橋本 哲児(著)
秀和システム
本の詳細
ドラッカーの有名な言葉に次のものがあります。
「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。
わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。
しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」
この言葉で述べているように、ビジネスで成果を生むのは自らの「強み」です。
何ごとかをなし遂げるのが「強み」なら、「売る」ために必要なのも「強み」です。
「弱み」で売ることはできません。ですが、多くの場合、この「強み」が誤解されています。
わかりやすく言えば、名門ハーバード大を卒業した男子学生であれば、どんな女子学生にも好かれるわけではありません。
女子学生によっては「学歴が高い」というだけでは魅力を感じない人もいます。
大切なのは(男子学生を)選ぶ女子学生にとっての「強み(魅力)」でなければならないということです。
必ずしも「相対的評価の強み」が強いというわけではないのです。
1969年のこと。米国の化学メーカー3Mの研究員であったスペンサー・シルバーが強力な接着剤の開発中にたまたま非常に弱い接着剤を開発しました。
一般的な概念で言えば、接着剤は強力なほうがいい。
そのため、この非常に弱い接着剤は「弱み」とも言えました。
ところが、1974年、同じく3Mの研究員アーサー・フライが本の栞に応用できないかと思いついたのです。
それこそが接着力の「弱み」が「強み」となり、私たちが使っている付箋が生まれた瞬間でした。
強力な接着剤が必ずしも「強み」をもつわけではなく、「弱い接着剤」が「強み」をもつこともあるわけです。
一般的な概念(相対的評価)の「強み」があっても、それを買う顧客が「強み」を感じなければ、売れません。
と、この話をすると「自社の強みよりも、顧客の求めているものが重要だ」と考える人もいるかもしれませんが、そうではありません。
「強み」とは顧客が求めている「自社の強み」なのです。
「ビジネスの売上があがらない」
「顧客が考えていることがわからない」
「どうしたらいいかわからない」
というビジネスでよくある悩みを解決してくれる一冊。
マーケティングに取り組むも、成果があがらず
悲惨なスタートを切った著者の体験談を交えながら、
15年に渡る試行錯誤と研究の結果生み出した
究極のマーケティング法を公開。
100億を超える売上をあげるまでに成長したノウハウ
「顧客の本音を引き出す9つの法則」を紹介、解説しています。
「高い調査費」や「難しいシステム導入」などいらない、という
リサーチの常識を根底から覆す、
シンプルなのに確実で最強な
マーケティングの極意です。
目次
第1章 売り手には「強み」も「顧客」も「競合」もわからない
売れない理由はどこにある
- 失敗をもたらすバッドサイクル
- 顧客接点が全てを変える
自社の強みは大抵間違っている
- 2つの「強み」が混乱させる
- 「売れる強み」を顧客接点に反映させる
- 導火線に強みの火を灯し続けろ
顧客の気持ちを考えてはいけない
- 輝かしい成果を上げたライバル
- あなたには顧客のことはわからない
- 顧客を動かすのは顧客自身
- 売るためにペルソナを使ってはいけない
- 顧客の心の変化に対応していく
あなたが戦っているのは、真の競合ではないかもしれない
- 2つの競合と3つのズレ
- 自社も競合も多くは知られていない
- 短距離と長距離を同時に狙ってはいけない
- 競合に打ち勝つ「売れる強み」
第2章 なぜ調査は売上につながらないのか
成果が見えないのに高額な調査
- 驚異的な成果を上げている男
- 成果が見えづらいのにお金がかかる
調査を意味のないものにしてしまう7つの問題
- よくある問題(1)調査の「目的」が漠然としている
- よくある問題(2)調査「対象」が間違っている
- よくある問題(3)調査「方法」が間違っている、特に「質問」がわからない
- よくある問題(4)調査内容の「分析」が間違っている
- よくある問題(5)調査結果の「活用」方法がわからない
- よくある問題(6)調査する「人間」と調査を用いる「人間」が違う
- よくある問題(7)「ブラックボックス」
あなたの商品を売るのはビッグデータではない
- 調査以上にビッグデータはブラックボックス
- 目の前のひとつの商品を売るのにビッグデータは適さない
調査を意味のないものにしてしまう7つの問題(まとめ)
第3章 顧客から「売れる強み」を発見する「9つの質問」
9つの質問で解決する
- 従来の調査の問題を解決する「9つの質問」
