神田和明(著)
あさ出版
本の詳細
思えば5年前、リーダーとしての能力に限界を感じ始めていた私は、あるきっかけでビジネスコーチスクールの門を叩いた。
そこで「コーチング」という考え方や手法を学んだが、それが本当に実践で通用するのかどうか非常に興味があった私は、当時のチームの再生を賭けて、学んだ内容をそのまま素直に、次から次へと導入を試みた。
リーダーが壁にぶちあたったら読む本/神田和明(著) あさ出版より
はじめはメンバーから「何でこんなことしなきゃいけないの?」と数々の苦言を言われたが、それがチーム内に徐々に浸透していくにつれ、チームの雰囲気が変わり始めた。
気がついてみれば、チームが大きく進化・成長し、メンバーもそれぞれの持つ能力を思いっきり発揮できる組織風土がつくり上げられ、「目標を達成し続ける強いチーム」ができあがった。
サントリーという会社はどちらかというと、外から見ると「宣伝・広告の会社」という洗練されたイメージが強いが、実際に中で働いてみると、そのイメージとはまったく異なっていて、高い品質にこだわる「ものづくり」への情熱と、本当に泥臭い営業が支えている会社だと思っている。
特に1963年に参入したビール事業は、当時順調に売り上げを伸ばしていたウイスキーとは対照的に大苦戦を強いられていた。サントリービールは「ウイスキー臭い」(まったく根拠のない話ではあるが)とまで言われ、発売当初は返品の山だった。当時のビール営業セールスの苦労は計り知れないものがあったのではないかと思っている。
私は営業の本来の原点は「最後は人間で勝負する」ということに尽きるのではないかと思っている。
自分が自信を持っている商品がなかなか売れない場合、どうしたら売れるのかを考え、それを実行に移す。それでもまだ売れないとなると、さらにまた再度「売るため」にはどうしたらよいかもっともっと考える。
この長年の苦しい営業活動の繰り返しが、やがて人間・営業としてのゆるぎない力、あるいは知見やノウハウとして蓄積されていく。
そこには、「市場環境がどうだから?」「競合状況がどうだから?」という、売れない言い訳の言葉は一切でてこない。
本著の構成は、まず「結果を出す強いチーム」についての全体像(7ページ参照)を示しながら、そのつくり方のプロセスや重要な要素について体系的に説明している。そしてそのプロセスを、3つのステップで詳しく解説している。
【STEPI】では「チームの目指すべき目標とその方向性を示す」というタイトルのもと、「ミッション&ビジョン」「チームスタイル」について、
【STEPII】では「戦略を立案し、チームの力を高める」という主旨で「リーダーシップ」「人材育成」について、
【STEPIII】では「チームの結束力を強め、推進力を高める」というタイトルで「モチベーション」「コミュニケーション」についてそれぞれ独立した一つの「章」として著している。
そして更に各章の中では、私自身がサントリーで経験してきた実際の仕事の経験談を織り交ぜながら、「結果を出す強いチームづくり」に関する25の極意について、なるべく分かりやすくかつ具体的に著した。
目次
ステップI チームの目指すべき目標とその方向性を示す
第1章 やるべきことを明確に示す【ミッション&ビジョン】
- 「営業の原点」を考える
- 人的ネットワークを活用し自分の立ち位置を確認する
- 「今、やらなければならないこと」だけをやる
- チームビジョンについて徹底的に話し合う
- Column 1 神田部長の「忘れられない一言」
第2章 チームカラーにこだわる【チームスタイル】
- 目指すべきチームスタイルを貫く
- なによりもまず「型」から入る
- できること・やれることに全神経を集中する
- どんな困難があっても自分のやり方を貫く
- Column 2 神田部長の「忘れられない一言」
ステップII 「戦略」を立案し、チームの力を高める
第3章 リーダーとして必要な力について考える【リーダーシップ】
- 「鬼軍曹」に学ぶ
- Column 3 神田部長の「忘れられない一言」
- 「戦略的思考力」で根本的課題を解決する
- 「人間的魅力」が人や組織を動かす
- Column 4 神田部長の「印象的な思い出」
- 「戦略的思考力」と「人間的魅力」の両方をうまく発揮する
- 「ブレない強い意志」でチームの信頼を勝ち取る
第4章 チームの飛躍的な成長を促す【人材育成】
- まずは自分自身の成長を促す
- チームディスカッションで「個」を磨き合う
- 「潜在能力」を引き出し活用する
- キャリアビジョンを常に意識する
- Column 5 神田部長の「印象的な思い出」
ステップIII チームの結束力を強め、推進力を高める
第5章 メンバーのやる気が目標達成を確実なものにする【モチベーシヨン】
- ゲーム感覚で楽しく仕事を進める
- Column 6 神田部長の「印象的な思い出」
- メンバーの話をしっかりと傾聴する
- Column 7 神田部長の「忘れられない一言」
- メンバー同志が助け合う土壌をつくる
- チームシンパシーでモチベーションを高める
第6章 組織のグッドサイクルをつくる 【コミュニケーション】
- 「コミュニケーション」の重要性を理解する
- 「価値観の共有」で相互理解を深める
- 本音で言い合えるミーティングにする
- 「ノリノリプロジェクト」で関係の質を高める
- 真のリーダーシップはリーダーの「志」そのものの中に宿る 〜「あとがき」にかえて〜
- 奥付