マッキンゼーが教える科学的リーダーシップ――リーダーのもっとも重要な道具とは何か
クラウディオ・フェサー(著)吉良直人(訳)
ダイヤモンド社
本の詳細
インスピレーションを与えるリーダーシップとは、人々の心の中の動機づけの要因、価値観、それに感情を対象とするものだ。このことが、実は偉大な組織を築くカギとなる要素であり、組織が巨大な変革を遂げて改善を果たすための、最も有効なリーダーシップのアプローチなのだ。
マッキンゼーが教える科学的リーダーシップ――リーダーのもっとも重要な道具とは何か/クラウディオ・フェサー (著)吉良直人 (訳) ダイヤモンド社より
インスピレーションを与えられることにより、人々にはエネルギー、熱意、やる気が生み出され、そして自分自身と組織全体の変革の両方に必要な、粘り強さが生まれる。
簡単に言えば、それは実行が難しいからである。人々と組織にインスピレーションを与えるには、能力が必要であり、リーダーによっては自信が要求される。
だが、能力と自信は築くことが可能だ。たしかに、リーダーによっては、他の人よりもインスピレーションを与えることが上手な人はいるかもしれないが、インスピレーションを与え他の人たちを動気づける能力は、生来の内在的な傾向ではない。
他の人たちにインスピレーションを与える能力は、意識的で意図的に学ぶことのできる行動パターンに基づいている。したがって、この能力は意図的に練習することによって、身につけることができるものなのだ。だから、あなたも優れたインスピレーションを与えるリーダーとなることが可能なのである。
この比較的薄い書籍の目的は、他の人たちにインスピレーションを与えるあなたの能力と自信を高めることである。本書は、個人の集まりであれ、チームであれ、組織全体であれ、そこにいる他の人たちに対し、あなたがインスピレーションを与え、動機づけを行う能力を、身に付けられるように設計されている。
目次
- はじめに ── マッキンゼーの科学的リーダーシップに触れる日本の読者への解説
- イントロダクション ── なぜ、リーダーの一部はこのようなことが可能なのか
PART I Inspiring and Influencing 影響力とインスピレーションとの特別な関係
CHAPTER 1 プロローグ ── ジェームズ・ロビンソンは、自らの能力を証明する ジェームズとインフルー社の物語 ①
- 新しいポジション、新しい処遇
- 輝きを失っていた先端企業
- 「命令とコントロール」によるアプローチ
- きみに1年間の猶予をあげよう
- 影響力を与えるプロセスの心理学
CHAPTER 2 リーダーにインスピレーションが大切な理由
- マッキンゼーの2年間に及ぶリサーチ成果
- リーダーシップの階段をどう上るか
- インスピレーショナル・リーダーシップとは何か
CHAPTER 3 最新研究で学ぶ影響力の科学
- 9つの影響力行使アプローチ
- ハード戦術の影響力行使アプローチ
- ソフト戦術の影響力行使アプローチ
- 影響力行使の各種アプローチの利用頻度
- どのアプローチがどんな場合に効果的か
CHAPTER 4 脳科学が教えるインスピレーションの効能
- 人が変化するには何が変わることが必要なのか
- 私たちの脳
- 記憶への書き込みや長期記憶の強化を実現する神経可塑性
- 学習と変化はどのように起きるのか
- 強いポジティブな感情下の学習は、脳に定着しやすい
CHAPTER 5 複雑な関係、複雑な仕事で影響力をどう使うか ジェームズとインフルー社の物語 ②
- 単純明快とはいかない状況下のリーダーシップ
- 自分には、インスピレーションを与える才能はないが
- さまざまな形のコンサルテーションを実践する
PART II Inspiring Others どんなときに人は、インスピレーションを感じるか
CHAPTER 6 何がいけなかったのか、わからない ジェームズとインフルー社の物語 ③
- 「私は学校が大嫌い」
CHAPTER 7 インスピレーションを与える技術
- 実践への3つのステップ
- 感情移入で内面の動機づけとなるものを理解する
- 内心の動機づけ要因に働きかけ、行動に移す約束を取り付ける
- いかに他の人が行動に移せるようにエンパワーできるか
CHAPTER 8 共感できるポイントを見つける方法 ジェームズとインフルー社の物語 ④
- 雪どけ
- 感情移入を伴った質問の力
- 3人が駆り立てられているもの
PART III Targeting Inspirational Appeals どんなインスピレーションに狙いを定めるか
CHAPTER 9 「彼らはきみの退職を望んでいるよ」 ジェームズとインフルー社の物語 ⑤
- 失敗の対価
- 状況は完璧なはずだった
- 眠れぬ夜
- 助けを求めて
- 取締役会との関係は良好だった
- カール・エグゼター会長
- カール会長の人間関係
- マーク・ジェンセン博士の仮説
CHAPTER 10 人の感情と心理的力学の分析法
- マーク・ジェンセン博士のWAPLフレームワーク
- (振る舞いや行動の)文脈
- ノウハウ(知識および過去の経験)
- スキルと能力
- 他の人のマインドセットを理解する
- パーソナリティを構成する5つの要素
- 他人の価値観を見分ける必要がある
- 同じ出来事に異なる反応を見せる情緒的な傾向
- WAPLモデルについての総合的配慮
CHAPTER 11 影響力を特定の個人にフィットさせる
- WAPLの4つの要素を把握してアプローチする
- 文脈
- ノウハウ
- スキルと能力
- マインドセット(思考様式)
- アプローチの組み合わせ戦術
CHAPTER 12 「カールの信頼を取り戻さなくてはならない」 ジェームズとインフルー社の物語 ⑥
- カールをWAPLシートで分析する
- 思考様式は変えられないが、影響は与えられる
- 誤解は解けた
PART IV Inspiring at Scale 大規模な組織にインスピレーションを与える
CHAPTER 13 「きみに提案があるんだ」 ジェームズとインフルー社の物語 ⑦
- インフルー社に買い手が現れた
- インスピレーションで巨大組織の変革が可能か
CHAPTER 14 大規模に、意図的に影響力を行使する
- 組織にインスピレーションを与えることが可能か?
- 組織に内在する動機づけ要因を理解する
- 組織に変革を求める
- インスピレーションにより突き動かされる変革
- 巨大で複雑な組織で苦闘する人々をどうエンパワーするか
CHAPTER 15 エピローグ ── そしてジェームズは語り始めた ジェームズとインフルー社の物語 ⑧
- 愛する者の突然の危機
- お父さんの会社で作っていた?
- マックスの経験から生まれたアイデア
- 点火
- 影響力行使モデルに基づく全社的企業変革プログラム
- あとがき ── インスピレーショナル・リーダーシップは最強である
- 解説 ── マンフレッド・F.R.ケッツ・ド・ブリース
- 注記