日本能率協会コンサルティング(著)
日本能率協会マネジメントセンター
本の詳細
「あなたの職場は労働生産性が低い」
そう言われたら、誰だっていい気分はしないでしょう。「毎日こんなに必死に働いているのに。何かの間違いではないか?」そう思うはずです。しかし、残念ながら、日本の労働生産性は低く、1993年以降ずっとOECD加盟国の中で20位以下で推移しているのが現実です。
では、なぜそんなことが起きてしまうのでしょうか?
この原因の1つとして考えられているのが、労働時間の長さです。
バブル期以降、日本においてもパートタイムをはじめとする非正規の従業員の比率は一貫して上がっており、2014年度では1/3程度になっています。その結果、全体の1人あたり総実労働時間は徐々に短くなってきており、1995年の1,900時間強から1,750時間程度になっているのですが、正社員の労働時間は、ずっと2,000時間を超えていて、ほとんど変化がありません。
その間、PCの導入が一般的になり、メールシステムや基幹システム、電子ワークフローなど、ITの活用はあたりまえになってきています。ITが導入され、以前よりはエクセレントな業務になっているはずなのに、職場の状況はあまり変わっていません。一体なぜでしょうか?
じつは、これらの謎を読み解く鍵は、デスクワーク中心の本社の仕事、ホワイトカラーと言われるオフィスワーカーの職場の仕事そのもの、働き方にあります。
そして、今、その状況を大きく変えることが求められているのです。
製造ラインの仕事は「完成品・成果物につなげる」が明確です。そもそも明確になっていないと製品の量産はできません。また一工場が扱う製品数も業界によって多い・少ないは異なるものの、必然的に限られます。
ところが、一方の管理間接部門、とりわけ処理的な仕事ではない、企画的な仕事(課題対応業務)は、「考えるための情報が定まらない」「完成品・成果物を製品のように緻密に規定できない」特性があり、手順は一定化しません。また扱う課題・情報種類も多岐にわたります。したがって製造ラインのような繰り返し性の高い作業に適した改善方法をそのまま適応することは極めて難しいのです。
特に製造業の場合、製造ラインの現場改善での成功体験が大きく、それが競争力の源泉である事実もあり、管理間接部門特有の改善方法に着手するきっかけがない、なかなか取り組めない実態があります。改善対象部門が、このような「既存の改善のやり方・切り口」を疑う発想を持つことも、業務改革・改善に向けての大きな課題と言えるでしょう。
目次
はじめに
STEP 0 なぜ業務改革・改善が必要なのか?
- あなたの職場に業務改善が求められるわけ
- オフィスワークの職場の特性
業務改革・改善診断
Column 製造業が陥りがちな改善活動の形骸化
STEP 1 業務改革・改善企画を立てる
- 業務改革・改善のねらいを明確にする
- 業務改革の2つのアプローチ
- プロジェクトの体制を設定する
- プロジェクトの目標を設定する
- 基本方向性を設定する
- プロジェクトの全体計画を策定する
STEP 2 業務を見える化する
I 業務プロセス改善
- 業務項目の見える化
- 業務量の見える化(1)業務量調査
Column 目標水準はどれくらいが適正か?
- 業務量の見える化(2)ABC分析
- 業務量の見える化(3)ワークサンプリング
- 業務量の見える化(4)タイムスタディー
- 業務分担の見える化
- 部門間の機能重複の見える化
- 部門の業務特性の見える化
- スキルの見える化
- 成果物の見える化
- 品質不具合の見える化
- 業務の流れの見える化
Column 帳票の流れを中心に業務フローを描くプロセスチャート
- 詳細プロセスの見える化
- 業務実施満足度の見える化
II ワークスタイル改善
- 就業時間や残業の見える化
- 仕事の中身の見える化
- 仕事発生時間の見える化
- 予定実績の見える化
STEP 4 改善具体案を検討する
I 業務プロセス改善
- 業務プロセス改善とは
- 業務の有効性評価による改善
- ICOM定義による改善
- 帳票の改善
- 業務分担の見直し
- 業務実施タイミングの集中・分散
- 業務の標準化
- スキルの向上
- 品質不具合の改善
- アウトソーシング
II ワークスタイル改善
- 会議の見直し
- メールの見直し
- 対面コミュニケーションの見直し
- マルチ化・助け合い・応受援
- オフィス環境を変える施策
Column 選ぶべきツールはアナログ? デジタル?