- 「9つの質問」の調査目的
- 「9つの質問」の調査対象
- 「9つの質問」の調査方法
- 「9つの質問」の質問内容
- 「9つの質問」の分析方法
- 「9つの質問」の活用方法
- 「9つの質問」の調査担当者
質問1 フラットに「強み」を探れ
- 多くの問題はココにある
- 売るための「強み」とは何か
- 第1の質問の内容と回答例
- 最初の質問ではフラットに「強み」「弱み」を探ることが可能
- 1000の「なぜ」の答えを知ることもできる
質問2 マイナスイメージをもつ顧客にさえ伝わる「強み」
- 不満の中にも強みはある
- 第2の質問の内容と回答例
- 第1の質問で強みが見つからない
- 補足:顧客への注意文言
質問3 プラスイメージをもつ顧客でさえ感じる「弱み」
- 満足している顧客にも「不満」はある
- 第3の質問の内容と回答例
- プラスイメージをもつ顧客が感じる「不満」
- 対応すべき弱み、対応すべきでない弱み
- 言葉の真実味を高め、解決する
- 動機づけ要因と衛生要因
- 第1の質問で弱みが見つからない
- 補足:顧客への注意文言
質問4 顧客を感情移入させる最大の不満を探る
- 「強み」はただ勝敗のためのものではない
- 顧客の問題と言葉を知る
- 第4の質問の内容と回答例
- 適切な範囲で顧客の問題を探っていく
- 「顧客の最大の悩み」を「商品の最高の強み」で解決する3つの基準
- 基準1 顧客の「不」に注目
- 基準2 自社商品の「強み」で対応できる「不」を選択
- 基準3 競合企業、競合商品の土俵(強み)で戦わない
- 顧客の感情移入が深くなるリアル感
質問5 買う理由と満足した理由に一貫性をもたせる
- 買うことと満足することは違う
- 買う瞬間には商品の「強み」はわからない
- 第5の質問の内容と回答例
- グッドサイクルを生み出す2つのポイント
ポイント1:買った理由を発見する
ポイント2:満足した理由(強み)と一貫性があるかを確認
質問6 真の競合と障害を発見する
- 単なる競合ではなく真の競合
- 第6の質問の内容と回答例
- 強みの障害となる2つの理由
- 勝負を決するのは「強み」です
- 真の競合と障害を把握し、自社商品の強みで払拭
質問7 隠れた競合と障害を把握し、さらに有利に戦う
- 隠れた競合を見つけろ
- 潜水艦の敵は潜水艦だけではない
- 第7の質問の内容と回答例
- 競合商品と障害を用いて有利に戦う
質問8 顧客接点こそが商品。その接点を正しく把握する
- 商品自体が「商品」を伝えるわけではない
- 顧客接点の例
- 第8の質問の内容と回答例
- 顧客接点を正確に知るための3つのポイント
- ポイント1 選択式ではなくフリーで回答してもらう
- ポイント2 点と点をつなぐ(グループ化)
- ポイント3 可能であれば、理由も確認
質問9 既存客の購入率、リピート率、紹介率を高める
- 既存客の圧倒的なレスポンス
- 第9の質問の内容と回答例
- 第9の質問の3つのポイント
- 推奨者の力を味方につける
9つの質問の全体像
第4章 売上、利益を生む顧客接点に
「9つの質問」に対するよくある3つの質問
- 代表的な3つの質問
- よくある質問(1)「9つの質問以外のことは聞けないのか?」
- よくある質問(2)「質問数を少なくしたい場合は?」
- よくある質問(3)「データ量が多くない」
- 回答者が10人しかいない場合はどうすればいいのか?
調査のブレを解決する「大数の法則」
- 大数の法則
調査担当者の問題
- 調査結果の多くを現場で活かすために
顧客の心から最大公約数を読み取る4つの段階
- 顧客の心をダイレクトに読み取る
- 共通する要素と言葉から最大公約数を発見
- 第1段階:共通する要素をまとめる
- 第2段階:共通する要素から最大公約数を発見する
- 第3段階:共通する言葉(文章)をまとめる
- 第4段階:共通する言葉(文章)から最大公約数を発見する
グループ化する6つの思考法
- MECEの基本形
- 基本(1) 要素分解(足し算)
- 基本(2) 因数分解(掛け算)
- 基本(3) 対立(反対)
- 基本(4) プロセス(時系列)
- 応用のグループ化
- 応用(1) 商品の要素(特徴)
- 応用(2) マーケティングの4Pでの分類
結果を反映し、売上を生む顧客接点に
- 売上・利益を生む顧客接点
- 「要素」を顧客が強みを感じる順に反映
- 顧客が強みを感じる「言葉」で訴求
- ステップ1 言葉の最大公約数を軸とする
- ステップ2 顧客の言葉を可能な限り反映
- ステップ3 禁止事項を避ける
- 間違っても大丈夫
おわりに
橋本 哲児(著)
秀和システム