矢野香(著)
KADOKAWA
本の詳細
「ずいぶんリアクションが悪いなあ‥‥」
あろうことか、会場で聞いてくださっている方々が悪いのだとさえ思っていました。しかし、ゲストが登場しお話を始めると、客席からの反応がまったく違うのです。
笑いが起こったり、拍手が起きたり。同じ観客とは思えないほどです。
ゲストコーナーは大変盛り上がりましたが、結局、私が司会として仕切っているときはほとんど反応がないまま収録がおわりました。台本通りに滞りなく番組を終えたので、仕事として失敗したわけではありません。とはいえ、番組を終えた達成感もなく、伝わったという実感もなく、最高の出来だったとはとても思えませんでした。
アナウンス技術は、研修で徹底的に教え込まれています。普段のニューススタジオでもうまくいっています。
それなのに、なぜうまく伝わらないのか。
「伝えるから、伝わる」
アナウンサーとしての私は、ただきれいに、間違いがないように、きちんと話していただけでした。
そこには「相手の感情に訴えかけるにはどうすればいいのか?」という視点がごっそり抜け落ちていたのです。そうです。聞き手の心を動かす「最高の話し方」をしたいのであれば、「話すスキル」だけでなく、「伝えるスキル」も必要だったのです。
自分の話し方には「間」が足りないのだと気づきました。「間」が抜けていることを「間抜け」というように、私もまさしくそうだったのかもしれません。
この”気づき”のあと、伝えるためのスキルを研究し、自らも実践しました。ほんの数秒、話に空白をつくることで、聞き手の反応がみるみる変わっていったのです。
目次
はじめに
1章 なぜ、あなたの話し方は相手に伝わらないのか?
- スキルは学んだ、なのに伝わらない「話し方難民」が日本には大勢いる
- 「何かうまくいかないなぁ‥‥」がさらに苦手意識を作っていく
- 「最高の話し方」に一瞬で変わる、たった1つのエッセンス
- NHKキャスターだった私の大きな勘違い — 話しても伝わらない本当の理由
- 実はコミュニケーション上手と思っている人ほど危ない
2章 「間」をとれば「最高の話し方」になる
- 「間」とは思いやり
- 「間」は上級テクニックではなく会話の基本の「き」
- 今までの話し方×「間」=倍の効果
(1)結論から話す×「間」/(2)大事なポイントは3つにまとめる×「間」/(3)質問×「間」/(4)キーワード×「間」/(5)数字×「間」 - 「応援したい人」の「間」の使い方
3章 世界の一流に学ぶ「最高の話し方」
- 「世界一貧しい大統領」のスピーチはなぜ心動かされるのか
- カリスマリーダーの共通点は「間」だった
- 「最高の話し方」は区切りのときに表れる
- タモリ氏の弔事
- NHK朝ドラ「マッサン」の成人式祝辞
- 名門大学卒業式のスピーチにみる7つの間
(1)始まりと締めくくりの「間」/(2)話の転換の「間」/(3)強調の「間」/(4)考えさせる「間」/(5)人を感動させる「間」/(6)聞き手を味方にする「間」/(7)余韻の「間」 - 一流アスリートの「最高の話し方」
4章 人を動かせる「間」のコントロール法
- 長さによって使い分ける3つの「間」
(1)ショートの「間」/(2)スタンダードの「間」/(3)ロングの「間」 - 「間」のつくり方・初級編 〜行動をはさむ5つの方法〜
(1)資料を使う/(2)水を飲む/(3)ホワイトボードに書く/(4)物を出す/(5)歩く - 「間」のつくり方・上級編 〜待つ〜
- 時計を見ないで「間」を計る3つの方法
(1)やまびこ法/(2)呼吸法/(3)リアクション法
5章 「間」をつくりだす最高の伝え方、「一文一息」
- 「一文一息」とは何か
- カリスマリーダーは「一文一息」で話している
- 「一文一息」7つの効果
- 「一文一息」のための5step
Step 1 一文を50文字以内にする/Step 2 Prep法で構成する/Step 3 文末の「思います」は削除する/Step 4 一文ごとに息継ぎをする/Step 5 動画を撮影し、10項目を確認する - 「一文一息」でこんなに変わる!
- 一文一息テクニック(1)息が苦しくなったら話も止める
- 一文一息テクニック(2)つなぎ言葉で人を引きつける
- 一文一息テクニック(3)一番大事なことは3番目に伝える
効果(1)「間」をつくりやすい/効果(2)内容がわかりやすい/効果(3)センテンスが短い/効果(4)緊張を感じさせない/効果(5)「あー」「えー」がなくなる/効果(6)腹式呼吸はいらない/効果(7)非言語・ノンバーバルがきわだつ
6章 「間」を使った最高の聴き方
- 話を聞くときにも使える「間」の技術
- 人を動かす人は、相手の「息」を読む
- こんな困った相手も「間」でコントロールできる
- (1)話が長い人/(2)早口の人/(3)無口な人/(4)口が重い人/(5)話がずれる人
- 相手の話を「息」で受ける
- 会話は「間」で制する
- 「無音」にこそ人の本音が出る
- 息のためにアナウンサーがやっているトレーニング
7章 「最高の話し方」のためのメンタル
- アイデンティティーを持つ
- アファメーションで自分を信じる
- 失敗できない場面でこそ、「間」は武器になる
- 話すことは、いきること
- おわりに
矢野香(著)
KADOKAWA