ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門 ― 適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す

ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門 ― 適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す

ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門 ― 適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す

佐藤隆(著) グロービス経営研究所(監修)
ダイヤモンド社

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本の詳細

その第一歩は、メンタルヘルスの知識を正しくつけることです。メンタルヘルスとは、こころの健康を守ることです。精神的に健康であることで、意欲的に職務に取り組み、仕事のパフォーマンスを上げることが可能となります。

専門の医療従事者が予防、治療、復帰を行なう「医療依存アプローチ」に頼り切るのではなく、経営者や人事部、管理職の努力を要する「適応アプローチ」を実施することが効果的であることを提案します。

なお、適応アプローチと医療アプローチの違いは本文で述べますが、本書では特に適応アプローチについて深堀りをしていきます。

簡単にできる個人向けメンタルヘルスチェックとして、「簡易版THQストレス診断(個人のストレスを測定するテスト)」を紹介します。これにより、ストレスに対する個々人の受けとめ方の違いがわかり、コーピング(対処法)のヒントが得られます。読者の皆さんもぜひトライしてみてください。

職場のメンタルヘルスチェックとして正式版THQストレス診断についても紹介します。この診断ツールは筆者が中心となって開発したものであり、さまざまな企業でその有効性が確かめられています。

管理職が日常留意すべき対人的なケア(これをラインケアといいます)について説明し、リーダーにとって重要な心がけについても紹介します。なお、こうしたリーダーシップのあり方は、何も新しいものではなく、実は既存のリーダーシップ理論の延長線上にあるものです。

人的資源管理、すなわち採用、配置、評価・報奨などに関連した施策を提示します。

これらは既存のメンタルヘルス本では取り上げられていなかった領域であり、本書が他の書籍と最も異なっている箇所でもあります。ここでは、メンタル不調を減らすというネガティブかつ限定された側面だけでなく、社員の活性化という観点でこうした問題を考えていくことが、強い組織を生み出すことを説明します。

なお、本書では、適応アプローチがないために発生したトラブルを多数紹介しています。個人のストレスを最小にし、共同の成果を最大にするためには、個人や管理職の努力のみでは限界があります。企業も、医療依存アプローチに頼るだけではメンタル不調の減少につながらないことに気づきはじめてきました。筆者がメンタルヘルスでお手伝いした企業は二八〇社に及びますが、適応アプローチを取り入れている企業が顕著な効果をあげている事実が、その有効性を物語っています。

目次

まえがき

第1部 基礎編

1 身近に起きているメンタル不調

  • [ケースA]トップランナーの突然のメンタル不調
  • [ケースB]少数精鋭の職場で起こった「ドミノうつ」
  • [ケースC]安全配慮義務違反で訴訟騒ぎに
  • 本書の構成と特徴

2 メンタルヘルスの基礎知識

  • メンタル不調がもたらす経済的損失
  • わが国におけるメンタルヘルスケアの歴史
  • ハイパー・チェンジ・エイジのメンタル不調

3 適応アプローチとは何か

  • 職場問題を改善する「適応アプローチ」
  • 日々の働きかけでメンタル不調を予防
  • すぐ医師の判断を仰ぐべきケース

4 ケース解説:誤った対応がもたらす悲劇

  • [ケースA]メンタル不調者を励ますことはストレスに
  • [ケースB]不十分な人的資源管理がトラブルを拡大
  • [ケースC]対応手順の誤りが損害賠償責任のリスクへ
  • コラム「電通事件とオタフクソース事件」
  • リーダー、マネジャーが知っておくべきメンタルヘルス施策

5 ストレスを理解する

  • ストレスとは何か
  • ストレスに関する誤解
  • ストレッサーとストレス反応
  • コラム「セリエによる一般適応症候群の三つのステップ」
  • 心理学的観点から見たストレス
  • 職場のストレスモデル

