平山枝美(著)
日本実業出版社
本の詳細
「いらっしゃいませ、どうぞご覧くださいませ」
おなじみの声出しの定番文句の一つです。この言葉は、場合によっては圧迫感を与えます。販売員からの一方的な言葉であり、あまりにも多用されている言葉でもあるため、時には耳障りにすら聞こえてしまうからです。
入店を促すためには、お客様が思わず耳をそばだてて聞きたくなり、お客様が聞いてよかったと思うような内容を声に出すようにしましょう。
例えば、パン屋で聞く「ただいま、焼き立てです」といった声には思わず振り返ってしまいます。「焼き立てのパンが、冷めないうちに早く買おう」という気持ちにさせる言葉で、お客様の入店を誘います。
これを、自店のお得な情報に置き換えて考えてみます。もちろん、些細な情報でもいいでしょう。「完売していた〇〇が再入荷しました」
「母の日のプレゼント・ラッピングを承っております」
「二点以上のお買い上げで一〇%オフです」
このように具体的な内容を伝えると、お客様に入店を促しやすくなります。セール時期では「いまならフィッティングルームが空いております」「レジに並ばずご案内できます」など、他店の混雑状況を見比べて言葉を選ぶと、お客様を誘導できるでしょう。
ある店で、このような具体的な声出しを実践したところ、お客様が店の前で歩みを緩めるようになり、入店するお客様の数が一・五倍ほどにまで増えました。友達同士で「ねえ、安くなってるんだって」と会話を交わしながら入店することも増えました。
お客様は、一見聞いていないようで、実は販売員の声出しの中身までしっかり聞いているのです。
目次
「接客の言葉」をすこし変えるだけで「売れる販売員」に ーー はじめに
第1章 最初の「お声がけ」はむずかしくない
- 01 「いらっしゃいませ、どうぞご覧ください」は耳障り!?
- 02 「お買い得になっております」は万能ではない
- 03 お客様から嫌がられない「アプローチ」のタイミング
- 04 「よろしければ」はよろしくない!?
- 05 ペアのお客様のほうが声がけは簡単!
- 06 声をかけるお客様を選びすぎない
- Column 1 提案をするのは販売員、購入を決めるのはお客様
第2章 答えづらい質問はしない
- 07 お客様の外見だけで好みを判断しない
- 08 「どんな人ですか?」という質問は答えにくい
- 09 「〇〇をお探しですか?」に応えてもらえない理由
- 10 意味のない質問を連発しない
- 11 「お持ちしましょうか?」とは聞かない
- Column 2 どうすれば顧客が増えますか?
第3章 お客様が聞きたくなる商品説明のコツ
- 12 お客様を不安にさせる語尾「〇〇と思います」
- 13 誤解されやすい定番フレーズに注意
- 14 「私も持っています」の正しい伝え方
- 15 競合店の商品の違いを説明する
- 16 「在庫は店頭に出ているだけ」で終わらせない
- 17 「そんなことないです」は言いすぎに注意
- 18 お客様から「なるほど」を引き出すコツ
- 19 雑談しても売れなければ意味がない
- Column 3 男性と女性で商品説明の仕方が違う
第4章 決め手になる言葉でひと押しする
- 20 「売れています」だけでは決め手にならない理由
- 21 「最後の一点です」はタイミング次第
- 22 お客様にプラス一点をすすめるコツ
- 23 お連れの方を「味方」につける方法
- 24 お客様の仕草から本音を読む
- 25 「これしかないですよね?」への応え方
- 26 レジはお客様と仲良くなるチャンス
- 27 ポイントカードをつくってもらうには?
- 28 お見送りを「ありがた迷惑」にしない
- 29 お客様に喜ばれるほめ方
- Column 4 「カード」はお客様の名前を呼ぶチャンス
第5章 ずっと大切にしたい接客の基本
- 30 お客様を引き寄せる表情をつくろう
- 31 待ち構えるとお客様は逃げる
- 32 売り場をきれいにすると、お客様から嫌われる?
- 33 堅すぎる敬語はお客様を遠ざける?
- 34 閉店五分前はゴールデンタイム
販売の仕事はクリエイティブなもの ーー おわりに
平山枝美(著)
日本実業出版社