杉野幹人
ダイヤモンド社
本の詳細
シリコンバレーで出会った起業家たちも、箇条書きを効果的に使う。プレゼンの最初と最後のページなど、鍵を握るところでだ。世界一ともいえるシリコンバレーの激しい時間競争の中で、目的や結論を短く、かつ魅力的に一瞬で伝え、投資家や従業員を動かしていた。
日本企業のビジネスパーソンが、目的や結論のわからないプレゼンを長々とし、相手に無視され、せっかくのチャンスを逃していたのとは対照的だった。
彼らに共通するのは、箇条書きが抜群に上手いということだ。
箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルだ。もちろん箇条書きという名称ではなく、世界的には「ビュレットポイント(Bullet Points)」と呼ばれて使われている。
「今話したことを、箇条書きにしてもらえませんか?」
学生や若手ビジネスパーソンと話していると、「流れるように話すが、何を言いたいかがわからない」という場面に出くわす。しかし冒頭の質問をすることで、「なぜ意味が理解できないか」を明らかにできる。
結論、あるいは結論に至るまでの論理の曖昧さが、箇条書きにすると一目でわかるからだ。
箇条書きを見れば、その人の思考、そして伝える力がわかる。
情報過多の時代だ。情報を多く、つまり「長く伝える」ことの価値は減っている。
むしろ、「短く、魅力的に伝える」こと、つまり情報を選別し、少なくすることの価値が増えている。
ニュース配信サイトが増えれば増えるほど、それらを要約する「まとめサイト」の人気が高まるのはこの原理だ。
「箇条書き」こそ、これからの時代の最強のサバイバルスキルなのだ。
世界の最前線では、「短く、魅力的に伝える」ツールとして箇条書きが選ばれ、そして使われている。プレゼンに限らない。企画書・報告書づくり、メール作成、議事メモ、会議のファシリテーションなど、「短く、魅力的に伝える」箇条書きは、あらゆるビジネスシーンで使われている。
そこには共通の技術がある。わずか数行の箇条書きであっても、繊細で精巧な工夫が必要なのだ。
目次
はじめに 凡庸にして最強スキル、それが箇条書き
序章 なぜ箇条書きが、最強のビジネススキルなのか?
- 忙しい、時間がない。だから箇条書き
- 同じ内容なのに、「伝え方」でここまで変わる
- 10倍速く、魅力的に伝わる理由
- コンサルタントはなぜ、要点を3つにまとめるのか?
- 「使えるやつ」かは、箇条書きでわかる
- 日本人の「伝え方」のクセとは?
- INSEADで学んだ「コミュニケーションのあり方」
- 今の日本にこそ、箇条書きが必要だ
- これが、箇条書きを超えた『超・箇条書き』
第1章 超・箇条書きの技術① 構造化
- ダメな箇条書き:整理されていない
- 「全体像」をつくれば、一瞬で伝わる
- 構造化の要件は「レベル感を整える」こと
- 「似ているもの」を1つにまとめる
- 構造化のコツ1 「自動詞と他動詞」を使い分ける
- 「落ちる」と「落とす」を比べてみる
- 自動詞を使うときは細心の注意を!
- 体言止めは思考停止につながる
- 構造化のコツ2 「直列と並列」で時間軸を整える
- 時間軸が整理されるとストレスなく読める
- 構造化のコツ3 「ガバニング」で引き出しをつくる
- スティーブ・ジョブズは、ガバニングの達人
- メールには「宣言」が欠かせない
- 文だけではなく、構造にも語らせる
第2章 超・箇条書きの技術② 物語化
- ダメな箇条書き:生々しくない
- 物語化の要件は「フックをつくる」こと
- 物語化のコツ1 「イントロ」でつかみ、相手を引き込む
- 相手の「期待」に合わせ、柔軟に考える
- ユニクロのプレゼンは「ここ」がすごい
- 「アンサーファースト」は万能ではない
- 物語化のコツ2 「MECE崩し」で山場をつくる
- その情報、伝える必要がありますか?
- 「相対的MECE」を使いこなす
- 物語化のコツ3 「固有名詞」で具体的にイメージさせる
- 悩み相談メールも、固有名詞で生々しくなる
- プレゼンは、聞き手を「主人公」にする
- 聞き手とそのコンテキストを考え抜く
第3章 超・箇条書きの技術③ メッセージ化
- ダメな箇条書き:「で、それが何?」で終わる
- メッセージ化の要件は「スタンスをとる」こと
- メッセージ化のコツ1 「隠れ重言」を排除する
- プレゼンにおけるNGワード集
- メッセージ化のコツ2 「否定」で退路を断つ
- ソニーの「開発18か条」は否定が上手い
- ソフトな否定「AよりもB」
- ソフトな否定「AからBになる」
- メッセージ化のコツ3 形容詞や副詞は「数字」に変える
- 海外の履歴書に学ぶ「伝え方のテクニック」
- ビジョンには2つの数字が欠かせない
- 「無難」を選ぼうとする自分が、最大の敵だ
第4章 超・箇条書きをもっと使いこなす
- 超・箇条書きの技術のまとめ
- 超・箇条書き活用法1 ストーリーライティング
- 「自分の強み」をどう伝えるか
- ビジネスプレゼンにこそ、「ストーリー」を!
- 超・箇条書き活用法2 パラグラフライティング
- 企画立案・執筆にも使える
- 超・箇条書きで英語もどんどん上達する
おわりに 箇条書きが、私を救ってくれた
杉野幹人
ダイヤモンド社