職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門

職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門

職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門

松尾 睦(著)
ダイヤモンド社

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本の詳細

経営者レベルにおいても、自分や自社への思いだけでなく、
他社への思いを持つことで、
個人的にも組織的にも成長できることがわかります。

ある段階までは自分への思いだけで成長できるのですが、
成長し続けるためには、周囲や組織のことを考えられるか、
顧客や社会のことを考えられるかが大切になるといえるでしょう。

一流の域に達するには、精神的成長が欠かせません。
なぜなら、精神的成長が能力的成長を後押しし、強化するからです。
つまり、精神的成長は、経験から学ぶ力の一部でもあるのです。

「営業マンを支援する営業所長(注:課長にあたる)と、
支社全体を管理する支社長(注:部長にあたる)では、
必要となる管理技術が異なります。

営業所長から支社長になるのは、転職のようなものです。

営業所長は直接、営業マンを支援しますが、
支社長は営業所長を介して営業マンを支援しなければなりません。

営業マンの仕事が、モノを直接手で右から左に移動させることだとしたら、
営業所長の仕事はマジックハンドを使ってモノを動かすようなもので、
支社長になると、マジックハンドを使って
マジックハンドを操作しているようなものです。」

「ミドル・マネジャーと違って、シニア・マネジャーになると
事業を作る力があるかどうかが問われます。

ミドルまではオペレーター、
つまり与えられた業務を遂行する人でいいわけです。

自分はミドルマネジャーの頃、『君はスーパーオペレーターだけど、
それだけじゃ上にいったときに通用しないよ』と言われました。

シニア・マネジャーになると、人間力、総合力が求められます」

マネジャーとしての成長を目指す人であれば、
ミドル・マネジャーのハジゴ、
シニア・マネジャーのハシゴを上らなければなりませんが、
中にはスペシャリストとしての道を究める人もいます。

スペシャリストを目指す人は、自分の専門の領域を二つ三つと増やすなど、
プレイヤーとしての階段を、さらなる高みに向かって上ることになります。

ホフマンという研究者は、熟練者たちから尊敬される真の熟練者たちを
「マスター(master)」と呼んでいますが、
一つの領域に特化してマスターを目指すという道もあるのです。

適切な「思い」と「つながり」を大切にし、
「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、
ビジネスパーソンは経験から多くのことを学ぶことができる。
と著者は語ります。
これが本書が主張する核心部分です。

優れたマネジャーへのヒアリングを多用し、
現場で応用可能な育成ツールも紹介しながら、
『経験から学ぶ力』の身につけ方をわかりやすく解説しています。

目次

はじめに

序章 経験から学べる人、学べない人

第1章 成長とは何か

能力的成長と精神的成長
能力的成長とは
精神的成長とは
プレイヤーとしての成長、マネジャーとしての成長
時代に合わせた「学びほぐし」

第2章 経験から学ぶ

70:20:10の法則
一皮むけた経験
[コラム] 守・破・離の考え方
自ら経験を創り出す
経験学習のサイクル
「よく考えられた実践」でサイクルを回す
[コラム] 学びにくくなっている日本の職場

第3章 経験から学ぶための三つの力

根っこを育てる
経験から学ぶ力の三要素
(ストレッチ系の学ぶ力)
なぜストレッチが必要か
方略1 挑戦するための土台をつくる
方略2 信頼を得てストレッチ経験を呼び込む
方略3 できることをテコにして挑戦を広げる
まとめ ストレッチの足場を作る
[コラム] 自分の頭で考える「ノウイング」
(リフレクション系の学ぶ力)
なぜリフレクションが重要なのか
方略1 行為の中で内省する
方略2 他者からフィードバックを求める
方略3 批判にオープンになり未来につなげる
まとめ 進行形で内省する
[コラム] 持論を問い直す「内省的実践」
(エンジョイメント系の学ぶ力)
なぜエンジョイメントが必要なのか
方略1 集中し、面白さの兆候を見逃さない
方略2 仕事の背景を考え、意味を見いだす
方略3 達観して、後から来る喜びを待つ
まとめ 仕事の意味を発見する
[コラム] 仕事に関心を持つ「内発的動機づけ」

第4章 「思い」と「つながり」

(思い)
適切な「思い」が成長を決める
自分への思い、他者への思い
経験から学ぶ力のドライバー
顧客のために働くこと
成長したいという思い
二つの思いを融合する
[コラム] 利己と利他
(つながり)
発達的なつながり
発達的な「つながり」を構築する方法
職場外から率直な意見を聞く
人を選び、誠実につきあう
自ら発信し、相手を受け入れる
[コラム] 発達的ネットワーク
(「経験から学ぶ力」のまとめ)

第5章 学ぶ力を育てるOJT

OJTのサイクル
[コラム] 「育て上手のOJT指導者」調査の概要
調査でわかったこと
目標をストレッチする
進捗を確認し相談をうながす
内省をうながす
ポジティブ・フィードバック
年次により指導方法を変える
人材をつぶす指導者の特徴
OJT力をアップする
[コラム] 伝統的なOJTの手法

第6章 学ぶ力を高めるツール

三種類の診断ツール
ツール1 経験学習力チェックリスト
ツール2 経験学習カルテ
ツール3 経験キャリアシート
職場でワークショップを開く
マニュアルや事例集を作成する

おわりに

 
職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門

職場が生きる 人が育つ「経験学習」入門

松尾 睦(著)
ダイヤモンド社

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