できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ
伊庭正康 (著)
PHP研究所
本の詳細
部下の話を聞く時間が持てないのは、能力の問題ではありません。
そもそも、リーダーのやることが増えているからです。
できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ/伊庭正康(著) PHP研究所より
プレイヤーをしながらマネジメントをしているなら、なおさらです。
自分の業務が忙しいために、マネジメントが疎かになっていると考えているリーダーも、同じく約6割にのぼるというのです。あなただけではないのです。
「なぜ、そうなっているのかわからないけど、いつも何かに急かされている」と。
本当にそうなのだろうと思います。
会社のリスクマネジメントは強化され、ダイバーシティ体制への移行は不可避になっています。当然、提出物も増えていますし、報告の頻度も増えているはずです。
つまり、頑張るだけでは乗り越えられなくなってきているのが、現状なのです。
ただ、「力の入れどころ」を変える必要はあります。
「力のいれどころ」が違っていたことに気がつけば、解決の糸口が見えてきます。
「いかに速くやるか」ではなく、「いかに任せていくか」を考えるしか方法はないのです。
あえて、細かく指示せずに「任せている」ことが原因で陥りやすいトラブルがあります。良かれと思って任せているのに、なぜか部下がこう言うのです。
「放置されている。関心を持ってくれていない」
「一度、私たちの仕事を経験してみてくださいよ」、と。
このセリフは、こうしたケースに陥った上司がよく言われることです。
では、どうすればよかったのでしょう。
なにも熟達する必要はないのですが、仕事の流れをつかむためには、1回はその業務を経験しておくべきです。そもそも、部下がやっている仕事の流れくらいは知らないと相談にも乗れません。
また、的外れな改善策を提案し、かえって部下にストレスを与えてしまうようなことにもなりかねません。
目次
第1章 リーダーの悩みは、「頑張るポイント」を変えるだけで解決する
01 「部下の話」を聞く時間がない‥…リーダー失格なのか?
- 自分のリーダーとしての「能力」が低いのか?
- ちゃんと部下の話を聞くと、残業になる
- 「力の入れどころ」を変えれば、解決への糸口が見える
02 「任せられない」のは、部下のスキルが低いから?
- 経験が邪魔していないだろうか?
- もし、世の中が自分レベルの人ばかりだったら?
- 「最初の3年」が、部下の将来を決める?
03 あまり叱らないようにしている。でも、イイのだろうか?
- “厳しさ”が”パワハラ”になる時代
- 「厳しさ」を「丁寧さ」に変換するだけで、うまくいく
04 年上への「接し方」がわからず、調整役になってしまう
- もはや「年上の部下」は、特別なことではない
- 年上部下にとって、やりやすい上司になるために
05 部下が「仕事に本気」にならないのは、自分の責任?
- 今の時代は、仕事を「ほどほど」にするのがクール?
- 会社以外に、いくらでも選択肢がある時代
- 彼らが「仕事中心の生活」になってもいい、と思う時
06 部下から「放置されている」とクレーム。子供じゃないのに‥…
- 「一度、私たちの仕事を経験してみてくださいよ」をどう考える?
- 「任せる」と「放任」の違いを明確にしておく
07 細かく指示しないと不安になるのは、気にしすぎ?
- 「マイクロマネジメント」が、部下のチャレンジ精神を奪う
- 不安になるべきは、部下の「成長」を止めてしまうこと
08 「ケジメのない」状態をどうしたらいいのだろう?
- あなたの会社の若手は大丈夫?
