これだけ!OJT ― どんな部下も戦力に変わる「計画」「行動」「コミュニケーション」のポイント
中尾ゆうすけ(著)
すばる舎
本の詳細
OJTとは、ただ目先の仕事のやり方を後輩に教えることではありません。
「OJT=仕事を教えること」という誤った理解をしているOJTリーダーが、非常に多いのではないでしょうか?
「仕事を教えなきゃ、仕事ができないじゃないか!」
ごもっともな意見です。
しかし、「必要事項をひととおり教えたら、それでOJTは完了」と思っているなら、少し考えを変えていただくほうがいいと思います。
「仕事を教えること」もOJTの一貫ですが、実際にはもう少し範囲が広く、「OJT=能力向上+成果」ということです。
部下に確実に仕事を覚えさせることは前提として、実務能力を高め、段階に応じた成果を出せるようサポートしていくのが、OJTリーダーに求められる役割なのです。
野球で言えば、基礎トレーニング、筋力トレーニング等の体づくりから、キャッチボールに始まり、守備練習、打撃練習‥‥。それは計画的に、段階的にステップアップするようにトレーニングメニューがつくられています。
一方、職場における仕事のトレーニングの実態はどうでしょうか?
本書ではOJTを推進する立場のOJTリーダー向けにお話をしていきます。
また、話がブレないために、OJT対象者はいちばん多いと思われる新入社員をイメージしてお伝えしていきます。もちろん、2年目でも、3年目でも基本は同じですので、あなた自身が応用していただければどのような階層でも役立つはずです。
OJTは、新入社員だけではなく、すべての階層を育成するための手法なのです。
新入社員の育成を主任・係長クラスが行い、そのOJTを課長が行い、課長のOJTを部長が行う。
このようなことが世代ごと、階層ごとに行われていることを、私は「育成のスパイラルが回っている」と言っています。
「業務との両立がツライ」「教えても教えても伸びてくれない」「そもそも後輩との接し方がわからない」……。人材育成には、こんな不安がつきものです。
本書では「部下や後輩の育成を任されたOJT担当者」のステップアップに必要なことを網羅。
「OJTって何?」という人から、「もう挫折しそう」という人まで、マネジメントの基本が身につきます。
目次
プロローグ
第1章 リーダーが伸びると、部下も伸びる!
- 効果的なOJTに必要なこと
部下・後輩の指導でお困りのあなたへ
理屈よりアクションを起こそう - OJTはあらゆる階層で行われている
「OJTリーダー」とは、実際に人材養成を行なう人
「育成のスパイラル」を回せ! - OJTにおいて、仕事は「能力向上の手段」
「目先の仕事を教えること」が目的ではない
「基礎から順番に」トレーニングを積み上げよう - 損得以上に深刻な「失敗のリスク」とは?
モチベーションのダメージは、簡単に取り戻せない
「最初からデキる部下」も、万能ではない - 「自分の教え方に、疑問をもったことはないか?」
仕事ができることと教えることは別物
部下が入ってきたら、苦労が増えて当たり前 - 「いきなり成果を求めない」のが最短ルート
部下をいったん、「納期」から切り離せ!
教えた「つもり」の勘違いが生まれる仕組み
ゴールと道筋を教えれば自ら応用する - あなたが伸びると、部下も伸びる理由
ほとんどの人は上司に恵まれてない
OJTリーダーが乗り越えるべき心の壁とは?
第2章 まず「目的がハッキリした計画」を立てよう
- OJTの基本はPDCA
職場に散見されるOJTという名の放置プレイ
そもそも最初の「プラン作成」からつまづく人が大多数 - OJTのゴールとは?
新入社員の場合は、「自立」がひとつの目安
2〜3年の中期計画で進めよう - OJT計画書をつくろう
5W1Hで漏れなくダブりなく
最低限入れておくべき3つの要素 - OJT計画書の書き込み方
具体的に書くほど実用的 - ビジネスパーソンに必須の3つの能力
カッツが提唱した「優れた管理者のスキル」とは?
真っ先に伸ばすべきは「対人能力」 - 「業務に必要な能力」の効率的な洗い出し方
必要な専門能力は、仕事内容や職場ごとに違う
基準がない場合は、自分でつくるしかない
仕事の棚卸しをしながら、すこしずつ増やしていこう - 「何ができればいいのか」の目安をつくろう
レベル分けで成長の度合いをハッキリさせる
余力があれば、より細分化する方法も - 客先に同行するときの3ステップ
最初は、「なじみの客先」に行くほうがいい
当初はサブでも、万全の準備をさせておく
主体が部下に移ったら、むやみに口を挟まない - 「OJT計画書」を、うまく活用する方法
プランを「立てる」「書く」が面倒だなと感じたら‥…
行動の指針さえしっかりしていれば、完璧でなくていい
OJT計画書は随時修正が前提
第3章 この「指示の出し方」と「報連相」で能率が一気に上がる!
