森田晴彦 (著)
彩流社
本の詳細
ここで言う礼節とは、「挨拶をきちんとする」ことや「姿勢を正す」「ルールを守る」「人と仲良くする」と言った、極めて当たり前のことばかりです。そしてこれは、幼稚園でも子どもたちが、一番大切なものとして教わることです。
幼稚園で礼節を大切なものとして教えている理由は、将来社会の一員として生きていけるためにとても重要なことだからです。しかし、実際の社会の一員である職場での私たちは、この礼節をないがしろにし過ぎていないでしょうか。
MBAでは教えてくれないリーダーにとって一番大切なこと/森田晴彦(著) 彩流社より
クリスティーン・ポラス准教授は、このような礼節の欠如から生ずるストレスのせいで、企業は莫大なお金を負担しているとも指摘しています。無礼な社員の悪影響は、普段の生活のなかでは見えにくいものです。職場での誰かの無礼な振る舞いで仕事を辞めようと決心した人たちは、決して本当の理由を言いません。人手不足、人材不足が叫ばれる今、離職者が多い企業は、それだけ多大なコストを支払うことになります。
私は礼儀正しい姿勢でいることは、車のギアでいう「ニュートラル」の状態を保つようなものだと思っています。安易で怠惰な「自分らしさ」に逃げ込もうとする自分のマインドを、フラットな状態に戻してくれるものです。あるべき姿を思い出させてくれる心のスペースを与えてくれるとも言えるでしょう。
人間は弱い生き物です。何かにつけ、自分にとって楽な方向に流されてしまいます。特に、リーダーは、そうした弱い人たちを束ね、ひとつの目的に向かって率いていかなければならない存在です。そこでリーダー自身が、ぶれない軸をつくるためにも、冷静に自己を見つめ直す心のスペースを持つことは、とても重要なことなのです。リーダーは礼儀正しい態度を身に付けることで強くなれるもの、チームを強くできるものではないかと、私は強く感じます。
目次
序章 リーダーにとって大切なことはすべて幼稚園で学んだ
- 人を動かすリーダー
- どの理論を採用するか
- 実践の前提となることとは?
- 子どもたちが教えてくれた
- 奇跡のV字回復
- 職場の人間関係が一番難しい
- 仲良くできない大人たち
第1章 リーダーシップの本質は幼稚園が教えてくれた
- 集団になると馬鹿が出る
- 職場が人の子どもじみた面を引き出す
- 礼節を通して本当の自分を見つける
- 調和の土台は、日本の幼稚園に落ちていた
第2章 5歳児に伝わらないことは、大人にも伝わらない
- 幼稚園でのコミュニケーションで見えたこと
- その言葉で5歳児に通じるか?
- 叱る前に必要なこと
- 目線を合わせて伝える
第3章 「グローバル」に振り回される日本のリーダーシップ
- 欧米コンプレックスに振り回される日本
- 欧米の「グローバル化」と日本の「グローバル化」
- 英語コンプレックスのその先に
第4章 ちっぽけな固定観念はすべて子どもたちが壊してくれた
- 「なぜ?」という問いから始めるリーダーシップ
- 職場の中に犯人を捜しても問題は解決しない
- 本音と建前が通用しない世界から見えたもの
- 組織にとって必要な人材4段階
- 同じ方向を向けない人を船から降ろす覚悟
- 優れたリーダーは感情を客観視する
第5章 それでも「なかよし」になれない大人たちのための組織の心得
- 人生の悩みの多くは「人間関係」
- 大人の「いじめ」も見逃さない
- 仲間の成功を心から喜ぶ
- 明確なルールとその共有の重要性
- ルールは極端なほどにシンプルに
- ルールに例外をつくらない
第6章 「子ども心」とイノベーションの関係
- 幸せは、何気ない日々の中にある
- 自分らしさを表現し想像力を発揮する
- 固定観念にとらわれない
- 職場に子ども心を取り戻すために
- 宇宙船の人間関係
- おわりに
- 奥付