冨田 和成(著)
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
本の詳細
PDCAは課題解決のひとつの手法である。
だからといって、
課題がなければPDCAを回す必要がないのかといったら
そうではない。物事がうまくいかないときには
必ずどこかに原因があるように、
物事がうまくいっているときにも原因がある。しかし、多くの人は
物事がうまくいったらただ喜んで、
居酒屋での打ち上げで盛り上がって終わりだ。重要なことは、
うまくいったことを確実に再現できるかである。
PDCAサイクルは統計学者が
品質改善を目的として考案したマネジメント手法である。実際、経営・管理業務・プロジェクトマネジメントには、
絶大な効果を発揮する。ただ、そのイメージが強いばかりに
「自分がチームを持つ立場になったら考えればいい。
いまの自分には関係ない」
と思っている若い世代が大勢いる。PDCAは対象を選ばない。
また、PDCA力を身につけるなら、
早いに越したことはない。若いときからPDCAを回す習慣を身につければ、
果てしなく高いゴールへも到達できる。なぜなら、
成長モデルである
PDCA自体も成長するからだ。
若いビジネスパーソンは
1日でも早く成果を出そうと、
英語やコミュニケーションスキルなど
効果が見えやすい実用的なスキルの習得に躍起になるが、実はそうしたことに手をつける前に
PDCA力を身につけたほうが、
中期的に見れば
はるかに大きな効果をもたらすのだ。よって、人生をかけて
スキルアップすべきはPDCA力である。
PDCA力が高まれば
タイムマネジメント能力もチームマネジメント能力も
問題解決能力もすべて上昇していくのである。この発想の転換さえできれば
本書の役目はほぼ終えたと言ってもいいくらいだ。
ビジネスモデルで企業価値が測られる時代は
終わったと考えている。そうではなく
新しい仕組みやサービスを
鬼速で生み出し続けられる組織力と、市場の変化に瞬時に対応できる柔軟性
を持った企業こそ、激動の時代を勝ち残れるのである
それらはまさにPDCA力のことだ。
それはつまり、組織を率いるリーダーにしても同様である。
入れ替わりの激しい人員、
ライバルのキャッチアップ、相次ぐ自社のサービス。状況の変化に対して受け身のマネジメントをしていては、
当然業績も揺れ動く。それを当然としていては、
部下の生活を預かるマネージャー
としての成長はない。そんな状況でも、常にいい結果を残せるリーダーは存在する。
それはなぜか。
もはや言葉を尽くす必要はないだろう。
PLAN(計画)、DO(実行)、CHECK(検証)、ACT(または ADJUST 調整)
の4ステップからなるPDCAサイクルは、
ビジネスパーソンであれば
誰もが知る古典的なフレームワークです。
しかし、PDCAほど
わかっているつもりでわかっていない、
そして基本だと言われているのに
実践している人が少ないフレームワークも珍しい。
と著者は語ります。
野村證券で最年少記録を出し続けた著者が伝授する、
努力を100%結果に変えるフレームワーク。
272ページで40点以上の図版。
圧倒的な「量」と「質」でPDCAを完全解説。
各ステップを具体的にわかりやすく説明しています。
チーム目標を任されているすべての管理職の方や、
急成長を目指す中小ベンチャーの経営者の方、
キャリアアップと高収入を目指す
ビジネスマンの方などにおすすめの
本格派ビジネス書です。
3日ごとの振り返りで
自分もチームも10倍速で進化する!
