尾原和啓(著)
幻冬舎
本の詳細
出世するため、お金のため、モテるため、美味しい食事やワインをたのしむために、人生まるまる仕事に捧げる上司を見て、「自分はこうはなれない」「自分はこうはなりたくない」と思ったことはないでしょうか。
やる気がないわけではないけれど、そんな上司のようなモチベーションは自分にはない。かといって、なんのためなら頑張れるか、分からない。そんなことを思ったことはないですか。
実は、「なんのために頑張るか」という働くための価値観、つまりモチベーションが、ある世代を境に大きく変わってきています。
時代は大きくうつり、今の30代以下は団塊世代以上とは全く異なる価値観を持っています。生まれたころからすでに何もかもが揃っていたので、物や地位などを欲して頑張ることはない。埋めるべき空白が、そもそもないのです。
人間の欲望というのは、「達成・快楽・意味合い・良好な人間関係・没頭」の5つからなります。
団塊世代以前は前の2つ、「達成」「快楽」を強く欲しました。汗水垂らして頑張って、高い目標を達成する。そして、そのごほうびとして、美味しい料理を食べ、ワインを飲み、きれいな女性と一夜を共にするなどの「身体的・心理的・社会的な快楽」を味わうことが幸福のカタチでした。
しかし「乾けない世代」は、うしろの3つ、「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」を重視します。
何か大きな目標を達成するため、「身体的、心理的、社会的な快楽」を味わうことのためだけに、一心不乱に頑張ることはできないのです。
それよりも、「自分が頑張る意味が持てるもの」に「自分が好きな人たち」と「とことんハマる」ことを重要視する。金銭や物理的な報酬とは関係なく〝自分の好き〟を追求する。
出世するために残業する気は起こらないけれど、好きな友達と、お気に入りのアイドルのライブを助けるボランティアスタッフとしてなら、朝まで働ける。そんな気持ちになったことはないでしょうか?
そんな新しいモチベーションを持つ「乾けない世代」が、これからは世の中の中心になっていきます。
ダーウィンは、「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」という有名な言葉を残しました。社会とテクノロジーが進化しても、人間の身体の形はほとんど変わっていません。
しかし、その人間を動かすガソリンである、モチベーションの形というのは革命的に変わってきているのです。モチベーションの変化は目に見えないものですが、この「モチベーション革命」を正確に捉えられなければ、自分をドライブできないし、チームとしても仕事と人を上手く動かすことはできません。
本書は未だに誰も言語化できていない「モチベーション革命」の全貌を把握するために生まれた本です。
- 上の世代から理解されないなか、自らをダメと思ってしまっている「呪い」をどうやってといていくのか?
- 自らのうちにある「本当に大事なもの」をどうやって育んでいくのか?
- 上の世代とコラボレーションしていくため、変化の時代に対応していくためにいかにチームを作っていくか?
読んでおきたいコールセンター参考書|モチベーションに関する参考書
目次
第1章 「乾けない世代」とは何か?
- 何もなかった世代と「すでにある世代」
- 自己成長と社会貢献がつながっていた「乾いている世代」
- サイゼリアのワインで十分だ
- 世界で一番質素なお金持ち
- やりたいことがないのは不幸?
- 幸せには、5種類ある
- 「乾けない世代」の幸せとは?
- 「乾けない世代」こそが活躍する
第2章 偏愛こそが人間の価値になる
- ビジネスはプロデューサーの時代へ
- アイデアの次は「インサイト」
- 残業するほど暇ではない
- 「ライフワークバランス」の時代
- 人間がAIを使うか、AIに人間が使われるか、それすらもまだ分からない
- 仕事の永遠のルール「ありがとう」
- 非効率な「好き」こそが次の産業
- 変化を生き抜く3つの選択肢
- 時代の混乱を呼び起こす、4つの革命
第3章 異なる「強み」を掛け算する最強チームの作り方
- 「いざ関ヶ原」は昔の戦い方、「VUCA」の時代の戦い方は?
- 現場の変化に敏感に対応できる、瞬発系チームを作れ
- 理想は「ゴレンジャー」?
- ストレングス・ファインダーで自分の強みを把握しよう
- 「自分と違う強みコレクション」
- 偏愛マップを見せ合おう
- 自分のトリセツを書こう
- 自分と違う人はみな先生
- 変化のスピードには「信頼」でしか追いつけない
- 日本人は「信頼する技法」を知らない
- 一気に信頼度を深める簡単メソッド
- 原体験は阪神淡路大震災のボランティア
- WHYを共有していくマネジメント
- クリエイティブな組織を見分けるたったひとつの質問
第4章 個人の働き方
- 月に100時間しか働かない
- 「ご縁(人に人を紹介し、つなぐこと)」はお金に換えない
- 強みを磨き続け、自分にしかできないことを仕事にする
- キャリアの始まりは議事録係
- 非日常で仕事をする
- 勇気を出して引きこもるのもアリ
- 僕が赤いマフラーをし続ける理由
- 「他人に迷惑をかけちゃいけません」という現代の呪い(ありがとうの返事はおたがいさま)
- 自由に世界をかけめぐれる時代
- コツコツが浮かばれる時代
- 使いかけの口紅をメルカリすることの豊かさ
- 外にあるインサイトじゃなく、自分だけにしか見えない「WHY」が時代をつくる
- 『君の名は。』『シン・ゴジラ』の大ヒットの秘密「新しい意味」の流通
- あなた発イノベーションの起こし方
- MITメディアラボが重視する4つのP
- 好きを、「生きがい」に変えていく
- どうやってライフワークを増やしていくか?