秀島史香(著)
朝日新聞出版
本の詳細
緊張感を高めるのは簡単です。目と目を合わせなければいいのですから。
思い出していただきたいのが、2016年のアメリカ大統領選挙の討論会です。
討論(ディベート)も広い意味では「トーク」の一種かもしれませんが、緊張感を高めるつくりになっているのがおもしろいところです。それぞれ余裕たっぷりで会場に登場した候補者のドナルド・トランプさんとヒラリー・クリントンさんでしたが、いざ始まると、互いに目を合わせることはほとんどなく、終了後に握手を交わすこともなく別れたこともありました。
見ている側としては、
「おお、ピリピリしてるな〜!」
と、ショーを見ている気持ちにもなりましたが、目を合わせないことや握手をしないことは、警戒心や対抗心をわかりやすく表すボディランゲージになるのだと改めて感じました。私たちの日常では、討論会の真似をする必要はありません。互いに目と目をそらし緊張を高め合う「緊張のスパイラル」なんて、想像するだけで身震いします。
「アイ・ライク・ユア・〇〇」は、話のきっかけとしてとても便利な魔法の言葉です。
この場合の「ライク」は、日本語では「いいね!」というような意味でしょうか。
シャツの色や使いやすそうなペンなど、ちょっとしたことでいいのです。大切なのは「それ、いいですね!」の気持ちを声に出すこと。なぜならそれは、「私はあなたに関心がありますよ」という意思表示だからです。「でも、正面切って人を褒めるのはちょっと‥‥」というシャイな人は『笑っていいとも!』(フジテレビ系)で32年にわたってゲストを迎え続けた名司会者、タモリさんのセリフを思い出しましょう。
「髪切った?」
たったこれだけの言葉で、「あなたに関心がありますよ」ということを示しています。たとえ「切っていません」という答えが返って来ても、「あ、そうですか(‥‥シーン)」とそこで言葉を飲み込んでしまうのではなく、さらに勢いをつけてもう一歩踏み出してみる。
「そうですか、でもいつもと感じが違って見えたので。なんでかな」
「私、切ろうと思っているのになかなか時間がなくて」
こんなふうに、髪の話題を起点にして、会話を続けていくことができます。
目次
第1章 「話すとなぜか気持ちいい」人たちが心がけていること
- 心理バリアを解除するアイコンタクトの威力
- 好印象の人が会う前から上機嫌な理由
- 「髪切った?」は万国共通の「いいね!」
- 相手のグルーブに飛びこむ
- 「キレイ」からの解放
- 「でも」を封印すると感じが良くなる
- セールストークをエンターテインメントに
- 苦手なものは人を優しくする
- 槇原敬之さんの全力姿勢に学ぶ神輿の担ぎ方
- 道を聞かれる人になる
- 声は磨ける! 1 「ショック、これが自分の声‥‥?」を克服する
第2章 「明日あの人に会う」ときに私がしていること
- 「逆算」で解決! 「何を話せばいいかわからない」問題
- 準備をせずに会話のおもてなしはできない
- 恐怖! ネット検索の落とし穴
- 自己紹介ですべらないために
- 「第二印象」でさらに近づくために用意するもの
第3章 どんな「想定外」でも大丈夫! 緊急事態にも揺るがない「切り返し」の方法
- ガチガチに緊張しているとき
- ギクシャクしてしまうとき
- 笑えないとき
- 相手が不機嫌なとき
- 言葉のナイフを向けられたとき
- 相手の反応が気になって仕方がないとき
- きわどい話題を振られたとき
- 「エライ人」と初めて会うとき
たけしさん&アッコさんの巻 - 気まずい相手と一緒になったとき
- 失言したとき
- 勇気不足で言えなかったとき
- 失敗後に気持ちを切り替えたいとき
- 声は磨ける! 2 脱モゴモゴ! 何度も聞き返されたDJが毎日続けた小さな習慣
第4章 「また会いたい」と言われる人に共通すること
- 『ケータイ大喜利』で発見したポジティブ毒舌の効用
- 井上陽水さんから盗みたい「キャラ」との上手な付き合い方
- 人類代表、宇宙飛行士・毛利衛さんの話し方
- ノイズなし! NHKアナウンサーの安定姿勢
- 誰も置いてけぼりにしない
- ムッとされず言うべきことを上手に言うには
- 媚びない人
- 優しいおせっかいができる人
第5章 もう困らない! 一生使える話題の拾い方・見つけ方
- 雑談力を上げるトホホ経験
- あなどってはいけないお天気の雑談
- 歳時記とコンビニ
- 好奇心があれば日常は話題満載のドラマ
- 五感は思い出すフック
- 言葉美人への第一歩
- 出会いは無限。だからこそ、話は尽きない
- 声は磨ける! 3 うれしいことがたくさん起きる姿勢
秀島史香(著)
朝日新聞出版