- これもダイバーシティだと考えると解決する
- 教えておくべき、たった1つのこと
第2章 できるリーダーの「部下を覚醒させる任せ方」
01 リーダーの「任せる覚悟」が、部下を覚醒させる
- 「裏切られても、かまわない」と腹をくくる
- 「人は必ず変わる」と信じてみる
02 リーダーは自らの経験を封印し、部下に「経験」させる
- 部下のノビシロに期待するなら、「できる」けど、やらない
- 経験を通じて「何を学んでほしいのか」を考える
- 任せる時は、部下の特性や成熟度をよく考える
03 こうすれば、新人にも仕事を任せられる
- 任されるのはイヤ、と思っている新人
- 新人には、「一緒に、丁寧に」のスタンスで任せていく
04 任せ上手なリーダーは、あえて「失敗談」を語る
- 「背中を見て覚えよ」は職場を地雷源にする
- 「上司の恥ずかしい失敗談」が、部下の主体性を引き出す
05 むしろ、「実績がないリーダー」をお手本にする
- 「経験のない人にかなわない」とはどういうことか
- 「経験のないリーダー」の戦い方をマネする
06 トップダウンとボトムアップを使い分ける
- 民主的すぎるリーダーの落とし穴
- 「方針」はリーダーが決め、「方法」はメンバーが考える
07 「任せる」と「放任」の違いを理解しておく
- 任せていたはずの「優秀な部下」が、爆発する時
- 「任せる」と「放任」の違い
第3章 「この人と頑張りたい」と思われるリーダーになる
01 プレイングリーダーは、モードのスイッチを切り替える
- 「ハンバーグを焼きながら、サラダを作る」レベルではない
- リーダーモードでは、「私心」を出さない
- でも、そんなことをしていたら自分の時間がなくなる‥…
02 プレイヤーとしては優秀だった人の落とし穴
- えっ、成長したくないの?
- 異なる価値観を理解するために
03 夜間・休日に、部下にメールを送らない
- 2000年代とは常識が変わった
- 任せ上手は、「相手の価値観」に配慮する
- どうしても夜のうちに送っておきたい時は?
04 意識すべきは、「信用」と「信頼」の違い
- 「信用」と「信頼」は、まったく違う
- 信頼は、ミスをした時のひとことで決まる
05 効果的な”ほめどころ”を知る
- ただ、ほめるだけでは意味がない
- ほめるスキルは、できる上司の必修科目
06 最高のリーダーは「会社のため」とは言わない
- グローバルの幹部が「どうしても伝えたかった」こととは?
- 常に「They」の視点で語る
07 リーダーになったら、まず「使命」を探そう
- 誰もが「They」を語れるようになる方法
- 「経験アプローチ」とは?
- 「Theyの”不”アプローチ」とは?
08 「仕事を面白くする方法」を伝える
- 「面白い」のではなく、「面白くする」のが正解
- 世界一、キレイな羽田空港
09 いい人より、「恰好いい人」であることが大事
- いい人だけど、刺激を受けない上司
- 「ボス充」は武器になる
10 部下の「希望」に火をつける
- 「希望がない職場」と「ある職場」の決定的な違い
- モチベーションがトップクラスの会社が行う面談とは?
11 キチンと部下の「罪悪感」を取り除く
- 「目的の正しさ」を伝えておく
- 「手段を正しく」しておく
第4章 部下が「自分からやりたくなる」ように導く
01 「やる気」の方程式を知る
- 優秀な若者の「欲求」は?(収入より大事なもの)
- 「Will-Can-Must」の方程式を知る
02 部下の「こうありたい」を知る方法
- 「特にやりたいことはない」という部下へのアプローチ
- 大事なことは「背景」を知ること
03 部下の「強み」を開発する
- 部下の「能力開発目標」を決める
- 部下の「強み」を発見する
04 うまい目標設定で、「成長を加速」させる
- 「全員達成」できる目標では、人は「成長」しない
- 目標設定は、SMARTの法則で
05 何事も部下に「決めさせる」
- 部下の主体性を引き出す鍵、「自己決定感」とは?
- メンタルの弱さも「自己決定感」で取り除く
06 新人には”ティーチング”で「不安」をなくす
- ティーチングの3つの流れ
- マイクロマネジメントにならないように注意
07 中堅には”コーチング”で「考える力」を伸ばす
- 「GROWモデル」とは?
- 言いたくなっても、ガマンする
08 ベテラン部下の「最高出力」を引き出す
- ベテランは「手の抜き方」も知っている
- 定期報告の機会を持つ
09 本気になれない人には、応援団をつける
- 本気になれない部下が、本気になれた仕掛け
- ヒントはオリンピック選手の壮行会
第5章 一丸となって「戦えるチーム」の作り方
01 強いチーム作りの「設計図」
- BSC(バランスト・スコアカード)が、強いチーム作りの「設計図」になる
- 設計図をうまく活かす
02 チームの「ビジョン」を、みんなで考える
- ビジョンは浸透していますか?