目次
1章 前進するフレームワークとしてのPDCA
PDCAこそ最強のビジネススキルである
企業・リーダーの価値もPDCA力で決まる
世間が抱くPDCAの6つの誤解
- 簡単だと思っている
- 管理職向けのフレームワークだと思っている
- 失敗するのは検証(C)が甘いからだと思っている
- 課題解決のためのフレームワークだと思っている
- 改善さえすれば終わっていいと思っている
- 大きな課題のときだけ回せばいいと思っている
PDCAのスケール感を意識せよ
証券マン時代に実践した鬼速PDCA
前に進むのがどんどん楽しくなる
鶏と卵の関係にあるPDCAと自信
鬼速PDCAとは何か
- 計画(PLAN)
- 実行(DO)
- 検証(CHECK)
- 調整(ADJUST)
2章 計画初級編:ギャップから導き出される「計画」
慎重さと大胆さのバランスが肝になる計画
ステップ① ゴールを定量化する(KGIの設定)
- 期日を決める
- 定量化する
- ゴールを適度に具体的なものにする
ステップ② 現状とのギャップを洗い出す
ステップ③ ギャップを埋める課題を考える
ステップ④ 課題を優先度づけして3つに絞る
- インパクト(効果)
- 時間
- 気軽さ
優先度づけのヒント
ステップ⑤ 各課題をKPI化する
ステップ⑥ KPIを達成する解決案を考える
ステップ⑦ 解決案を優先度づけする
ステップ⑧ 計画を見える化する
上位PDCAを再確認する
ときに思考のリミッターを外す
→鬼速クエスチョン計画編
3章 計画応用編:仮説の精度を上げる「因数分解」
PDCAの速さと深さは因数分解で決まる
因数分解のメリット
- 課題の見落としを防ぐ
- ボトルネックの発見がしやすい
- KPI化しやすい
- どんなゴールでも実現可能に思えてくる
- PDCAが速く深く回る
ポイント① 抽象度を上げてから分解する
ポイント② 5段目まで深掘りする
ポイント③ 1段目だけはMECEを徹底する
ポイント④ 切り方に悩んだら「プロセス」で切る
ポイント⑤ 簡単な課題は「質 × 量」で切る
ポイント⑥ とにかく文字化する
ポイント⑦ マインドマップで鍛える
活用のヒント1 紙よりもパソコン
活用のヒント2 PDCAのフレームは忘れる
活用のヒント3 時間がないなら時間を決めて行う
活用のヒント4 気になったら分解してみる
活用のヒント5 ワクワクしながらやる
4章 実行初級編:確実にやり遂げる「行動力」
解決案とDOとTODOの違い
実行できないケース1 計画自体が失敗している
実行できないケース2 タスクレベルまで落とし込まれていない
実行できないケース3 失敗することが恐い
ステップ① 解決案を「DO」に変換する
解決案が具体的か抽象的か
完結型のDOと継続型のDO
ステップ② DOに優先順位をつけ、やることを絞る
ステップ③ DOを定量化する(「KDI」を設定する)
- 完結型のDOのKDI化
- 継続型のDOのKDI化
ステップ④ DOを「TODO」に落とし込む
ステップ⑤ TODOの進捗確認をしながら実行に移す
TODOを管理するコツ
おすすめのTODO管理アプリ
TODOの共有
定番のポストイットも活用
「人」に潜むリスクに気を配る
セルフトークでPDCAを促進
「終わらなくてもいい」という割り切りも重要
→鬼速クエスチョン実行編
5章 実行応用編:鬼速で動くための「タイムマネジメント」
なぜ、いつのまにか忙殺されるのか?
タイムマネジメントの3大原則
「捨てる」ために既存のDOの棚卸しをする
「入れかえ」のために重要・緊急マトリクスを使う
「時間圧縮」のためにルーチンを見直す
「重要・非緊急」領域を実行する方法
- 仕組み化し、日常生活に組み込む
- 強制的に「緊急領域」に移動する
6章 検証:正しい計画と実行の上に成り立つ「振り返り」
検証に失敗する2大パターン
- 検証をしない「やりっぱなし派」
- 検証しかしない「形から入る派」
ステップ① KGIの達成率を確認する
ステップ② KPIの達成率を確認する
ステップ③ KDIの達成率を確認する
ステップ④ できなかった要因を突き止める
KDIが計画通り推移していないとき
KPIが計画通り推移していないとき
KGIが計画通り推移していないとき
ステップ⑤ できた要因を突き止める
検証精度とスピードの関係
「気づき」があったらそれはC
考え抜いた結果のミスはOK
→鬼速クエスチョン検証編
7章 調整:検証結果を踏まえた「改善」と「伸長」
ADJUSTの体系的理解が難しいわけ
ステップ① 検証結果を踏まえた調整案を考える
ケース1 ゴールレベルの調整が必要そうなもの
ケース2 計画の大幅な見直しが迫られるもの
ケース3 解決案・DO・TODOレベルの調整が必要そうなもの
ケース4 調整不要
ステップ② 調整案に優先順位をつけ、やることを絞る
ステップ③ 次のサイクルにつなげる
検証と調整フェーズでよく起こる間違い
- 新しいものに目移りしやすい(個人)
- 間違ったものばかりに目が行く(個人・組織)
- 意見の統一がはかれない(組織)
- 課題のたらい回し(組織)
- プロセスの可視化が不十分(組織)
→鬼速クエスチョン調整編
8章 チームで実践する鬼速PDCA
PDCAを鬼速で回す必要条件
鬼速で課題解決するための「半週ミーティング」
3日ごとの前進度合いを可視化する「鬼速進捗管理シート」
知見を集積するための「なるほどシート」
非緊急領域を定着化させる「ルーチンチェックシート」
有志によるPDCAワークショップ
鬼速PDCAコーチング
→鬼速クエスチョンコーチング編
おわりに
付録 鬼速PDCAツール
10分間PDCA記入例
冨田 和成(著)
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)