ターバックスCEOだった私が伝えたいこれからの経営に必要な41のこと
岩田松雄 (著)
中経出版
本の詳細
ビジネススクールや大学の経営学の授業では、「企業は株主の持ち物であり、経営者は株主に雇われ、株主価値(利益)の最大化が使命である」と教えられます。
しかし私は「企業」とは、事業を通じて「世の中をよくするために存在しているものだ」と考えています。
スターバックスCEOだった私が伝えたいこれからの経営に必要な41のこと/岩田松雄 (著) 中経出版より
いくら世の中をよくしていても、赤字では企業は倒産してしまいます。企業の一番の前提は存続(Going Concern)することです。利益はそのための手段です。また、研究開発に投資をしたりトレーニングをしたりするためにも利益は必要です。
何かを便利にしたり、きれいにしたり、静かにしたり、誰かのお腹を満たしたり、心地よくさせたり、ホッとさせたり‥‥。世の中をよくする方法は本当にいろいろありますが、それをさまざまな角度から担っているのが、企業なのです。
つまり、一つひとつの企業は、事業を通じて世の中をよくしているはずです。そしてそれは、社員にとっての誇りにもなります。
ですから経営者の大切な役割は、「我が社はこのように世の中に貢献している」ということを従業員にしっかり伝えることです。
成長や利益というと、何かミッションとは相反するののもようなイメージが浮かぶこともあるようですが、そうではありません。ミッションを実現させるためにこそ利益は必要になるのです。
ピーター・ドラッガーも、利益について言及しています。彼は「最小利益(Minimum profit)」という言い方をしています。「顧客に適正な価格で販売し、従業員に適正な給料を支払い、取引先には適正なサービス対価を支払い、そして株主にも適正な配当をする。その結果、残ったものが、最小利益である」と。
「世の中のほとんどの企業が、その『最小利益』にも達していない」と。顧客に価値以上に高く売りつけていないか、従業員を安くこき使っていないか、取引先の商品を買い叩いていないか、株主への配当が少な過ぎないか‥‥。それらを、経営者は常に意識しなければいけない、ということです。
正当な手段で世の中に役に立てれば、お客様の支持を得て、結果多くの利益が出るはずです。逆に利益が少ないと企業として世の中から受け入れられていない。大きな利益を出せる企業を、堂々と目指すべきなのです。
目次
Chapeter 1 会社は何のために存在するのか?
– すべての「経営者」が最初に考えるべきこと
- 企業は、世の中をよくするためにある
- 企業は大きな利益を「堂々と」目指せばいい
- 経営者の役割は、ミッションで「メシを食える」ようにすること
- 全員が「経営者」の会社が一番強い
Chapeter 2 社長が人事を見ているか?
– 経営で一番大切なこと
- 人事は、経営の最大のメッセージである
- 新卒採用へのこだわりが、会社の10年後を変える
- デキる人より「性格がいい人」を採用する
- 人事の鉄則「迷ったら採らない、昇進は延期する」
- 日本型の人事体系は、実は「合理的」
Chapeter 3 数字と現場の声をどれだけ聞けるか?
– 「予測力」は最大の武器
- 課長以上と「1対1」でインタビューをする
- 会社の全体像は、部門長を兼務して把握する
- 目標は「びっくりするくらい」大きく掲げる
- カルチャーに合わせて組織を作り替える
- 社員に「期末の数字」を予測させる
- リスクについて「3つのシナリオ」を持つ
- 3カ月は様子を見る。次の3カ月で手を打つ
Chapeter 4 経営がうまくいかない理由は、どこにあるのか?
– 「事実」を正しく見抜く
- 計画と同じくらい「検証」を重視する
- 「不都合な真実」を受け入れる
- 「マーケティングの罠」を知る
- 無意味な制度やしきたりを見直す
- 在庫を減らすと、問題が見える
- 社員、派遣、アルバイト‥‥「働き方」で区別しない
- 発想を縮小均衡から「成長志向」に変える
- 経営は、とにかく「スピード!」
- 「悪い情報」を経営トップに上げやすい空気を作る
Chapeter 5 どうすれば、従業員はやる気になるのか?
– 「人」は大きく変わる
- ミッションや思いは、何百回でも何千回でも伝える
- 細かなルールは作らない。考えさせる
- 「自分が成長できている」実感を持ってもらう
- 経営者が現場の「評判」を手に入れる方法
Chapeter 6 無駄なコストが減らせない原因は何か?
– 意外な盲点が潜んでいる
- しがらみでモノを買ってはいけない
- 「もし自分がオーナーなら」という意識づけをする
- 人件費は経費ではなく「投資」である
- 削減すべきコスト、削減すべきでないコスト
Chapeter 7 それは本当に「いい経営」か?
– 長期で評価される経営者になれ
- 経営者の評価は10年スパンでされるべき
- 「カリスマ経営」に潜む大きなリスク
- 早く成長し過ぎない
- クビを切らないのは本当にいいことなのか
- 自分に心地よい人たちが、いい参謀とは限らない
- ベンチャー成功のキモは、経営者の執念
- 最後に問われるのは人間力
- 優れた秘書を持つことで、経営者の仕事は変わる
- おわりに