STEP 5 改善を実行する
- 改善の壁と進めるポイント
- 全社を巻き込むポイント
- 現場の意識を高める
- マネジャーのあるべき姿とは
Column 助け合える職場を作る小さな工夫
STEP 6 改善のモニタリングとアクション
- 推進状況を管理する
- 進捗が遅れた場合のアクション
- 成果のモニタリング
- 自立的な改革・改善を進められる組織にするために
- 組織的に業務改革を継続させる5つのメカニズム
あとがき
図表一覧
Step 0
- 図表0-1 業務改革活動の目的
- 図表0-2 業務改革活動で重視しているプロセス
- 図表0-3 オフィスワークの仕事の特徴
- 図表0-4 製造現場とオフィスワークの職場の業務の標準化度合いの違い
- 図表0-5 製造現場とオフィスワークの職場の業務マネジメントの違い
- 図表0-6 よくある「ムダだらけの職場」の風景
- 業務改革・業務改善診断
Step 1
- 図表1-1 業務改革のねらい
- 図表1-2 改革範囲の設定の考え方
- 図表1-3 業務改革の2つのアプローチ
- 図表1-4 企業文化、企業風土とは
- 図表1-5 仕事の見直しの概略手順
- 図表1-6 効率的な働き方を阻害する4つの制約条件
- 図表1-7 業務改革プロジェクトの推進体制設定例
- 図表1-8 目標の設定方法
- 図表1-9 問題の設定
- 図表1-10 目標の構成要素
- 図表1-11 面積目標と高さ目標
- 図表1-12 指標を設定しにくい場合の設定方法
- 図表1-13 改革方向の設定例
- 図表1-14 業務改革の方向
- 図表1-15 業務改革の8つの視点
- 図表1-16 基本計画の例
- 図表1-17 大・中・小日程の意義
Step 2
- 図表2-1 業務体系表フォーマット
- 図表2-2 業務分類の概念(人事部の例)
- 図表2-3 業務体系表の例
- 図表2-4 業務量調査票(時間積上げ型:平均値を直接設定する場合の例)
- 図表2-5 3点見積もり法の考え方
- 図表2-6 業務量調査票(時間積上げ型:3点見積もり法の例)
- 図表2-7 業務量調査票(時間比率型)
- 図表2-8 業務量調査票(時間積上げ型)の記入例
- 図表2-9 ABC分析フォーマットの例
- 図表2-10 ABC分析グラフ
- 図表2-11 観測数の決め方
- 図表2-12 観測フォーマットの例
- 図表2-13 ワークサンプリング観測結果の例
- 図表2-14 業務分担表の例
- 図表2-15 業務マップの例
- 図表2-16 業務マップの6つの見方
- 図表2-17 機能ポジショニングマップの例
- 図表2-18 代表的な事業プロセス
- 図表2-19 本社の機能構成
- 図表2-20 本社機能定義の例
- 図表2-21 機能ポジショニングマップ分析例
- 図表2-22 機能ポジショニングマップ分析例(業務量)
- 図表2-23 業務タイプによる業務特性区分
- 図表2-24 依頼元による業務特性区分
- 図表2-25 発生頻度による業務特性区分
- 図表2-26 意思決定者による業務特性区分
- 図表2-27 業務量の変動性による業務特性区分
- 図表2-28 業務体系表における業務特性区分の設定例
- 図表2-29 業務特性区分ごとの業務量集計例
- 図表2-30 業務スキル表(○付け版)の例
- 図表2-31 業務スキル設定の考え方
- 図表2-32 業務スキル表(スキルレベル版)の例
- 図表2-33 成果物の見える化の例
- 図表2-34 書類の活用度の把握例
- 図表2-35 品質不具合管理表の例
- 図表2-36 品質不具合の簡易な記録例(正の字)
- 図表2-37 推奨する業務フローの使用記号
- 図表2-38 業務フロー記載例
- 図表2-39 業務フローを描く際の基本ルール
- 図表2-40 プロセスチャートの使用記号(JMA方式)
- 図表2-41 プロセスチャートの記載例
- 図表2-42 プロセスチャートの作成ルール
