津田久資(著)、下川美奈(著)、坂本直文(著)
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本の詳細
例えば、「数が減っている公園のハトを増やす」という課題があったとしましょう。皆さんであれば、この課題にどういう解決方法を見出すでしょうか?「餌をたくさん与える」とか「他からハトをもってくる」など、いろいろ思いつくでしょう。
しかしビジネスの場においては、このような「思いつきの方策」を選択するわけにはいかないのです。なぜならば、方策の実施にはお金がかかるからです。また、人もモノも費やさねばなりません。
ですから、まず最初にとるべき方策に高い成功確率が必要とされるのは、もちろんです。が、それでも失敗することはあるでしょう。その場合は、二の矢、それでも駄目なら三の矢と放たねばなりません。その際に、一の矢の失敗を教訓とした上での、二の矢、三の矢の合理的選択は、「課題がロジカルに整理され、構造的に捉えられて初めて可能」になるのです。
第一段階として、「ハトの数が減った」をいう情報から、「増加するハトの数が減った」「減少するハトの数が増えた」ということが考えられます。
第二段階として、「増加するハトの数が減った」からは、「ヒナが育つ数が減った」「ヒナの数が減った」「外から来るハトの数が減った」という仮説が導き出せますし、「減少するハトの数が増えた」からは、「逃げてしますハトの数が増えた」「連れ去られてしまうハトの数が増えた」「死んでしまうハトの数が増えた」「殺されてしまうハトの数が増えた」と考えられるわけです。
この分解は際限なく続けられますが、延々と続けても仕方ありません。しかし、このようなロジカルな分解を行なうことによって、「ハトが減っている」という根本原因に近づくことは確かなのです。
この課題には実際のモデルがあって、それは東京の日比谷公園だそうです。そして、日比谷公園の場合、ハトの減少に最も影響を与えてする原因は、なんと「カラスがハトの卵やヒナを食べてしまっている」ことだそうです。
そう考えれば「ハトの数が減っている」から論理的展開を重ね、「孵化率が低い」に至り、さらにその情報を分解していくやり方が必要だと思いませんか? これが、「発想力がある人材はロジカルである」の意味です。
そして、このように考えることは副産物をもたらします。それがコミュニケーションです。
果たして、いきなり「カラスを退治する」と言って、何人を説得することができるでしょうか? となると、説得を受ける人が、発想した側の思考の筋道をそのまま辿れるような論理の整理が必要でしょう。「コミュニケーション力のある人材はロジカル」でもあるのです。
「変革をもたらす可能性がある人材=ロジカルな人材」が求められているならば、それに伴って面接のサポートをする本も、変わらなければいけないのが当然です。
もちろん、ある程度の「べし、べからず集」に載っている知識が必要とされるのは当たり前です。しかし、大事なことは、それだけではスタート地点に立つことしかできないということなのです。決してその先に行くことがないのです。
例えば、「広告会社を受験する際には、広告研究会出身であることは面接ではタブー」と書いてある「べし、べからず」本があります。しかし、本当にそうでしょうか?
重要なのは、「広告研究会出身です」に続く、「だから・・・・」の部分だと我々は考えます。
まず、僕が書く理由は、就職活動における「面接」というのは、自分自身を企業に売り込む戦略活動、マーケティング活動だからです。だから、広告会社や外資系コンサルティング会社で企業や商品の戦略を練ること、マーケティング活動を専門としてきた僕が書きます。
企業戦略、商品戦略のそれと同じように、何を重点に配分すれば最大効果を生むことができるかという重要度も明確に示唆していきたいと思います。それが必要なくらい、企業の採用現場は厳しいと感じています。
目次
はじめに
第1章 ロジカル面接術は強く、応用が利く
- エントリーシートや面接で必ず聞かれる二大テーマ
- 勘違いした自己PRと志望動機
- 経営環境が変化し、企業は利益追求型に
- 新卒は三年以内に利益を出せ
- ロジカル思考で志望動機と自己PRを作るメリット
- 第1章 ロジカルポイント
第2章 ロジカルな人間は面接でもコミュニケーション力を発揮!
- ビジネスマンに必要な三つの能力
- 筆者も零点だったクリエイティブ試験
- 内定を取りたいなら、三つの能力があることを示せ
- 特に重要なのがコミュニケーション力
- コミュニケーション力は実力が赤裸々に露呈
- 質問の意味がわからなかったら、面接官に確認
- 自分の意見にこだわり過ぎるな
- 面接に勝ち負けはない
- 面接では視線を下に落とさず、場の空気を読み取れ
- 「起承転結」は面接に不向き
- 結論を先に述べたほうが面接官も理解しやすい
- 話し方の巧拙や声の出し方も合否に影響する
- 学生という立場を弁えないと受からない
- 第2章 ロジカルポイント
- 【報道デスクの目 1】客観的に見ていますか?
第3章 報道記者直伝!自己PR作成のための五つのステップ
- 自己分析は「自分への取材活動」と考えよ
- 自分への先入観を捨てて情報収集
- 自分の情報を文章化することが大事
- ●ワークシート● 自分取材のための手がかり
- しっかり考えて自分に関する情報を取捨選択せよ
- 演出によって平凡なエピソードを具体的かつ魅力的に
- 筆者が就職活動で使った自己PRの題材とは
- ●ワークシート● エピソードの中に「能力」を見つける
- エピソードを盛り込み過ぎると逆効果
- 自分の情報を原稿化するための四つのポイント
- ニュース原稿を参考にして、自己PRの内容や構成を考えよう
- 結論を凝縮した「リード」を冒頭に入れよう
- こうやって自己PRをアレンジしよう
- ●ワークシート● 重要なポイントをストーリー化する
- ●ワークシート● 基本の1分原稿を作る
- 第3章 ロジカルポイント
- 【報道デスクの目 2】報道にとって大事な情報源とは?
第4章 自分取材と会社取材で、面接官も納得の志望動機ができる!
- 能力の証明に加えて必要な「何か」とは
- 熱意を持っていても、その会社に合っているとは限らない
- 企業研究は漠然とやってはいけない
- 企業研究では、まず企業の戦略を押さえろ
- 企業の「あるべき姿」を知るための資料
- 自分が入りたい事業部の戦略を徹底研究してもよい
- 事業戦略を分析するポイント
- 人事の機能別戦略だけは必ず確認せよ
- 志望動機は、企業研究と自己PRを合わせて作る
- これが筆者の日テレ用の志望動機だ
- ●ワークシート● 会社取材のための手がかり
- 自分のプレゼンを録って、繰り返し面接の練習をしよう
- 第4章 ロジカルポイント
- 【報道デスクの目 3】男と女は同じではない!
第5章 報道記者が直接指導!学生二人の「自分取材」実録
- 早稲田大学 水野真理さん(仮名)の自分取材
- 面接官は一般論や経験の羅列を聞きたいのではない
- 抽象的な言葉は、エピソードを肉付けして具体化せよ
- 立教大学 芹澤浩之君(仮名)の自分取材
- 自己分析が足りないと、浅はかさが出てしまう
- 面接の時間を一秒たりとも無駄にするな
- 第5章 ロジカルポイント
- ●ワークシート● あなたの自己PRと志望動機
おわりに
特別寄稿 No.1就職コンサルタントが教える就活の極意
- 「十業界、四群受験で内定を勝ち取れ!」坂本直文
津田久資(著)、下川美奈(著)、坂本直文(著)
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