率
- 消費財企業におけるブランド・マーケティング
- B2B企業におけるブランド・マーケティング
- 比較マーケティング 重要指標 ② 試乗(お試し)
- ロイヤルティ・マーケティング 重要指標 ③ 解約(離反)率
- 顧客満足度 重要指標 ④ CSAT(Customer Satisfaction)
- キャンペーンの運用効率評価 重要指標 ⑤ オファー応諾率
第5章 投資リターンを示せ!
- 財務系指標で語れなければ、経営陣の信頼は得られない
- 重要指標 ⑥ 利益
- マーケティング担当者向けの財務系指標 重要指標 ⑦ 正味現在価値(NPV)、⑧ 内部収益率(IRR)、⑨ 投資回収期間
- マネジメント意思決定のためのマーケティング投資収益率のフレームワーク
- スポーツ・スポンサーシップにおけるマーケティング投資収益率(ROMI)
- 新製品発売時におけるマーケティング投資収益率(ROMI)
- ROMI重要指標の計算 ⑦ 正味現在価値(NPV)、⑧ 内部収益率(IRR)、⑨ 投資回収期間
- 数字のストレステスト:感度分析
第6章 すべての顧客は等しく重要……ではない
- 重要性の高い顧客は、重要視されているか
- 重要指標 ⑩「顧客生涯価値」の定義
- 新たなマーケティング戦略の潮流 顧客価値ベースのマーケティング
- 短期と長期での顧客収益性のバランス
- 顧客ライフサイクル・マネジメント
第7章 クリックからバリューへ
- インターネット・マーケター必須の5指標
- CPC対CPM 重要指標 ⑪ クリック単価(CPC)はグーグル最大のイノベーション
- リスティング広告を最適化する 重要指標 ⑫トランザクションコンバージョン率(TCR)、⑬ 広告費用対効果(ROAS)
- ウェブサイトの出来を評価する 重要指標 ⑭ 直帰率
- アトリビューション分析でリスティング広告を進化させる
- リスティング広告を超えて ディスプレイ広告のインパクト
- ソーシャルメディアにおけるハイパーターゲティング・ディスプレイ広告
- 重要指標 ⑮ 口コミ増幅係数(WOM)でソーシャルメディア・マーケティングの有効度を測定する
第III部 データ・ドリブン・マーケティング 上級編
第8章 アジャイル・マーケティング
- 成否を判定するデータがないために「失敗しない」キャンペーン
- 失敗するなら、早く失敗しろ
- 効果測定を考えたキャンペーン設計
第9章 「まさにこれが必要だったんだ!」
- 「適切なタイミングで、適切なターゲット顧客に、適切な商品を」を実現するデータ分析
- 解析マーケティングの重要アプローチ1 傾向分析モデル
- 解析マーケティングの重要アプローチ2 アソシエーション分析
- 解析マーケティングの重要アプローチ3 決定木分析
- タイミングがすべて イベント・ドリブン・マーケティングの事例
- 解析マーケティングのビジネスケース(稟議のための財務計画)
第10章 データ・ドリブン・マーケティングに必要なITインフラ
- 本当に必要なデータは何か?
- 必要なインフラは戸建て住宅の規模か、高層ビルの規模か?
- 要件の複雑さの度合い
- データウェアハウスへ既存のデータベースをそのまま移すべきか、データベースを再構築するべきか?
- 失敗パターンを予習して失敗を回避しよう
- ハラーズ・エンターテインメント社(カジノ)
- データ・ドリブン・マーケティング用ITインフラのシステム構成
第11章 マーケティングの予算、テクノロジー、プロセス
- 「最高レベル」と「良いレベル」を隔てるものは何か
- マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM) 業界の現状
- マーケティング・プロセス、テクノロジー、業績との関係についての調査
- B2B、B2Cそれぞれにおけるマーケティング投資の内訳 上位企業と下位企業との比較
- 4つの壁を乗り越えて、成果の出るマーケティング・プロセスを実現する
- マーケティング・キャンペーン・マネジメント・プロセスの改善3段階アプローチ
- 調査からの学び 複雑さをコントロールする
- クリエイティブXファクター
- すべての要素を統合する
データ・ドリブン・マーケティング 最低限知っておくべき15の指標
マーク・ジェフリー(著)、佐藤純(訳)、矢倉純之介(訳)、内田彩香(訳)
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