ダボス会議に見る 世界のトップリーダーの話術

ダボス会議に見る 世界のトップリーダーの話術

ダボス会議に見る 世界のトップリーダーの話術

田坂広志(著)
東洋経済新報社

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本の詳細

聴衆は、そのようにして、世界のトップリーダーを「値踏み」している。
そして、この「値踏み」は、実は怖い世界。
なぜなら、それが「株価」にも影響を与えてしまうからだ。
繰り返すが、この聴衆もまた、単なる聴衆ではない。
誰もが、世界のトップリーダーとしての力量と影響力を持った聴衆だ。

その中には、当然、世界的な影響力を持つジョージ・ソロスのような投資家もいれば、企業分析や産業分析に筆を揮う気鋭のアナリストや高名なエコノミストもいる。

だから、こうしたセッションでの登壇は、ある意味で「両刃の剣」。
パネル討論での発言が高い評価を得るならば、その経営者の評価だけでなく、企業の評価や株価にもプラスの影響がある。しかし、もし、その発言を通じて評価を落としたならば‥‥。

その怖さは、口に出して言うまでもないだろう。
いわんや、企業のリーダーではなく、国家のリーダーであれば、このことの意味はさらに大きい。

すなわち、スピーチとは、話者から聴衆への「一方通行のメッセージ伝達」ではない。
スピーチとは、実は、会場の聴衆との「無言の対話」に他ならない。

見た目は、話者が聴衆に対して一方的に語っているように見える。
しかし、実際には、聴衆が「無言の声」を発し、話者は、その声に耳を傾け、言葉を選び、発する。
それは、まさに「無言の対話」と呼ぶべきコミュニケーションに他ならない。

そして、それゆえに、話術とは「聴衆に何を語るか」だけでなく、「聴衆の無言の声から何を聴き取るか」の技術であることを理解すべきであろう。

目次

第1話 世界のトップリーダー2500名が鎬を削るダボス会議という場

第2話 プロフェッショナルの世界では、言葉を発する前に勝負が決まる
ー 「言葉を超えたメッセージ」の戦い ー

第3話 社会貢献家としての人格で壇上に立つビル・ゲイツ
ー 語るテーマで「人格」を選ぶ ー

第4話 当意即妙に聴衆に語りかけるブレア・イギリス元首相
ー 聴衆の「無言の声」に耳を傾ける ー

第5話 一瞬で場を制したサルコジ・フランス大統領
ー 「胆力」で聴衆を呑む ー

第6話 聴衆の不評を買ったメドベージェフ・ロシア大統領
ー 「位取り」を過たない ー

第7話 鮮烈なデビュー戦を飾ったキャメロン・イギリス首相
ー 「聴衆との対話」で勝負する ー

第8話 ボディ・ランゲージで敗れたプーチン・ロシア首相
ー 「一挙手一投足」もメッセージとする ー

第9話 「思想的リーダー」を演じる温家宝・中国首相
ー 「歴史」や「思想」を堂々と語る ー

第10話 リラックスして人を惹きつけるクリントン・アメリカ元大統領
ー 「自然体」という究極のスタイルで語る ー

第11話 最後は情熱的スピーチで終わるゴア・アメリカ元副大統領
ー 情熱の奥に「冷静な視線」を持って語る ー

第12話 聴衆の涙を誘ったブラウン・イギリス首相
ー 「腹に響く声」を武器にする ー

第13話 一言で相手を切るサッチャー・イギリス元首相
ー 「余韻」で無言の言葉を発する ー

第14話 英語でのスピーチが批判されたユドヨノ・インドネシア大統領
ー 「個性的なスタイル」で印象付ける ー

第15話 聴衆の目から魅了するラガルド・IMF専務理事
ー 「女性」の不利を、有利に転じる ー

第16話 素朴な英語で説得力を感じさせるムハマド・ユヌス
ー 「草の根の人々」を背負って語る ー

第17話 世界の尊敬と信頼を集めるシュワブ・世界経済フォーラム会長
ー 「垂直統合」の思考を身につける ー

第18話 「話術」の8割は「言葉を超えたメッセージ」
ー 日々の仕事に活きる「十語の話術」 ー

あとがき

 
ダボス会議に見る 世界のトップリーダーの話術

ダボス会議に見る 世界のトップリーダーの話術

田坂広志(著)
東洋経済新報社

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