- 「原理・原則指示」が自立した人材を育てる
1から10まで面倒見る必要はない
「何のためにやるのか」を伝えることが先決 - 応用が利くかどうかは指示内容で決まる
「一度教えた仕事ができない」のには理由がある
「応用できるように」教えないと意味がない - 確認するべきは「理解したか」ではなく「理解した内容」
「はい」と言ったからといって理解しているとは限らない
指示する側の意図と、まったく違う理解をしていることも - 「指示の受け方」を指導しておこう
入社段階では、「社会常識」は通用しないと思っていい
「不足情報を確認するのは自分の仕事」と認識させよう - 「結論だけ」を聞いて指示しない
部下・後輩の「報連相」に理不尽な対応をしていませんか?
「相談しやすい環境」をつくっておくことが欠かせない - 「ホウレンソウ」を徹底するためのルールとは?
押さえておこう、部下にありがちな行動パターン - 口頭指示のみではなく、マニュアルを用意する
マニュアルの特徴は「時間の節約」と「仕事の品質の維持」
効率のよいマニュアルのつくり方とは?
「業務の改善」と「マニュアルの進化」は2つで1つ - いつまでも「お手伝い」をさせておくことのリスク
忙しいOJTリーダーによくある「指示のミス」とは?
「作業だけを任せる」という間違い
説明するということは、「責任をもたせる」ということ - 「自分で答えを出させる」と本人の納得感が大きい
「あえて指示を出さない」のも有効
「ただ聴く」のプロセスでホンネを引き出してあげよう
第4章 スムーズに人が育つ「モチベーション管理」の極意
- 「いろいろ吸収して成長したい!」の落とし穴
もともと、誰もが成長したいと願っている
会社が望む成長と、本人が望む成長は必ずしも一致しない - 「本人の自己実現」と「現実」のギャップをどうするか?
新人社員ならではの不安や悩み
自己実現は、利益を出した先にしか存在しない - 「何のために働くのか」の価値観を押しつけない
モチベーションの源泉は人によっていろいろ
ピントのずれた叱咤・激励はスルーされるだけ - 責任回避のための”優しさ”は極力控えよう
部下の「充実感」を軽視していませんか?
「面倒見がいい」のもほどほどに - 「部下への評価」を本人に納得してもらうコツ
勝手に能力を決めつけると反感を買ってしまう
「何ができないとダメか」を具体的に知らせよう - 部下との認識のズレを最小限にする秘策
普段の会話で十分認識を一致させられる
一方的なだめ出しを避け、次のステップに進む基準を共有する - 認めるべきことを、公平に認めよう
成果を出しても関心をもたれないのはツライ
「あなたのために働きたい」と思ってくれる接し方 - 組織からの評価に、疑問があるときの対処法
「正当に評価してくれる会社かどうか」は気がかりなところ
ときには会社への働きかけが必要なこともある - 社内のローカルルールとの付き合い方
会社の「暗黙のルール」をどう説明するか
「空気を読め」などと言って適当にごまかさない - 部下はいつも「自分への信頼の度合い」を測っている
「心のこもらない年賀状」に心当たりありませんか
「一体感」を感じられるメッセージがいちばん嬉しい
OJTリーダーの一言が、モチベーションに直結する
第5章 実践!「信頼MAX」で成果が最大になる心得
- 新人との「経験の差」をどうやって埋めるか
「今どきの新人」はいつでも理解しがたいもの
「経験」を伝えることで、新人の脱皮を早められる - 成長が遅れ始めた部下にこそ期待をかけよう
「伸びないのは無能だから」なのか?
あなたが期待し続ければ、いずれ期待に応えるようになる - 人材育成では、スキルより「信頼」がモノを言う
「何を教わるか」より「誰に教わるか」のほうが重要
OJTリーダーが信頼を得る方法 - みんなで育てるという意識をもとう
いつの間にか、部下を囲い込んでいませんか?
お互いに遠慮して後輩を遠巻きにするのは非効率 - どんなときも「見本」としてふさわしい行動をとる
ルールは言葉だけでは徹底されない
簡単に例外をつくらないようにする - OJTのキモは、その目的を明確にしておくこと
部下・後輩を「コスト」にしないために
まず「自分自身がどうなりたいのか」を自覚しよう
エピローグ