村瀬健(著)
祥伝社
本の詳細
いきなりですが、あなたに質問です。あなたの会社の社長が次のようにボケてきたら、あなたはどうツッコミを入れますか?
社長「最近のノートパソコンはどんどん薄くなっていくね」
あなた「そうですね」
社長「まるで、俺の髪の毛みたいだわ」いかがでしょうか。おそらく、なんと返せばいいかわからず、ほとんどの人が言葉に詰まってしまうでしょう。この時、気心の知れた上司であれば、「本当ですね!」と正直に言えるかもしれません。ですが、相手は会社のトップ。肯定するわけにはいかず、とはいえ「そんなことないですよ!」と否定するのも、社長の髪の毛が実際に極薄だった場合には無理が出てきます。
これは社長がボケているわけです。ほったらかしにすると「せっかくボケたのに、無視された」と思われて印象が悪いですし、ボケに対して「うまいことおっしゃいますね!」と褒めてしまえば、社長の髪の毛が薄いことを認めたことになっていまうのです。
そこで、次のツッコミを入れてみます。「じゃ、最新ですね!」
このツッコミは、社長の髪の毛が薄いことを認めています。ただし、悪くは言っていません。「最新のノートパソコン(=高スペックで優れている)」というニュアンスがあることから、社長の耳には悪く届かないでしょう。
テレビ番組における司会者は、進行役として、その場を取り仕切る役目です。バラエティ番組の多くは出演者のトークで構成され、それぞれの役割を担う各出演者は、次の三つのパートに分けることができます。
○トークをする人
○トークを聞いている人
○トークに意見をする人「トークをする人」は、おもしろい話をします。これがお笑いで言うところのボケですが、彼らは番組を仕切ることはできません。司会者である「トークに意見をする人」が、「で、どうなったの?」「本当に?」と質問したり、「なんでだよ!」とツッコんだりして、話を転がしていきます。番組を仕切り、進行するために必要な能力はツッコミにほかならず、だからこそ、ツッコミ芸人が司会者として重宝されるのです。
これは、ビジネスや日常の会話でも同じです。社内会議、取引先との打ち合わせ、商談、複数で話す日常会話、合コン‥‥これらすべて、「トークをする人」「トークを聞いている人」「トークに意見をする人」の三パートに分けられます。
「トークをする人」は、ボケ的なきっちりとした中身のある話をしなければなりません。対して、「トークに意見をする人」は、相手の発言を受けてのもの。意見をするだけですから、発言のクオリティよりも「着眼点」がものを言います。鋭いツッコミを入れることで、周囲の目にはしっかり者として映るのです。
会議や商談の席などで、自分から話を切り出すのが苦手という人は、ツッコミを中心に発言されてはどうでしょう。
目次
はじめに
第1章 ツッコミを取り入れよう
- ツッコミ芸人が社交的な理由
- メリット1 ボケ=軽薄に対して、まじめに映る
- メリット2 頭がよいと思われる
- メリット3 聞き上手と思われる
- メリット4 会話相手に喜ばれる
- メリット5 笑いが取れる
- メリット6 場の主導権を握れる
第2章 徹底分析! ツッコミ
- ツッコミの本質は「違和感」を指摘すること
- 「拾う」ことを意識する
- ツッコミの対象は「発言」「行動」「見た目」「物」「環境」
- ツッコミは事前のコミュニケーションがすべて
- ツッコミに欠かせないもの
- 人間関係が壊れない話し方
- 人間性ではなく、行為にツッコむ
- ツッコミは見て、観て、診る
第3章 「ツッコミ脳」になると…
- 他人と違う着目点が身につく
- 空気を読めるようになる
- 会話が途切れなくなる
- 上司や部下のミスを正せる
- プレゼン、説明がうまくなる
第4章 ツッコミには「型」がある
- 現代のツッコミは一〇種類
- (1)指摘ツッコミ
- (2)疑問ツッコミ
- (3)擬音ツッコミ
- (4)ノリツッコミ
- (5)リアクションツッコミ
- (6)すかしツッコミ
- (7)セルフツッコミ
- (8)倒置ツッコミ
- (9)広げるツッコミ
- (10)たとえツッコミ
第5章 最強のツッコミ・たとえツッコミの作り方
- パターンを覚える
- ツッコミのスイッチを事前に入れる
- たとえるキーワードをひとつに絞る
- たとえるジャンルをひとつに絞る
- 意外性のある言葉を選ぶ
- 会話を引っ張る
第6章 プロのツッコミ、アマチュアのツッコミ
- キレ
- 声
- タイミング
- 間
- セリフの長さ
- セリフの変化
- 拾えているか
- たとえるもの
- ボケとのつりあい
- 話の腰を折る
- 絶好のチャンスを逃す
第7章 ツッコミ練習問題
- 問題(1)「忘年会」
- 問題(2)「説明」
- 問題(3)「商談」
- 問題(4)「昼休み」
- 問題(5)「接待」
第8章 ツッコミ達人と、その奥義
- 間でツッコむ
- 自分に注目を集めてから、ツッコむ
- 全員がツッコみ終えてから、ツッコむ
- その人だけわかるフレーズで、ツッコむ
- 相手の予想を覆してツッコむ
- 空気が変わった瞬間にツッコむ
村瀬健(著)
祥伝社