- 多様な人材を束ねるもの
- ビジョンが1人ひとりの主体性を引き出す
03 「ビジョン」を浸透させる(ほとんどのビジョンは形骸化する)
- 実践できていないと意味がない
- 「視覚」に訴える
- 「聴覚」に訴える
- 「仕組み」で浸透させる
04 チームの「挑戦」を決める(時間軸をきめると、エネルギーが集中する)
- 「期限を切る効果」を実感した出来事
- 「できるかどうか」で考えない。「やりたいかどうか」で考える
05 ムリなく結果を出せる「仕組み」を作る
- スキルに頼らず、誰もができる「型化(かたか)」とは?
- プロセス・行動の「型化」
- ムリをしない方法を考えるのが、上司の役割
06 行動を変えたいなら、「評価指標」を変えよ
- 「評価指標」を変える効果
07 最初は、「会話の量」にこだわる(内容は薄くてもいい)
- 会話のない組織が、うまくいくはずがない理由
- 受注率が13%上がったコールセンターの話
- 従業員満足度の高い職場に”必ずあるもの”
08 お互いの「考え方」を知る機会を作る
- “混乱期”は、「会話の質」にこだわる
- たった1日で「会話の質」を高める方法
09 1人ひとりを主役にする
- あなたの「参謀」を育てる
- 1人ひとりにチームの役割を付与する
10 感謝の総量を増やす仕掛け
- 「感謝の機会」を最大化させる
第6章 スパッ! と「決められる」リーダーになる
01 いかなる時も迷わないために
- 「決めないリーダー」は、問題を増殖させる
- “ブレない判断軸”を持つ
- トレードオフに妥協しない
02 迷った時は、「セオリー」で考える
- 星野リゾートの星野社長が「迷わない理由」
- 最初に覚えておきたいビジネス理論
03 考えるのは、いつも「課題は何?」
- できるリーダーは、「対策」から考えない
- どうやって課題を絞るのか?
04 その場で判断できない時
- 目的に立ち返る(何のための決断か)
- それでも、判断がつかない時
- 孫社長の「すぐやる」力をマネる
05 リスクのない範囲で実験する
- 迷ったら、「リーン・スタートアップでやろう」を決めゼリフに
- 現場で「リーン・スタートアップ」をまわす
06 「自分の正解」にこだわらない
- プレイヤー上がりのリーダーが失敗する、最大の理由
07 失敗を恐れないコツ
- 失敗を失敗と思わない人たち
- 失敗を活かす「失敗知識」という資産
- 失敗の確率を出してみる
08 いたずらに”やること”を増やさない
- スティーブ・ジョブズが、グーグル創業者のラリー・ペイジに伝えたこと
- たった2週間で120個のやらないことが出てきた!
第7章 「リーダーの孤独」を感じた時こそ、勝負どころ
01 リーダーにとっての「孤独」
- なぜ、リーダーになると孤独を感じるのか?
- 孤独を感じたら
02 「不条理」を乗り越える
- 「理不尽」と「不条理」の違いを意識しておく
- 不条理な経験は、財産になる
- 名経営者にも、不条理な経験はある
03 常に「2:6:2」で考えると、反対も怖くない
- 反対されても、気にしすぎない
- 賛成者を作るために必要なこと
04 「立場」で人を動かさない
- なぜ、人がついてこないのか?
- 部下を「プロ」として敬う
05 孤独を感じたら、本に答えを求めよ!
- 「解決の扉」はいくつもある
- 本棚は、薬箱のようでもある
- 「座右の書」を見つけ、それを何度も読み返す
06 社外の人との接点を増やす
- 「村人意識」が、孤独感を助長する
- 常に新しい常識を求める
07 時には、”弱さ”を見せたほうがいい
- 初めてリーダーが陥りやすい失敗
- 弱みを見せるのも、強さである