- 図表2-43 プロセスチャートの読み方
- 図表2-44 詳細プロセスの見える化フォーマット
- 図表2-45 詳細プロセスの見える化例
- 図表2-46 部門長による業務実施満足度の整理例
- 図表2-47 業務サービスニーズ度および投入コストの整理例
- 図表2-48 就業時間・残業時間のバラつきの見える化フォーマット
- 図表2-49 上司と部下の働き方プロット図
- 図表2-50 仕事の種類別構成比フォーマット
- 図表2-51 仕事の構成比まとめ結果の例
- 図表2-52 仕事の目的別時間の使い方確認フォーマット
- 図表2-53 日中の改善の考え方、朝・夕方・夜時間帯の改善の考え方
- 図表2-54 業務発生時間帯調査フォーマット
- 図表2-55 業務発生時間帯調査まとめの例
- 図表2-56 予定実績の記録用フォーマット(1)
- 図表2-57 予定実績の記録用フォーマット(2)
Step 3
- 図表3-1 問題とは
- 図表3-2 あるべき姿を描く視点
- 図表3-3 問題の設定の仕方で解決策も変わる
- 図表3-4 定量的に問題点を表現する
- 図表3-5 5W1H1Vで具体的に問題を表現する
- 図表3-6 「なぜなぜ」による問題点の原因(深層問題点)分析
- 図表3-7 ”悪い”問題表現の例
- 図表3-8 改革・改善対象選定の考え方
- 図表3-9 改善発想方法ECRS
- 図表3-10 改善の8視点(1)業務改革5つの視点
- 図表3-11 改善の8視点(2)働き方改革3つの視点
- 図表3-12 業務特性別の改善視点
- 図表3-13 業務プロセスに発生するMPUロス
- 図表3-14 職場に潜在化するロスの構造
- 図表3-15 M面ロスの定量化の考え方
- 図表3-16 P面ロスの定量化の考え方
- 図表3-17 U面ロスの定量化の考え方
- 図表3-18 型作りのための3つの課題領域
- 図表3-19 フォアキャスティングとバックキャスティング
- 図表3-20 マインドマップの例
- 図表3-21 職場タイプと取り組み方向でのテーマ整理のフォーマット
Step 4
- 図表4-1 ICOMとは
- 図表4-2 帳票の改善着眼視点
- 図表4-3 帳票関連図の例
- 図表4-4 第三者よるチェック方法
- 図表4-5 ペアによるチェック方法
- 図表4-6 教育計画の例
- 図表4-7 会議調査票の例
- 図表4-8 会議でよくある残念な現象
- 図表4-9 課題管理表フォーマット
- 図表4-10 会議フィードバックシートの例
- 図表4-11 ホワイトボードの使い方イメージ
- 図表4-12 業務複数担当検討表フォーマット
- 図表4-13 オフィス内コミュニケーションの各ステージ
Step 5
- 図表5-1 改善基本構想書の例
- 図表5-2 変化に抵抗する様々な壁への対応
- 図表5-3 制約条件への対応のポイント
- 図表5-4 プロジェクトを成功させるために実現できた項目
- 図表5-5 業務改革プロジェクトの反省点
- 図表5-6 全社マネジメントのためのツール
- 図表5-7 マネジメントに必要な要素
- 図表5-8 意識改革に有効なアクション例
- 図表5-9 意識改革(チェンジマネジメント)を進めるための活動
- 図表5-10 コミュニケーションのねらいと例
Step 6
- 図表6-1 進捗管理の基本ステップとミーティング
- 図表6-2 どんなアクションをとらなければいけないか
- 図表6-3 KPI、KDIの展開例
- 図表6-4 指標が多すぎると・・・
- 図表6-5 成果管理のレベル
- 図表6-6 管理指標の管理方法
- 図表6-7 自立的な改善・改革実行の仕組み
- 図表6-8 改革活動を継続させるメカニズム(BICYCLEモデル)
- 図表6-9 改革推進組織の編成イメージ
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