「自分ごと」だと人は育つ 「任せて・見る」「任せ・きる」の新入社員OJT
博報堂大学(著、編集)
日本経済新聞出版社
本の詳細
本書は、株式会社博報堂における新入社員OJTの取り組みをまとめた本です。
一般的に言われている「今の新人世代が『ゆとり世代』だから育成が難しくなった」という「若者世代に非がある」とする考え方。しかし、その捉え方は果たして正しいのでしょうか?
博報堂では、今の「人が育ちにくい時代」について向き合い、育成現場の環境変化をとらえて、2007年より時代に合ったOJTの再構築を開始。本書では博報堂社内の新人社員OJTの新しい考え方とその取り組みを紹介しています。
スキルや知識を身につけてもらうことではなく、新人に「任せ」、「自分ごと」の意識を身につけてもらう、というのが博報堂流OJTのコンセプト。
新人にいろいろな体験をさせながらトレーナーが並走する、その方法を具体的に紹介しています。
「やり抜く」「自ら学び育つ」新入社員を育てるために、トレーナーは何を考えて新人に向き合い、どう指導に取り組んだらよいかを実践事例をもとに丁寧に解説しています。
目次
はじめに
序章
第1章 「人が育ちにくい時代」の認識から始める
- OJTが効かなくなっている?
- 新しいOJTが求められる理由<論点(1)>
– 職場で起こっている変化への対応 - 新しいOJTが求められる理由<論点(2)>
– 新人=若者の価値観や学習姿勢の変化への対応 - 新しいOJTが求められる理由<論点(3)>
– 新種類の仕事が全社員に同時に降りかかってくる変化への対応 - 「自分ごと」意識に着目したOJTが、今の時代にフィットする
第2章 育成・指導者と新入社員が同じゴールを持つ
今の時代に合った新しいOJTの考え方
- 「自分ごと」とはどのような意識か
- 2つの任せ方を通じて「自分ごと」の意識は育ち、定着する
- 1年間のOJTの基本となる考え方
- 「任せて・育成する」ことの効用
- 「任せて・見る」「任せ・きる」のOJTが、なぜ新しい考え方なのか?
- 1年間のOJTでトレーナーが実際にすること
第3章 「任せて・見る」
「自分ごと」を習慣化する
- OJTをスタートする前に考えてほしい点
– 新人の気持ちと前期のOJT終了時の理想イメージ - 「任せて・見る」育成・指導のキーワード
- 「任せて・見る」育成・指導で、仕事をどう選ぶか(選定の視点)
- 「任せて・見る」仕事を通じての新人の学びとは – 実例で考える
- 「任せて・見る」仕事を通じて何を経験して何を学ぶのか
- 「任せて・見る」指導面で求められる見守りのスタンス
- 次の育成ステップを考えるための観察
第4章 「任せ・きる」
- 「自分ごと」をマスターする
- OJT折り返し時点の新入社員について考える
- 「任せ・きる」とはどのようなことか
- 「任せ・きる」に進むための前提条件
- 「任せ・きる」育成・指導上の5つのキーワード
- 「任せ・きる」仕事を選定する5つの視点
- 「自分ごと」を本人が体感するために支援者として考えること
- 成否のカギを握るのは実はトレーナー側
第5章 「任せて・見る」と「任せ・きる」の合間に考えるべきこと
- 最年少の若手メンバーとしての存在感を確立する
- 担当する仕事の本質を理解したうえでの実行力
- 新人の成長課題とトレーナーの育成課題
第6章 フィードバックの効用と具体的な方法
- 経験から学びを促すフィードバックの方法
- フィードバックを継続すると気づきが変わる
- フィードバックの持つ2つの大きな意味
- 2つの任せ方とフィードバックの関係性
第7章 OJTの1年間でトレーナーが考えること
5つの軸と1年間のストーリー
- OJTを進めるうえでの大切な要素と前提となる考え方
- 育成の「5つの軸」の意味とポイントを考える
- 「5つの軸」を1年間のOJTのストーリーに沿って考えてみる
博報堂の新入社員のOJTの概要
あとがき
解説 – 人材開発部門発、「新たなOJT」創造の「旅」‥‥中原淳