「これからもあなたと働きたい」と言われる店長がしているシンプルな習慣
松下雅憲
同文舘出版
本の詳細
多くの店長は、彼のように自分の表情や言動が、スタッフにどれくらい影響を与えているのかを自覚していません。でも、スタッフの表情や動き、言動は、店長そのものを映し出しています。店長は、その店の基準であり見本、つまり「鏡」なのです。スタッフに笑顔がないのも、お客様に気がつかないのも、すべては店長を映しているのです。そして、スタッフもまた、あなたを映す「鏡」です。スタッフを見れば、あなたの店長力がわかります。スタッフは、あなたを見ながら成長していくのです。
店長が、一方的にスタッフを教育するのではありません。それは、ほんの一部のカリスマ店長だけができる技です。今、あなたがそれをすることができるのなら、本書は不要です。誰か新人店長にプレゼントしてください。
よく知られている「マズローの欲求五段階説」と同じように、働く環境においては「従業員の仕事の満足 6ステージ」があると私は考えています。
第1ステージ:快適な労働環境
第2ステージ:報酬と承認
第3ステージ:目標と評価
第4ステージ:成長
第5ステージ:貢献
第6ステージ:感謝と誇り
たとえば、時給や給料などは、その基本的な(第2ステージ)に位置します。しかし、「仕事の満足」には、まだ上のステージがあるのです。そこを上がっていかないから、時給や給料で何とかしようという発想が生まれるのです。
人は誰でも、「成長」を目指し、「貢献」を「誇り」に感じ、人に「感謝」する気持ちを持っています。しかし、多くの企業では、「報酬・報奨」や「目標管理」に「満足度」のゴールを置いています。しかし、この段階では、残念ながら「お客様に満足を提供しよう」という意欲は、まだ充分に育ってはいないのです。だから、「従業員満足を向上させてもコストが上がるだけで売上げなど上がらない」と誤解する経営者や店長が出てきてしまうのです。
店長であるあなたがこの段階を先に上っていくことが大切なのです。低いステージをゴールにしてはいけません。
この階段を上っていくと、必ずあなたの店のスタッフはお客様に対する意識が変化します。いえ、成長します。そして、その成長はお客様の満足度にも表れてくるようになります。さらには、直接的な利益の向上にも影響を与えるようになります。
目次
はじめに
Prologue 「あなたと一緒に働けてよかったと言われる店長」は6つのステージを上りながら自分とバイトを成長させている
- スタッフを見れば店長がわかる
・・・・店長が先に成長しよう - 「昔ながらのリーダー」を目指す必要はありません
・・・・「今風のリーダー」になろう - あなたが先に「夢」を語るのではありません
・・・・スタッフが先に「夢」を語るのです - 「従業員満足のステージ」は6段階
・・・・第1ステージで満足しても売上げは上がらない
Stage 1 「快適な労働環境」を作る習慣 – 厳しい労働環境なんてあってはいけない
- 「働きたい店」の前に「安心して働ける店」を作ろう
・・・・「3Kは当たり前」なんて思ってはならない - 「スタッフ」は「ビジョンに共感」で採用し、「あきらめの悪さ」で「教育」しよう
・・・・あなたのこだわりがあなたを支える - 「新人オリエンテーション」は必ず店長が実施しよう
・・・・オリエンテーションは理想の店への第一歩 - 「身だしなみ」にも徹底的にこだわろう
・・・・「身だしなみ」に気を配れないスタッフはいずれ大きな障害になる - 「ありがとう」を一番たくさん言うひとになろう
・・・・「リーダーが一番感謝している」のが最高のチーム - スタッフのイベントを全員でお祝いしよう
・・・・誕生日・入学式・卒業式・資格試験などを記録しておこう - 3日目の新人に「明日からも一緒に仕事ができますか?」と聞こう
・・・・フォローアップオリエンテーションをしよう - まず、このステージで「働く環境への満足感」を高めていこう
・・・・手遅れになる前に対処しよう
Stage 2 「報酬・承認」の習慣 – 時給を上げるだけでは「本当の満足」は得られない
- アルバイトは時給と店舗イメージで応募するが人間関係で離職する
・・・・「居心地がいい」環境を作ろう - 「時給」は文句を言われてから上げてはいけない
・・・・時給を上げる基準を明確にしよう - 「YES」からはじめよう
・・・・「承認」をするから主体性が育つ - 「後から」話そう
・・・・「先に」話したら相手の考えは聴けない - 「やる気の出る叱り方」を心がけよう
・・・・叱る目的は「ダメージを与える」ことではない - 1回叱る前に6回ほめよう
・・・・「たくさんほめられ」ていると「叱られても」ほめられているように感じる - 「謝る」のが店長の仕事だと心得よう
・・・・「部下に謝らせ」てはいけない
Stage 4 「成長」の習慣 – 成長を実感できるから続けられる
- 「教え合う効果」を活用しよう
・・・・新人にトレーナーをさせてみよう - 「どうしたらできるか?」を聞こう
・・・・「なぜできないのか?」と聞いても、できるようにはならない - 「やる気をなくす言葉」は封印しよう
・・・・たったひと言でこれまでの努力が水の泡になる - 「失敗」をほめよう
・・・・チャレンジ精神は、「失敗」をほめることでしか生まれない - 「今日は昨日と同じではない」ことを発見しよう
・・・・成長発見ゲームで充実感を高めよう - 店長が急病で入院。さあどうする!?
・・・・緊急事態に一致団結して危機を乗り越えたスタッフ
Stage 5 「貢献」の習慣 – 貢献している自覚があるからプライドが生まれる
- ステージ4までは「自分軸」でも何とかなる
・・・・ステージ5からは徹底的に「相手軸」を意識しよう - 「あなたが必要です」
・・・・スタッフには、ハッキリとその存在の大切さを伝えよう - 「仮想敵(ライバル点)」と戦おう
・・・・共通の「敵」と戦うことでチームは一丸になれる - 「店長よりも厳しいアルバイトリーダー」を育てよう
・・・・進んで憎まれ役になってくれる腹心を育てよう - 自分たちの町に貢献しよう
・・・・毎日感謝しながら町を掃除していたら、売上げが上がってしまった店がある
Stage 6 「感謝・誇り」の習慣 – 仲間の存在を感謝すればそれは自然と誇りになる
- 「仲間に対するプライド」を持とう
・・・・「自分のためのプライド」は必要ない - 「ごちそうさま」は自分を見つめるきっかけになる
・・・・「お客の気持ち」を実感しよう - 「ペースメーカー」になろう
・・・・順調に進んでいるときにこそ、無理をしていないか見直そう - スタッフに無茶を言ってみよう
・・・・無茶な注文に笑顔でチャレンジするチームを作ろう - スタッフと一緒に自社ブランドについて語り合おう
・・・・このブランドが好きだから、ここで働くのです - 店長が何でも一人で決めないようにしよう
・・・・決定のプロセスに参加させると主体性が成長する
Epilogue 「自分の弱さ」を認識しよう – 「一緒に働きたい店長」は自分をしっかり見つめている
- 「思い込み」は自分の弱さを表している
・・・・・「スタッフが本当に望んでいること」に取り組もう - 「受け止め」よう
・・・・・何もかも「受け入れる」必要はありません - 自分の状態を認識できるようになろう
・・・・・「メタ認知」があなたを成長させる - 「あなたと一緒に働けてよかった」
・・・・・あなたの不満を先に解決しよう
おわりに
「これからもあなたと働きたい」と言われる店長がしているシンプルな習慣
松下雅憲
同文舘出版