第2部 状況把握編

2章 自己のストレス状況・特性を把握する

1 個人の職務ストレスを計測する

  • [ケース]健康そうなのに休みたがる部下、辛そうなのに無理をする部下
  • 上司は部下のストレスを、客観的に把握できるか

2 自分自身の「ストレスと職場適応度」を知る

  • 簡易版THQストレス診断

3 ストレスを受けやすい六つの性格傾向

  • 生活習慣危険傾向
  • 消極傾向
  • 漂流傾向
  • 焦燥傾向
  • 神経質傾向
  • 孤高傾向

2章 職場のストレス状況を把握する

1 「心の健康診断」で早期の問題発見

2 THQによる組織のストレス診断

  • 組織全体のストレス状態を診断する
  • THQ組織診断の特徴
  • 傾向分析に見られる代表的パターン

3 組織のストレス改善にもコーピングが有効

  • コラム「メンタルヘルス維持のコストと効果」
  • コラム「PMKリーダーシップ」

第3部 ソリューション編

1章 セルフケアによるソリューション

1 コーピングでストレス耐性を高める

2 六つの性格傾向とコーピング

3 七種類のコーピング

  • コラム「ハイパー・チェンジ・エイジのコーピング」

4 コーピングによりメンタル不調を改善、予防したケース

  • [事例1]リラクセーションによって、飲酒過多を克服
  • [事例2]食事を改善して、心身の健康を回復
  • [事例3]ストレス軽減により、生活習慣病が改善
  • [事例4]周囲に無関心だった自分を反省し、コミュニケーションを改善

2章 リーダーシップによるソリューション

1 メンタル不調の部下にどう対処すべきか

  • [ケース]不適切なリーダーシップが、うつ病の部下を追い込む

2 部下をメンタル不調にしないために

  • メンタル不調を未然防止するリーダーシップ
  • 部下の気持ちに配慮する
  • カウンセリング・マインドを持つ
  • コラム「職位が高いほど、メンタル『良好』に?」
  • NIOSHのストレスモデルを意識する

3 もしもメンタル不調者が出てしまったら

  • どう見極めるか、どう対応すべきか
  • コラム「横からの支援──トヨタ自動車労働組合」

4 部下の復職に当たって、リーダーがすべきこと

  • メンタル不調になった部下の復職
  • うつ病からの職場復帰
  • コラム「管理職の職場復帰」

3章 人的資源管理によるソリューション

1 人的資源管理からのアプローチの必要性

2 個人によるサポートの限界

  • [ケース]上司のサポートも効果なく、ドロップアウト
  • 人事制度の不備がもたらすメンタル不調

3 メンタル不調になりやすい年齢層

  • ここ数年、若返りを増す傾向
  • 現場の最前線で働く三〇代ならではのストレス要因
  • [ケース]M&Aによる将来への不安が、メンタル不調を誘発
  • 仕事のやりがい、社会的意義の欠乏感
  • [ケース]働く動機があいまいになってメンタル不調に
  • 働く目的が薄れてしまうことによる悲劇

4 これからのメンタルヘルス施策

  • 早期発見・早期治療に努める
  • 芽を摘み取る究極のメンタルヘルス対策
  • 従業員が前向きになれる育成、配置、採用、評価が現実解
  • コラム「ベンチャー企業は負荷が大きくても健康?」
  • 施策を生かすための現状把握──TISの取り組み
  • 定期的なチェックをもとに継続的なコーピングを実施──オリエンタルランドの取り組み
  • イベント型の対策で終わらせない体制づくり

5 人的資源管理とメンタルヘルス対策は表裏一体

メンタルヘルスに関するQ&A

職場のメンタルヘルス理解度テスト

監訳者によるあとがき
索引

 
ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門 ― 適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す

ビジネススクールで教える メンタルヘルスマネジメント入門 ― 適応アプローチで個人と組織の活力を引き出す

佐藤隆(著) グロービス経営研究所(監修)
ダイヤモンド社

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