浅田すぐる(著)
サンマーク出版
本の詳細
もう一度言います。「目的を意識する」という表現は「動詞」であって、これだけではいったい何をしたら「目的を意識」できるのかがさっぱりわかりません。「する」という語尾のせいで、一見行動できそうな気にはなってしまうのですが、実際には思考も行動もフリーズせざるをえない。これが、「動詞」特徴です。
ところが、日々仕事をしていると、こうした「動詞」表現と頻繁に遭遇します。
あなただったら、どのように指示・指導をするでしょうか?
「もっと目的を意識して働きなさい!」では、じつは何も言っていないのと同じだということは、すでにお気づきのはずです。一方先ほど挙げた「動作」表現ならどうでしょうか。
「目的が書かれた紙」とはすなわち「方針がまとめられた紙」のはずですから、あとはこれを「繰り返しみればいい」という話になります。たとえば、私なら次のようにアドバイスします。
年度初めに方針の紙が配られたと思うけど、あれ、いまも持ってる? まさかもう行方不明ってことはないよな‥‥。きっと机の引き出しで眠ってるだろうから、それを取り出して、仕事で持ち歩いてるクリアファイルにいつも忍ばせておくといいよ。
そして、打ち合わせの合間や移動中にスキマ時間ができたら、ほんの30秒でいいから、その紙を取り出して何度も見返してみてごらん。たとえ記憶力に自信がなくても、4月、5月、6月‥‥と3か月も続ければ、さすがに方針の内容が頭に入るから。
そうして頭に方針が入った状態で会議に参加すれば、明らかに方針とはズレたことが話されている、あるいは方針と異なる基準で判断が下されようとしている、といったマズい状況にも気づけるようになるよ。
あとは、それを指摘して会議の軌道修正をやっていけば、あっという間に”その他大勢”から抜け出した存在になれるよ。『そんなカンタンなことで‥‥』と安易に退けずに、まずは淡々とやってごらん
このように「方針の紙を繰り返し見て、現場で気づけるようになった状態」こそが、「目的を意識して働けている」状態そのものといえるのではないでしょうか。
「目的を意識する」を知識としてただ「知っている」だけで終わらせず、実際に行動に移すために必要なのは、こういったシンプルであっけない「動作」に変換していくことなのです。
仕事ができるかどうかの「違い」は、じつはこうした基本的なことの実践によって生じています。ところが残念なことに、そのことが腑に落ちている方は、必ずしも多くないのが実情です。
目次
PART1 なぜ、うまく説明できないのか?
〜理由は、3つあります〜
[理由]その1 「動作」にできていないから
- 「動詞」と「動作」の違いとは?
- その説明、「動作」に移せますか?
- ビジネスの世界は「動詞」表現が8割!?
- もしかするとあなたも「動詞人間」かもしれない
- 「動詞」表現がもたらす3つの問題
- 「会社の年度方針」を確実に「意識する」方法
- 無責任な「ちょっとこれ、まとめておいて」を言わないために
- うまく説明できない理由は「ここ」にあった
[理由]その2 「数」を増やしすぎるから
- 「知っている」と「使いこなせる」はまったく違う
- なぜ、「その情報」を生かせないのか?
- 記憶力に自信がなくても大事なことを覚えられるコツ
- 「あれもこれも‥‥」ではなく
- 「あれ」と「これ」と「それ」にまとめる
- あなたの周りにも「過剰人間」がいませんか?
[理由]その3 「すべてカバー」しようとするから
- 「説明」はどこまですればOKなのか?
- 「言いたいことがまとまらない」本当の理由
- 情報を「捨てる勇気」を持ちなさい
- 「絞る」ことで「できる」ようになる
- 【PART1のまとめ】
PART2 「わかりやすい説明」の条件とは?
〜ポイントは、3つあります〜
- 「わかる」ってそもそもどういうこと?
- いかに「わかったつもり」になってもらうかが重要
- 「わかりやすい説明」の3つの条件
[ポイント]その1 数を「3つ」に絞ること
[ポイント]その2 「構造」にはめること
[ポイント]その3 「動作」で伝えること
- 「説明」は3つのステップからできている
- 「ゴチャゴチャ」を「スッキリ」に変えるには
- 効率的に「情報を整理する」とっておき方法
- 「紙1枚」に書き出す最大のメリット
- はかどる人は「一発勝負」を狙わない
- 整理する前に「捨てる」を終わらせる
- 片づけが苦手な人でも上手に「情報の整理」ができるコツ
- 「まとめる」って具体的にどうやればいいの?
- 重要なものを「選べない」のにはワケがある
- 「わかりやすい説明」基本コースのおさらい
- 【PART2のまとめ】
PART3 どうすれば、説明上手になれるのか?
〜方法は、3つあります〜
- 「3つ」を徹底的につかいこなそう
[方法]その1 「3つの視点」で「情報を整理する」
- 「初対面の相手」と会ったとき、どこを見るか?
- 「3C」で情報を整理する
- 「日本一のホームページ」はこうして生まれた
- 必要なのは「紙に書く」動作だけ
- 「時間・空間・人」で情報を整理する
- 「アタマ・ココロ・カラダ」で情報を整理する
- 「とりあえずやってみる」ことで仕事はどんどん進む
[方法]その2 「3つの構造」で「考えをまとめる」
- 「体」を動かすことで「思考」も動く
- 「理解」「記憶」「行動」を促す魔法の数字
- 「Why・What・How」で考えをまとめる
- 「過去・今・未来」で考えをまとめる
- 「松・竹・梅」で考えをまとめる
- ただ「図鑑」にしただけではわかりにくい理由
[方法]その3 「3つの動作」で「伝える」
- 冒頭で「ポイントは3つあります」と言う
- 説明スキルを高めるいちばんの近道
- 説明が上手な人ほど「いい加減」に話す!?
- 「わかりやすく伝える」をかなえる最強の「3つの動作」
- ポーズをとる
- 見せる
- 指さす
- 「伝える」を動作にする超シンプルな方法
- 一流アスリートはなぜ、「決まった動作」を繰り返すのか?
- たった「ひと工夫」で伝わりやすさは激変する
- ペーパーレスが犠牲にしているコミュニケーションの「本質」
- 説明上手な人たちがやっているもう1つの「ある動作」とは?
- 指で相手の意識を操る「視線のマネジメント」
- 【PART3のまとめ】に代えて
〜「わかったつもり」から本当のスタート〜
あとがき
浅田すぐる(著)
サンマーク出版