ロバート・K.グリーンリーフ (著)
金井壽宏(監修) /ラリー・C・スピアーズ(編集)/金井真弓(翻訳)
英治出版
本の詳細
「サーバント・リーダー」という語法が、人をどきっとさせるのは、普通は、サーバント(言うことを聞いて、相手に尽くす人)と、リーダー(目指している方向に、相手を引っ張っていく人)とは、相容れないと思えるからである。
サーバントリーダーシップ/ロバート・K.グリーンリーフ (著) 英治出版より
サーバントは、(さすがに召使いとまで言わなくとも)「使用人」「家来」「従者」「しもべ」「奉仕者」といった言葉が通常の訳語であるため、どちらかと言うと、リーダー(導く人)よりもフォロワー(従う人)をイメージする。
両者は、相容れないどころか対極のようにも思える。しかし、実際には、フォロワーは、自分に尽くしてくれる人についていくものなのだ。その結果、気がつくと奉仕をしているタイプの人が、リーダーになっていることは多いし、奉仕者として素養のある人がリーダーになるほうが、かえって望ましい。
まさしく低コストで高品質のものを求める世界経済。われわれはより低価格で、より多くのものを作らねばならなくなり、しかも、かつてないほどのスピードを要求されている。
そうした状況を長く保つためにできる唯一の方法は、人々に極限を与えて能力を高めること(エンパワーメント)だ。エンパワーメントを可能にするには、篤い信頼に基づいた社風が必要となる。また、上司を「サーバント(奉仕する人)」やコーチに変え、サーバントへのプロセスを組織的に育てるための構造や体制を作る、エンパワーメントの哲学が必要である。
力と権限の問題に関しては、とても重要で斬新な見方がされており、人々は暗中模索しながらも、威圧的ではなく、より創造的に支え合う人間関係を学び始めている。
従うに値する権限とは、フォロワーたちが自分の意志で意識的に、リーダーに対して認めたものだけである。サーバントとしての資質を明確に持っていることがリーダーの条件で、その資質の優劣に応じて、許される権限も変わってくる。
既存の組織の権限をやすやすとは受け入れまい。というより、彼らが自らの意志で応ずるのは、サーバントであると証明され、信頼されていることを根拠にリーダーとして選ばれた人に対してだけだろう。
目次
監訳者序文
前書きに代えて
はじめに
第1章 リーダーとしてのサーバント
第2章 サーバントとしての組織
第3章 サーバントとしてのトラスティ
第4章 ビジネスにおけるサーバント・リーダーシップ
第5章 教育におけるサーバント・リーダーシップ
第6章 財団におけるサーバント・リーダーシップ
第7章 協会におけるサーバント・リーダーシップ
第8章 サーバント・リーダー
第9章 官僚主義社会におけるサーバントとしての責任
第10章 アメリカと世界のリーダーシップ
第11章 心の旅
追記
終わりに
監訳者解説